再三再四(さいさんさいし)とは?
再三再四(さいさんさいし)とは、何度も繰り返すことを意味する言葉です。何度も繰り返すという意味の再三(さいさん)を強める言葉で、すでに何度もしたけれどもさらに何度も繰り返したときに使います。
【再三再四】さいさんさいし
「再三」を強めていう語。繰り返し何度も。「―失敗してもこりない」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
■再三再四の語源
再三再四は、中国の清の時代に書かれた紅楼夢(こうろうむ)という小説に出てくる言葉といわれています。紅楼夢では貴族の生活が描かれていますが、その中で繰り返して行うことを強調する際に再三再四という言葉が使われました。その時代に口語としてよく用いられた言葉なのかは不明ですが、長く使われている言葉であることは間違いないでしょう。
■再三再四の例文
再三再四は、否定的なニュアンスで使うことが一般的です。繰り返して注意をしたのにまだ直さないときなど、よくないことを繰り返して行う際に使います。例文をいくつかご紹介するので、再三再四の持つニュアンスやふさわしいシチュエーションを感じ取ってみてください。
・床にものを置くなと再三再四注意をしているが、まったく直す気配がない。もういい加減にして欲しい。
・今日の午後のパーティーは絶対に参加しなくてはいけないって再三再四お伝えしましたよね。それなのに別の予定を入れるということは、私の話は聞いていないのですか?
再三再四の類語と使い方
再三再四と同じく、何度も繰り返すことを示す言葉は多数あります。よく使われる言葉としては、次の2つが挙げられるでしょう。
・返す返す(かえすがえす)
・重ね重ね(かさねがさね)
それぞれの使い方を例文を通して解説します。
■返す返す(かえすがえす)
何度も繰り返すときには、返す返す(かえすがえす)を使うこともあります。返す返すには、過ぎたことを悔やむ、あるいは念を入れるといったニュアンスがあるので、状況を選んで使うようにしましょう。例文をいくつかご紹介します。
・A大学に合格していたのに、結局、B大学への入学を決めてしまった。元々B大学が第一志望だとはいえ、返す返すももったいない選択だと思う。
・明日の準備はした?返す返すも忘れ物がないようにチェックしておいてね。
■重ね重ね(かさねがさね)
同じようなことが何度も繰り返されるときには、重ね重ね(かさねがさね)という言葉を使うこともあります。重ね重ねには、念を入れる、あるいは相手に頼み込むといったニュアンスがあるので、適切な状況で使うようにしましょう。例文をいくつかご紹介します。
・重ね重ねご迷惑をおかけしますが、こちらの書類にも目を通していただけますでしょうか。
・すでにご理解いただいていることとは存じておりますが、明日のご都合はいかがでしょうか。ぜひ皆さまでお越しください。重ね重ねお願い申し上げます。
再三再四を使わないほうが良いシチュエーション
再三再四はどちらかといえば否定的なニュアンスがあるため、使わないほうが良いシチュエーションも多くあります。特に次の3つの状況では、再三再四という言葉は使わないほうが良いでしょう。
・ビジネスの場
・目上の方と話すとき
・お葬式、結婚式
それぞれの状況でなぜ再三再四がふさわしくないのか解説します。また、代わりに使える言葉や例文についても見ていきましょう。
■ビジネスの場
ビジネスの場で再三再四という表現を使うと、「何度も言っているのに聞いてもらっていない。ちゃんと聞いて欲しい」というニュアンスを伝えてしまうことになります。言われた相手は「責められているのだろうか」と不快な気持ちになることもあるので、再三再四もしくは再三は使わないようにしましょう。
例えば、相手に何度か伝えたことがある内容を繰り返して伝えるとき、「再三再四伝えましたよね?」というと、相手に不快な気持ちを抱かせてしまうことがあるかもしれません。「もしお聞き及びでしたら申し訳ないのですが……」とこちらが勘違いしているかもしれないというニュアンスを含ませると、相手に不快感を与えずに念を押すことができます。
また、メールや郵便で連絡したものの返事が返って来ないときに「再三再四のお願いとなりますが、お返事いただけないでしょうか?」と相手に言うと、こちらがイライラしている感じを伝えることになりかねません。内心イライラしているときでも、「急かせることになって申し訳ないのですが……」と下手に出るようにしましょう。
■目上の方と話すとき
目上の方と話すときも、再三再四や再三という言葉はふさわしくありません。再三再四には、自分の正当性を主張しつつ相手のミスを責めるニュアンスがあるため、同じ事柄を何度も伝える場合であっても使わないようにしましょう。
例えば、「再三再四で申し訳ないのですが」という言葉は、一見、「申し訳ない」と相手に謝っているかのような印象を与えます。しかし、「再三再四」という言葉を選択した時点で相手の不注意を責めているニュアンスになり、相手に不快感を与えることが少なくありません。
繰り返し伝えていることはお互いにわかっているので、繰り返しを感じさせる言葉を使わずに話すようにしましょう。例えば、シンプルに「申し訳ないのですが……」と話を始めれば、不快感を与えずに相手を立てることができます。
■お葬式、結婚式
不幸はなるべく繰り返さないようにしたいものです。お葬式やお通夜などでは、再三再四のように繰り返すニュアンスのある言葉は避けるようにしましょう。
また、結婚式も同様です。結婚・離婚を何度も繰り返すことは悪いことではありませんが、「これから一生一緒に過ごす」と誓ったばかりのカップルがいる場で、繰り返しのニュアンスのある言葉を使うのは無作法といえます。再三再四などの繰り返すニュアンスのある言葉は避けるようにしましょう。
再三再四は状況や場所を考えて使おう
再三再四は、何度も繰り返すことを示す言葉です。ビジネスの場や目上の方で使うと、相手を責めているような印象になることもあるので、できれば避けるようにしましょう。
また、お葬式や結婚式でも、使用は避けるほうが望ましいです。状況や場所を考えて使いましょう。
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