「螺子」とは?
「螺子」という漢字を見て、すぐには読めない方も多いのではないでしょうか。画数が多く、複雑な漢字ですが、実は読み方はとても簡単。本章では、この言葉の読み方や意味、由来などを解説していきます。複雑な漢字もスラスラと読めると、それだけであなたの印象はグッと知的なものになります。ぜひ覚えてみてくださいね。
語句の読み方
「螺子」はそのまま読むと「らし」と読めます。「螺」は「螺旋階段(らせんかいだん)」などでも使われる漢字です。「ラ」は音読みであり、訓読みにすると「ほらがい」「にし」「つぶ」「にな」などと読みます。
また「螺」という漢字は、巻き貝の意味を持ちます。また、巻き貝のように渦巻き状のものに広く使われる漢字です。
なお「螺子」を「らし」と読んでも正解ですが、一般的には「ネジ」と読む場合が多いです。このネジとは、そのまま工作などに用いられる渦状の部品「ネジ」のことです。
「螺子」の意味
「螺子」の意味を調べると、辞書には以下のように記載されています。
【螺子】ねじ
1. 円筒や円錐の面に沿って螺旋(らせん)状の溝を切ったもの。溝を外面に切ったものを雄ねじ、それにはまり合うように内面に切ったものを雌ねじという。物を締めつけるのに用いる。
2. ぜんまいを巻く装置。また、ぜんまい。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
つまり螺子とは、ネジや釘ネジのことを指しているとわかります。2つの物を締めて固定する際に使われる螺子(ネジ)ですが、漢字では「螺子」の他にも、「捩じる・捻じる」という意味から「捩子」や「捻子」と書かれることも。また「ネジ」は、動詞の「捩ず」の連用形であり、「ねぢ」と記載されることもあります。
【豆知識】螺子を発明したのは誰?
実は螺子の起源については、明確になっていません。紀元前400年ごろにアルキタスが発明したという説と、紀元前200年ごろにペルガのアポロニウスが発明したという説があります。さらには、古代ギリシャのアルキメデスが考案した「アルキメディアン・スクリュー」が起源になったという説も。
▲アルキメディアン・スクリュー
歴史を遡っていくと、ルネッサンス期にあたる1500年頃には、レオナルド・ダ・ビンチによって、すでにネジを使った機械装置が作られています。また1700年半ばから起きたヨーロッパの産業革命の頃には、螺子が本格的に普及していたようです。
日本における「ネジ」
日本におけるネジの歴史は、1543年まで遡ります。当時、日本に来たポルトガル人が所有する「火縄銃」に、ネジが使われていたといいます。この時期、多くの日本人がネジの開発を目指しており、ある鍛冶屋は、自身の娘をポルトガル人に嫁がせて、ネジの作成法を習得したという話も残っています。
鉄砲伝来までの日本にはネジというものはなく、また製作のために必要な工作機械などもありませんでした。そのため、ネジを作ることは、当時の日本人には大変困難な作業であり、先述の鍛冶屋の話も頷けます。
「螺子」を使った慣用句
螺子を巻く
一見するとそのまま「ネジという部品を巻く」という意味にも見えますが、だらしない態度や行動をする人物を励ましたり叱ったりすることで、気を引きしめることを指す慣用句としても使われます。例えば「後輩の態度が最近少したるんでいるから、ネジを巻いてやろう」といった言い方ができるでしょう。また自分自身の気を引き締めるときにも使える表現です。「大切なプレゼンの前だから、しっかり螺子を巻いておこう」といった具合です。