自転車に乗る練習はいつから始める?
子どもが自転車に乗る練習は、何歳ごろから始めるのがよいのでしょうか。練習を始める一般的な年齢と、練習をする場所について解説します。
3歳後半ごろからが一般的
自転車に乗る練習は、子どもの成長に合わせて行う必要があります。自転車のハンドル操作とペダルをこぐ動作ができるようになるのは、一般的に3歳後半~4歳にかけてです。この時期を目安にして、自転車の練習を開始するとよいでしょう。
ペダルがなく、足で地面を蹴って前進する「キックバイク」は、2歳ごろから開始できます。製品の対象年齢を確認し、自転車の前段階として取り入れるのもおすすめです。
とはいえ、成長速度には個人差があるので、焦らず子どもに合わせて練習を始めましょう。
練習は広い公園や自転車教室で
自転車の練習は、安全で人の少ない場所で行いましょう。広い公園や河川敷など、転んでもけがをしにくい芝生・土がある、平坦な場所がおすすめです。
ある程度乗れるようになってきたら、走行練習がしやすいコンクリートが向いています。ゆるやかな下り坂もある場所なら、走りやすいスピードが出せるので、バランスを保ちながらの練習が可能です。
また、地域の交通公園や、自転車教室を利用するのも一つの方法。交通公園では、自転車やヘルメットを借りることができたり、正しい交通ルールにのっとった練習ができたりします。
自転車教室は、プロが子どもに乗り方をレクチャーしてくれる教室です。地域で開催されているかどうか、インターネットで検索すると確認できます。
自転車に乗れるようになるためのステップ
子どもに自転車の乗り方を教えるためには、徐々に自転車に慣れさせることが大切です。どのような順番で行うとよいか、ステップごとに解説します。
まずは自転車やブレーキ操作に慣れる
自転車に乗る練習をする前に、まずは子どもを自転車に慣れさせる必要があります。
自転車の左側に立ち、ハンドルを両手で持って、押してまっすぐ歩く練習をしましょう。スムーズに歩けるようになったら、右・左・右・左とハンドル操作の練習を行います。最初はうまくいかないかもしれませんが、ハンドル操作を覚えておくことで、以降の練習を進めやすくなるはずです。
次はブレーキの練習に移ります。自転車の左側に立ち、停止した状態でブレーキを握ったり離したりしてみます。慣れてきたら、先ほどの自転車を押して歩く練習にブレーキを握って止まる動作を取り入れます。ブレーキを握るときの感覚と力加減を覚えるまで、繰り返しましょう。
バランス感覚を養う
自転車に慣れたら、いよいよ乗車の練習をします。この時点では、自転車のペダルを外しておきましょう。自転車に乗るために重要な、バランス感覚を養うことから始めるためです。
サドルにまたがり、キックバイクのように地面を足で蹴って前進します。慣れないうちは片足ずつで挑戦し、片足でできるようになったら両足で地面を蹴るように進めましょう。
バランスが取れるようになると、地面から足を離していられる時間が長くなります。カーブを曲がる練習もしておくとなおよいでしょう。
ペダルをこぐ
バランスが取れるようになったら、自転車にペダルを装着し、ペダルをこぐ練習に進みます。
いきなり走るのではなく、まずはスタンドを立ててペダルを回すだけでかまいません。足を回転させる動きや、ペダルを踏み込む感覚を習得します。感覚をつかんだら、親が自転車の後ろを支えつつ、実際に自転車を走らせる練習です。「地面から足を離すのが怖い」「転びそうで不安」と感じる子どもが多いので、根気よく付き合う必要があります。
何度も繰り返して「バランスが取れている」「支えていなくても乗れるだろう」と判断できたら、徐々に手を離し、ペダルをこぐことに慣れさせましょう。
ハンドル操作を覚える
ペダルをこいで、スムーズに直進できるようになったら、公道を走るためのハンドル操作をマスターしましょう。「ブレーキをかける練習」と「思った方向に曲がる練習」です。
「ブレーキを握ると、自転車のスピードが落ちて自転車が止まる」と子どもが理解するまで、ブレーキの練習をします。ブレーキをかけるタイミングを見計らい、親がハンドルを持って自転車を止めてあげると理解しやすいでしょう。
ブレーキのかけ方を理解したら、目印の手前で停止する練習をします。ハンドル操作は、直線だけでなく、S字に進む練習も必要。安全に公道を走るため、確実に操作できるようにしておきましょう。
スムーズに乗れるようになるためのポイント
子どもに言葉で説明するだけでは、自転車はなかなか上達しません。乗り方の理解を深めるための方法や、練習に対するモチベーションを保つ方法、乗り方のコツを解説します。
お手本を見せる
いくら口頭で伝えても、自転車のこぎ方やブレーキの使い方などは子どもにとって理解が難しいもの。親が実際に自転車に乗ってお手本を見せて、「まねしてみよう」と伝える方が分かりやすいでしょう。
ていねいに教えながら大人が手本を見せることで、コツをつかみやすくなります。一度だけでは分からないこともあるので、何度もお手本を見せてあげましょう。
ポジティブな声かけでやる気アップ
自転車に乗れないうちは、子どもは自転車に対して「怖い」「転ぶと痛い」といったイメージを持っているものです。「早く乗れるようになりたいのに、なかなかうまくいかない」と、焦る子どももいるでしょう。
そこへ大人が「さっきも言ったよ」「どうしてできないの」などと声をかけてしまうと、子どものモチベーションが下がってしまうことに。自転車の練習自体が嫌になってしまうこともあるでしょう。
「ブレーキ、上手になったね」「曲がれるようになってえらいね」など、子どもがポジティブな気持ちで練習できるような声かけをするのがポイント。子どもが楽しくなるように、褒めたり明るく励ましたりしてあげると、自ら進んで練習に取り組むようになります。
体の向きと視線が大切
子どもが「転ぶのが怖い」と思っていると、自然と足元近くの地面を見てしまいがちに。地面や足元ばかり見ているとバランスが取りにくく、蛇行や転倒につながる可能性があるため危険です。
走行練習のコツは、自転車に乗る姿勢と体の向き、そして視線です。体を正面に向け、視線はまっすぐ前を見ていれば、上達が早くなります。
進行方向に親が立って声をかけたり、目印を置いたりして、子どもが前方を向くように工夫しましょう。
自転車に乗る練習をする際に必要なこと
子どもが自転車で公道を走る前に、対策しておくべきことが2点あります。しっかりと確認しておきましょう。
安全対策
自転車の練習中に転倒すると、状況によってはけがにつながる可能性があります。自転車に慣れておらず、受け身を上手に取れない子どもがけがをしないためにも、必ずヘルメットを着用させましょう。ひじやひざ用のプロテクターを着けると、より安全です。
なお「道路交通法 第63条の11」に「保護者は幼児や児童を自転車に乗せる際には、ヘルメットをかぶらせるように努めなければならない」という旨が明記されています。
安全対策として、公園や河川敷など、人が少なく広い安全な場所で練習することはもちろん、転倒したとき身を守る対策をすることも必要です。
交通ルールを教える
自転車に乗って公道を走れるようになると、子どもの行動範囲が広がります。交通ルールを理解していないと、事故に遭ってけがをする原因にも。
教えてもすぐに理解できなかったり、理解しても言うことを聞かなかったりする子どももいるかもしれません。しかし、本人の安全のためには大人が根気よく教える必要があります。
横断歩道の渡り方や標識の意味などを、公道を一緒に走りながら教えましょう。交通公園の利用も効果的です。
また、子どもが嫌がっても、必ずヘルメットを被るように言い聞かせましょう。自転車の事故では頭部のけがが多いこと、事故に遭ったときヘルメットがないと危険なことを、子どもが理解するまでしっかり説明する必要があります。
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