「歳」と「才」の違いとは?正しい用法を解説
年齢を書く際に、「◯歳」と「◯才」のどちらを使うのか迷ったことがある人は少なくないでしょう。どちらも間違いではないものの、正式には「歳」を用いるのが適切とされています。
改まった内容の手紙などを書く際に正しい表現が使えるよう、「歳」と「才」の違いを理解しておきましょう。年齢の正式な表し方や、「歳」の代わりに「才」を使うことがある理由について解説します。
■年齢の正式な表し方は「歳」
年齢を書く際は、数字の後ろに「歳」を付けるのが正式な書き方です。「歳」は助数詞といい、数量を表す言葉にくっつけることで、物の性質や形状を示す役割をもちます。また、「歳月」といった使い方があるように、年月や月日の流れも意味します。
一方で、「才」は生まれつきの才能を意味する言葉です。「歳」の代わりに用いられることがありますが、そもそも年月や年齢に関する意味はありません。よって年齢を書く際は、「◯才」ではなく「◯歳」が正しい用法として使われるのです。
「才」を使うのも間違いではありませんが、新聞やニュースなどの正式な文章では「歳」が使われると覚えておきましょう。
■「歳」ではなく「才」と書くことがある理由
年齢の正式な表し方は「歳」であるのに、なぜ「才」を使うことがあるのかと疑問を抱く人もいるでしょう。「才」が「歳」の代用として用いられる理由には、画数の多さが関係しています。
「歳」は画数が多く、漢字の中でも複雑な部類に分類されるでしょう。また、中学校で習う漢字のため、小学生にとっては書くのが難しいといえます。
その点、「才」は「歳」と同じ読み方で読めるうえに、画数が3画で簡単に書けます。また、木材や織物などの大きさの単位として使われるため、数字とも相性がいい漢字です。
さらに小学校の低学年で習う漢字ということもあり、「歳」を習うまでの代用として「才」を使った書き方が普及しました。
注意点として、「歳」の代わりに「才」が使えるのは年齢を表すときだけです。歳末セールを才末セールと書いたり、歳月を才月と表記したりするのは誤用です。「歳」と「才」の互換は、年齢を表す場合のみに適用されるルールであると理解しておきましょう。
■中国での「歳」と「才」の使い分け方は?
日本と同様に漢字を用いる中国では、「歳」の代わりに「才」を使うことはありません。両者は明確に区別されており、年齢を表す際は「歳」を使用するのがルールです。
一方の「才」は、その人がもつ才能や能力について述べる際に用いられます。また、動作がゆっくりであるという意味をもつのも特徴です。
なお、漢字を使用しない国の場合は、そもそも「歳」と「才」の概念すらありません。「歳」と「才」は漢字を使う国特有の言葉であり、両者を入れ替えて使うケースがあるのは日本のみです。
「歳」の意味と使い方
「歳」と「才」の使い分け方がわかったところで、それぞれの本来の意味や使い方も理解しておきましょう。まずは「歳」の意味や例文などをご紹介します。
■「歳」は年齢を数える際に使う助数詞
「歳」とは、ほかの言葉にくっつけて使う接尾語の一種です。なかでも助数詞に分類され、年齢や年齢を数える際に用いられます。
【歳:さい】
[接尾]助数詞。年齢・年数を数えるのに用いる。「三歳」「満五歳」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「歳」には読み方が2種類あり、年齢を表す際は「さい」、「年」の代わりに名詞として使う場合は「とし」と読みます。後者の使い方の例は、「歳をとる」「歳を聞く」「歳を重ねる」などです。
年齢に関する表現以外では、年月や月日の流れ、一か年という意味ももちます。または、作物の実りを表す言葉として使われるのも特徴です。