間違った運動は「ひざの故障」につながる
行動制限が緩和されたこともあり、今年の夏は海やプールに行くという人も多いよう。それまでになんとかダイエットを成功させようと、運動をはじめる人が増えていますが、整形外科医の丸山 公院長はこう助言しています。「夏本番に向けて筋トレやジョギングをがんばりたい気持ちはわかりますが、テレワークや梅雨の間、運動不足だった人は要注意。筋肉が弱った体で急に激しい運動をはじめるとひざ痛の原因になります。今までひざ痛を経験している方は特に危険です」(丸山院長 以下同)ひざ痛経験者は、運動量が減りひざへの負担が減ったことから痛みが一時的に和らぐこともありますが、運動を開始しひざ痛が再発したというケースは意外に多いそう。
深いスクワットは厳禁! まずは歩くことから
「運動不足の体で今までと同じ運動を行うと、ひざへの負担が高まります。まずは歩く距離を少しずつ増やし、脚全体の筋力を高めていきましょう」下半身シェイプというとスクワットを思い浮かべるかもしれませんが、ひざケアの側面から考えると要注意。日ごろからトレーニングを積んでいる場合でなければ、いきなりのスクワットはやめておきましょう。
特にディープスクワットといわれる、立った姿勢からひざを深く曲げるスクワットは危険です。スクワットで傷めるのはひざの上下の関節の間ではなくて、お皿の裏側と大腿骨の間、『膝蓋大腿関節』と呼ばれるところ。普通の病院で撮る2枚のエックス線写真では映らず、専門的な特殊な角度から撮らないと傷めたお皿の裏側は映りません。原因が追及できず、痛み止めだけの治療になる可能性も!」
では、運動不足やダイエットのために、何をすればいいのでしょうか?
「いきなりの筋トレをするよりも、歩くことからはじめてください。ほとんど運動をしていなかった場合は、1日15~30分で十分。ダラダラ歩きではなく、以下の方法で意識して歩くと効果的です」
脚の内側を鍛える「丸山流ウォーキング」からスタート
「ただ歩くのではなく、お腹を引き上げ、脚の内側を意識して歩くのがポイント。これはO脚の改善や悪化予防にもつながります。歩き方は、まずおへそをへこませ上にもち上げるイメージで横隔膜を引き上げます。この時、肩に力を入れてもち上がってしまうことがありますが、力を入れるのはお腹です。
次に、靴底の内側を使って、かかとからつま先に重心を移しながら脚を運びます。力を抜くとかかとの外側から着地して歩くので腹筋を使ってお腹の引き上げを意識しましょう。腹筋を使うと、太腿の内側の内転筋が締められるので、O脚が防げます。お腹に入れると最初は呼吸が難しく話しながら歩けないかもしれませんが、慣れてくると話せるようになりますよ」
ひざトラブルの予防は「減量」「運動」「コラーゲンペプチドなど軟骨を守る栄養の摂取」
「体重が多い人は、膝への負担が大きいので減量しましょう。しかし、体重を減らすために過激な食事制限を行うと、栄養が十分に摂取できず、骨粗しょう症になる恐れがあります。減量にはまず筋肉をつけることが大切。適度な運動を行い脚の筋肉を増やしましょう。ひざに負担を与えない丸山流ウォーキングや、仰向けに寝て両脚をもち上げ30度の角度で30秒~1分間保ってみてください。脚の筋肉だけでなく、同時に腹筋も鍛えられます。ラジオ体操など体に無理のない体操もおすすめです」
栄養面ではひざの軟骨に有効な成分を摂取することが重要だそう。「軟骨を構成する成分の産生を促進するサプリメント、コラーゲン・トリペプチドの摂取が有効なことが研究で分かってきています。既にひざ痛がある人は、他の療法と併用することで治療効果が上がります」
ダイエットとはいえ、急に激しい運動をするのはNG! 短時間のウォーキングからはじめて、徐々に体を慣らしていきましょう。
整形外科医/関町病院院長
丸山 公
全国から患者が訪れる膝関節ケアのスペシャリスト。医学博士、日本整形外科学会専門医。1995年日米整形外科トラベリングフェロー、元日本大学整形外科学講師、練馬区医師会学術部整形外科医会会長、東京都城北整形外科医会会長ほか。
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