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流石とは?意味を解説
流石(さすが)とは、褒めたり感心したりするときに使う言葉です。普段の会話の中でも、素晴らしいと相手を褒めるときに「流石だ」と発言することは多いのではないでしょうか。
また、流石は否定形の語尾を組み合わせることで、ありえないという意味で使うケースもあります。例えば、相手があまり好ましくない方向性で信じられないようなことを発言したときは、「流石にそれはないでしょう」と不快感を伴う驚きを表現することがあるかもしれません。
【流石】さすが
<形容動詞 ナリ>
・評判や期待のとおりの事実を確認し、改めて感心するさま。なるほど、たいしたもの。「この難問が解けるとは―だ」
・あることを一応は認めながら、一方でそれと相反する感情を抱くさま。あることをそのままは容認できないさま。そうとばかりも言えない。やはりそうもいかない。
「世の中なべて厭(いと)はしうおぼしならるるに、―なること多かり」〈源・花散里〉
<副詞>
・あることを認めはするが、特定の条件下では、それと相反する感情を抱くさま。そうは言うものの。それはそうだが、やはり。「味はよいが、これだけ多いと―に飽きる」「非はこちらにあるが、一方的に責められると―に腹が立つ」
・予想・期待したことを、事実として納得するさま。また、その事実に改めて感心するさま。なるほど、やはり。「一人暮らしは―に寂しい」「―(は)ベテランだ」
・(「さすがの…も」の形で)そのものの価値を認めはするが、特定の条件下では、それを否定するさま。さしもの。「―の名探偵も今度ばかりはお手上げだろう」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
■晋書の漱石枕流を語源とする
流石という言葉は、晋書に記載されている孫楚(そんそ)という人の故事に因んだものとされています。孫楚は役人として仕事をしていたものの、世の中のわずらわしさに嫌気がさしており、俗世間を離れて隠者のような生活をしたいと憧れていました。
その思いを友人に伝えようとして、「石を枕として、川の流れで口をすすぐような自然の生活をしたい」と言うつもりが、間違って「石で口をすすぎ、川の流れを枕としたい(漱石枕流)」と言ってしまいます。誤りを友人が孫楚に指摘したところ、孫楚は認めるどころか、「石で口をすすぐとは、石で歯を磨くことだ。川の流れを枕にするとは、俗世間に汚れた耳を水で洗い清めることだ」と言い張りました。
このことから、意地っ張りなことを漱石枕流(そうせきちんりゅう)と呼ぶようになったといわれています。また、自分の間違いを認めずに言いくるめてしまうことや驚くような出来事を流石(さすが)ということも多いです。
なお、夏目漱石というペンネームも、漱石枕流の故事を由来とします。驚くような人、あるいは頑固な人などのニュアンスがあるのかもしれません。
■名字として使うときは読み方もさまざま
流石は、名字としても使われます。「さすが」と呼ぶこともありますが、「ながれ」や「ながれいし」と呼ぶこともあるようです。また、音読みをして「りゅうせき」や「りゅうぜき」という名字もあります。他にも読み方がある可能性があるので、相手の名字が流石のときは、失礼にならないように読み方を確認してから発音するようにしましょう。
流石は地名でも使われています。和歌山県にある無人島の名前ですが、この場合は「ながれいし」と発音するようです。
■使い方によって品詞が異なる
流石は、使い方によって品詞が異なります。川などで流れている石を指すときは「りゅうせき」と呼び、品詞は名詞です。また、名字や地名として流石を用いるときも、品詞は名詞になります。
一方、驚いて「さすが」というときは、感嘆詞(名詞)です。しかし、同じ驚いたときでも「さすがだ」という場合は形容動詞になります。また、「さすがにこの問題はわからないでしょう」という場合は副詞です。
流石の使い方
流石(さすが)は、次のようなシチュエーションで使うことが一般的です。
・実力にふさわしいと感心したとき
・評判通り、評判を超えると感じたとき
・反論するとき
・実力が発揮できないとき
それぞれのシチュエーションでどのように流石を使えるのか、具体的に紹介します。
■実力にふさわしいと感心したとき
相手が特定の才能や能力を持っていることを知っており、その実力にふさわしい結果を出したときに「流石」という言葉を使って褒めることができます。例えば、次のように使えるでしょう。
・昨日の彼の走りは素晴らしかった。流石、国体選手として選ばれただけのことはある。
・彼女の踊りは流石に圧巻だった。オデット姫が物語から飛び出したようだった。
■評判通り、評判を超えると感じたとき
相手の才能や能力が評判通りに素晴らしいと感じたとき、あるいは評判以上に素晴らしいと感じたときも「流石」と表現することがあります。例えば、次のように流石という言葉を使えるでしょう。
・彼の独唱は流石のクオリティだった。コンクールを総なめにしているという噂も、嘘ではないことがわかった。
・あんなに悩んだ難問も、彼女に見せたら一瞬で答えを教えてくれた。天才というのは彼女のような人のことだろう。流石に素晴らしい。