喧々囂々の意味と読み方
難読漢字の1つである「喧々囂々」を、間違えずに読める方は少ないでしょう。「喧」はまだしも「囂」という字を初めて見た、という方もいるはずです。さて、なんと読むのでしょうか?
正解は……【けんけんごうごう】です!
【喧喧囂囂:けんけんごうごう】
[ト・タル]文[形動タリ]大勢の人がやかましく騒ぎたてるさま。「議論が紛糾して喧喧囂囂たる場内」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
喧々囂々は、たくさんの人がそれぞれ好き勝手に喋って、やかましく騒がしい様子を表す言葉です。特に、議論の場を表す際に使われることが多いといえます。「喧喧囂囂」と表記することもあります。
「喧」と「囂」は両方とも「やかましい」「騒がしい」という意味の文字です。これらの文字を重ねて強調しているため、ただやかましい、騒がしいだけでなく「大勢の人々が大声で激しく騒ぎ立て、収集がつかない」という状況を表しているのです。
■2人での議論は当てはまらない
喧々諤々は2人で白熱した議論を交わす、といった状況には当てはまりません。1対1の話し合いには使われず、たとえば5人で商品プレゼン会議を行い、それぞれが大声で好き勝手に意見を出し合っている場面を想像するとよいでしょう。
■喧々囂々を使った例文
喧々囂々を使った例文には、次のようなものがあります。例文を確認することで、実際の使い方のイメージがしやすくなるはずです。
・今日の会議はまとめ役が不在であったため、喧々囂々としただけで結論が出ずに終わった
・喧々囂々たるミーティングはなんと3時間を超えたが、出席者がそれぞれ好き勝手なこと を言い合っていただけで実りがなかった
・議論に参加する顔ぶれを見れば、喧々囂々とすることは想像がつく
・喧々囂々とならないように、話す順番と1人が発言できる時間を決めておきましょう
喧々囂々と侃々諤々の違い
喧々囂々と字面や音の響きが似ている言葉として、「侃々諤々(かんかんがくがく)」があります。また「喧々諤々(けんけんがくがく)」は、喧々囂々と侃々諤々が混ざって出来た言葉です。
ここからは喧々囂々と侃々諤々の違い、喧々諤々の由来などを解説していきます。
■侃々諤々とは自分の意見を堂々と主張すること
侃々諤々は、自分が正しいと信じていることを堂々と主張したり、それによって相手と激しく意見をぶつけ合う様子を表す言葉です。
複数の人が集まり話し合いをしているという状況は喧々囂々と共通しますが、侃々諤々にはポジティブな意味がある一方で、喧々囂々はネガティブなニュアンスが含まれます。
侃々諤々はたとえ周りの理解は得られていなくても、自分が正しいと思う意見を率直に交わし合うという建設的な意味があります。しかし、喧々囂々はやかましく騒ぎたてるだけで実りのない話し合いを表すためです。
侃々諤々を用いた例文には、以下のようなものがあります。
・この結論は侃々諤々の議論の末のものだから、いまさら覆すことは難しい
・周りが自分よりも知識があるとわかっていても、侃々諤々に意見を出すべきだ
・会議では侃々諤々とした議論を得て、皆が納得のいく結論が出た
・問題の解決方法には賛否両論があったため、喧々諤々の議論が交わされた
■喧々諤々は2つが混ざって出来た言葉
喧々諤々は、「けんけんがくがく」と読み、ここまでご説明してきた喧々囂々と侃々諤々の2つの言葉が混同して生まれた言葉です。もともとは誤った表現とされていましたが、最近は日常的に広く使われています。
意味としては、多くの人々が激しく意見を言い合う状況を表します。単に騒がしく議論をするという意味が強いため、喧々囂々に近いニュアンスだといえるでしょう。
ここからは喧々諤々を用いた例文をご紹介しましょう。
・今年の株主総会は、株主による喧々諤々とした議論が続いた
・喧々諤々とした話し合いが3時間以上行われたが、結局結論は出ずに終わった
・会場は喧々諤々として収集がつかない状況だ
喧々囂々の類語2つ
喧々囂々には、同じような意味を持つ類語がいくつかあります。今回はいずれも議論の状況を表す、「議論百出」と「甲論乙駁」の2つを解説します。
1.議論百出
議論百出は「ぎろんひゃくしゅつ」と読み、多種多様な意見がたくさん出され、活発に議論されるさまを意味する言葉です。「百」は数が多いことを表すため、「百出」でたくさん出るという意味です。「委員会で議論百出する」といったように使います。
様々な意見といっても、意見が紛糾する、あるいは収集がつかないほど荒れた会議ではなく、結論を出すためのポジティブな話し合いという意味合いであることをおさえましょう。
2.甲論乙駁
甲論乙駁は「こうろんおつばく」と読み、互いに意見を主張しあってなかなか議論がまとまらない様子を表す言葉です。甲論乙駁の「甲」と「乙」は複数の人を区別するときに名前の代わりに用いる言葉で、「論」は意見を出すこと、「駁」には反論するという意味です。
つまリ甲論乙駁は、「誰かが意見を述べると、ほかの誰かがその意見に反対意見を唱える」というような議論がまとまらない状況を表します。「前回の会議では甲論乙駁して、議題が持ち越された」といったように使います。
喧々囂々を似ている言葉と一緒に覚えよう
喧々囂々は「けんけんごうごう」と読み、たくさんの人がそれぞれ好き勝手に喋り、やかましく騒がしい様子を表す言葉です。特に、議論の場を表す際に使われることが多いです。
喧々囂々と字面や音が似ている言葉に、侃々諤々があります。侃々諤々は正しいと思うことを主張するという意味であり、議論に関する言葉という意味では喧々囂々と似ています。しかし、やかましく騒ぎたてるだけの喧々囂々とは若干意味合いが異なることがポイントです。
また、喧々囂々と侃々諤々が混同して生まれた喧々諤々も、最近では日常的に使われるようになっています。あわせて覚えておきましょう。
喧々囂々の意味だけでなく、侃々諤々や喧々囂々といった似ている言葉も一緒にマスターすることで、語彙力アップが期待できます。
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