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LIFESTYLE 漢字クイズ

2023.01.22

【疾風】は多様な読み方のある言葉。主な読み方と意味、例文などを解説

疾風にはさまざまな読み方があり、それぞれ意味が異なります。会話で登場する場合は、音から入るため区別がつきやすいでしょう。しかし、文章を読む場合には、漢字から入るため注意が必要です。間違わないために、よく使われる読み方や意味、例文を解説します。

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疾風にはさまざまな読み方と意味がある

疾風にはさまざまな読み方と意味があります。おもな読み方は2つで、「はやて」と「しっぷう」です。この2つの言葉の意味はほぼ共通しています。

男性が強風に耐えながら木につかまっている様子のイラスト

疾風(はやて)は突然激しく吹く風という意味、疾風(しっぷう)は、早く激しく吹く風という意味です。つまり疾風(はやて)と疾風(しっぷう)は同義語といえるでしょう。しかし、それぞれに固有の意味もあります。

はや‐て【疾風】
1急に激しく吹く風。寒冷前線に伴うことが多い。陣風。しっぷう。「―のごとく通り過ぎる」
2《かかるとすぐ死ぬところから》疫痢(えきり)。
3(疾風)旧日本陸軍の単座戦闘機。制式名称は四式戦闘機。昭和18年(1943)初飛行。最大時速687キロ。

しっ‐ぷう【疾風】1速く激しく吹く風。はやて。
2風速毎秒8.0~10.7メートルで、風力階級5の風。

(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)

「疾風」の読み方と別の意味を解説します。

■疾風(はやて)の意味

疾風(はやて)の意味は、いくつかあります。よく使われているのは、急に激しく吹く風という意味です。春の訪れを告げる強い南寄りの風を「春一番」と呼びますが、二度、三度と吹いた風も含めて、「春疾風(はるはやて)」という呼び方をすることもあります。

「疾風(はやて)のように」「疾風(はやて)のごとく」など、突然現れて去っていく状態を形容する言葉としても使われているため、使い道の広い言葉といえるでしょう。

この他に、幼児がかかってしまうとすぐに死亡してしまうケースが多かったことから、江戸時代に流行した、疫痢(えきり)を指す言葉としても使われています。

また、旧日本陸軍の単座戦闘機を指す固有名詞としても使われていました。しかし、現在では、この意味で使われるケースはきわめて少ないといえるでしょう。

■疾風(しっぷう)の意味

疾風(しっぷう)の意味は、早く激しく吹く風です。疾風(しっぷう)は風力の強さを示す気象用語としても使われています。その場合には、木の枝を動かすくらいの強い風を表し、風力は秒速6~10メートルと定義されています。

風力を表す言葉としては他にも、暴風、強風、突風などがあるため、ニュアンスを把握して使い分けてください。ちなみに暴風(ぼうふう)は秒速20メートル以上、突風(とっぷう)は突然吹く風、強風は強い風の総称です。

■疾風のその他の読み方とそれぞれの意味

疾風には、「はやて」と「しっぷう」以外の読み方もあります。「ときかぜ」「はやかぜ」「はやち」「はやちかぜ」という読み方です。混乱しないためにも、こういう読み方があることを覚えておくといいでしょう。

「ときかぜ」には、つむじ風という意味もありますが、それ以外の言葉の意味は疾風(はやて)と一緒です。「はやち」の「ち」は風を表しています。

「はやちかぜ」は風という意味が重なっていますが、音の響きとしてはわかりやすいといえるでしょう。近松門左衛門の『井筒兼平河内通』という浄瑠璃に、「花を吹きまく、はやちかぜ」という一節があります。

疾風の使い方と例文

疾風は読み方がいくつかあるため、文章で使う場合には、どの読み方の疾風を使っているのかを意識するといいでしょう。一般的には、疾風(はやて)と疾風(しっぷう)の使用頻度が高いです。

強風に煽られて木々が撓っている様子のイラスト

【例文】

・彼はいつも疾風(はやて)のように表れて、部署内の問題を解決し、疾風(はやて)のように去っていくため、神出鬼没のヒーローみたいだといわれています。

・ベランダの物干し竿で干していたお気に入りのシャツが、疾風で飛ばされて隣の家の庭まで飛んでいってしまいました。

 

■固有名詞の疾風があることに注意

疾風を使う時には、固有名詞の疾風があることに注意しましょう。江戸時代に流行した疫痢(えきり)の別名である疾風(はやて)、戦闘機の名前の疾風(はやて)という語句が日常的に使われるケースは、ほぼないでしょう。

しかし、「はやて」と音として発する場合には、東北新幹線や北海道新幹線で運行している特急列車の愛称と同じ響きであるため、注意が必要です。

疾風の入った四字熟語と慣用句

疾風という言葉の入っている、四字熟語と慣用句がいくつかあります。おもな四字熟語は「疾風怒濤」と「疾風迅雷」です。それぞれ「疾風」と「怒濤」、「疾風」と「迅雷」というインパクトの強い言葉が並んでいるところが、特徴的といえるでしょう。

強風に煽られて木が撓っている様子のイラスト

慣用句としては、「疾風に勁草を知る」があります。それぞれの言葉の意味や使い方を解説します。

【四字熟語】疾風怒濤

疾風怒濤の読み方は「しっぷうどとう」です。もともとの意味は「強く激しい風と荒れる波」ですが、比喩的に「とても困難な状況」という意味で使われています。

【例文】

・彼は疾風怒濤の環境をくぐり抜けてきただけあって、どんなことがあってもくじけない強い精神力の持ち主です。

・「疾風怒濤の戦火の中に放り込まれた経験があるからこそ、平和の大切さを感じているのです」と、ニュース映像の中で老人が語っていました。

 

【四字熟語】疾風迅雷

疾風迅雷の読み方は「しっぷうじんらい」です。もともとの意味は「強く激しい風と激しい雷」ですが、比喩的に「すばやくすさまじい」という意味で使われています。

【例文】

・私の応援しているサッカーチームは、前半で敵のチームに大きなリードをゆるしましたが、後半に入ってからは疾風迅雷の勢いで、連続してゴールを決めて追いつきました。

・ライバルのA社は、我が社の新商品に対抗する商品を、疾風迅雷のごとく素早くぶつけてくるから油断がならない。

 

【慣用句】疾風に勁草を知る

「疾風に勁草を知る」の読み方は、「しっぷうにけいそうをしる」です。苦難にあってはじめて、その人間の意志の固さや忠誠心を知れるという意味があります。

勁草とは、激しい風の中でも折れない草という意味です。この慣用句は、『後漢書―王覇伝』のエピソードに由来しています。

【例文】

・社長が専務を深く信頼しているのは、会社が倒産の危機にあった時も、専務が「疾風に勁草を知る」のことばどおりに献身的に支えてくれたからです。

 

疾風の読み方と意味を知って正しく使おう

疾風は「はやて」「しっぷう」「ときかぜ」「はやかぜ」「はやち」「はやちかぜ」など、多くの読み方のある言葉です。どの言葉も、強く激しく吹く風という共通する意味があります。

一般的に使われるのは、「はやて」と「しっぷう」の2つですが、他にも読み方があることを知っておくといいでしょう。疾風の読み方と意味を知って、正しい使い方をしてください。

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