「海月」の読み方と意味
前後の文脈がない状態で、「海月」という漢字を正しく読める人は少ないかもしれません。そのまま音読みをすると「かいげつ」ですが、かいげつではありません。「海の月」と聞いて、どのようなものをイメージするでしょうか。漢字から連想するものを当てはめて、読み方を考えてみてください。
海月の正しい読み方は……「くらげ」でした!
海月は、一般的には淡水または海水の中に生息して浮遊生活を送る、刺胞動物門に属する生き物の総称です。ほとんどの人が、一度はゆったりと水族館の水槽を漂う姿を見たことがあるでしょう。
体は透明でゼラチンで構成され、傘の部分から垂れ下がる職種が特徴です。体の約95%が水分です。
大辞泉アプリには次のように記載されています。
【水母/海月:くらげ】
腔腸動物の基本形のうち、浮遊生活を送るもの。ハチクラゲ類・ヒドロ虫類など。体は寒天質からなり、傘の形をしていて、これを伸縮させて泳ぐこともある。傘の中に消化循環系・生殖腺があり、骨はない。傘の周縁に多数並ぶ触手には刺胞があり、強い毒をもつものもある。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
海月は5億年ほど前の化石が発見されているだけでなく、学説ではなんと10億年ほど前から姿をほとんど変えていないとされており、イマジネーションを掻き立てる存在です。
■「海月」の漢字表記の由来
くらげを海月と書くのは、海に漂う姿が反射する月のように見えるからという、なんともロマンチックな理由からのようです。海月は漢字の表記がいくつもあり、「水月」もそのうちの1つです。この水月も、漢字表記の由来は同じだと考えられています。
■読み方の由来は諸説ある
海月はなぜ「くらげ」というのか、由来が気になる人もいるでしょう。読み方の由来には、以下のように諸説あります。
・目がないと思われていたため、見えないだろうとされたことから「暗気」に由来
・クラクラと回転しながら海中を浮かぶ姿に由来
・「輪笥(くるげ)」という丸い入れ物に姿が似ていたことに由来
■“水母”と表記することも
海月の漢字表記は複数あることは、すでにお伝えしました。水月のほか、「水母」と書くこともあります。水母と表記する由来は定かではありませんが、中国の普の時代の『博物志』にルーツがあるとされています。
目の見えるエビが、当時目がないとされていた海月を案内するかのように寄り添っていた、その姿が母と子を連想させるものだったため「水母」になったという説です。
「海月」の特徴
海月の生態や特徴には、あまり知られていないものもあります。たとえば、実は自分ではほとんど泳げません。また、生まれてからずっと同じ姿をしているわけではなく、一般的に海月と認識されているのは大人の姿です。
ここでは海月の特徴のほか、代表的な種類に関しても解説します。
■自分ではほとんど泳げない
海月はリズミカルな傘の動きによって多少は泳いではいるものの、遊泳能力はあまり高くありません。そのため、自力で泳いでいるというよりは、水の流れに逆らうことなく漂っていると表現するのが適切です。なお、この傘の動きは体液を循環させる目的もあります。
■大人になるとよく知られている姿に
海月は生まれたときからずっと、よく知られている姿というわけではありません。一部を除き、ほとんどの海月は次のように成長とともに姿が変化します。
1.プラヌラ(幼生時代)
↓
2.ポリプ
↓
3.ストロビラ
↓
4.エフィラ
↓
5.メテフィラ
↓
6.成体
卵からかえった子どもはプラヌラと呼ばれ、海の底の岩や貝殻などにくっつき、さらに成長すると触手が生え、イソギンチャクに似たポリプとなります。その後体が何層かにくびれ、まつぼっくりのようなストロビラに成長するのです。
ストロビラのくびれた層が1つずつ離れ、海月の赤ちゃんであるエフィラとして海中に泳ぎだします。エフィラが成長すると雪の結晶のようなメテフィラの姿を経て、よく知られている海月の姿(成体)になります。
■代表的な種類
海月の代表的な種類としては、以下のようなものが挙げられます。
・ミズクラゲ
・カラージェリーフィッシュ
・アカクラゲ
・サカサクラゲ
〈ミズクラゲ〉
ミズクラゲは日本各地で生息している、もっともおなじみの海月といえるかもしれません。傘の真ん中のクローバーのような模様は、実は胃です。
〈カラージェリーフィッシュ〉
ころんとしたカラフルな姿で人気のある海月といえば、カラージェリーフィッシュです。東南アジアをはじめとする熱帯地域に生息し、青や赤褐色、白などのカラージェリーフィッシュが存在します。なぜこれほどさまざまな色の個体がいるのか、そのしくみは明らかになっていません。
〈アカクラゲ〉
アカクラゲは、北海道以南の日本海沿岸で見られます。赤い傘と長い触手が特徴で、毒を持っているため注意が必要です。
〈サカサクラゲ〉
いつも逆さまになっているのは、サカサクラゲです。体は薄いピンク色で、サカサクラゲが何匹か水槽にいると、まるで花が咲いているように見えます。
「海月」鑑賞のポイント3つ
海月を鑑賞する際はただ眺めるのではなく、以下の3つポイントをおさえることで、さらにその魅力に迫ることができるでしょう。
1.色に魅了される
2.動きを楽しむ
3.形の違いを観察する
それぞれの内容を解説します。
1.色に魅了される
半透明か透明な海月が多いものの、水族館ではさまざまな色の海月を見ることが可能です。たとえば個体によって青や赤褐色、白など色が異なるカラージェリーフィッシュや、薄いピンク色のサカサクラゲ、赤い触手が特徴のアカクラゲなどです。
同じ種類であっても1匹ずつわずかな色の違いがあるため、見ていて飽きることはないでしょう。
2.動きを楽しむ
海月は、傘部分を広げたり縮ませたりして動いています。この動きを「拍動」といい、種類によってそれぞれの拍動のペースも違うことに気がつきます。水中をゆらゆらと漂う様子をぼんやり見ているだけで癒やされるものですが、海月ごとに異なる拍動のリズムを楽しむのもおすすめです。
3.形の違いを観察する
円盤型の海月がもっともメジャーですが、変わった形の海月も少なくありません。突起や触手がまったくないウリクラゲや、タコのような形のタコクラゲなども存在します。さまざまな種類の海月を観察することで、海月に対する固定概念が覆されるはずです。
「海月」の意味と読み方をおさえよう
海月の読み方は「くらげ」で、海月と書くのは水中を漂う姿が反射する月のように見えるからといわれています。読み方が「くらげ」なのは、目がないと考えられていたため「暗気」に由来している、クラクラと回転しながら浮かんでいるからなど、諸説あるようです。
海月は、眺めているだけで癒しやロマンを感じられる存在です。海月の意味と読み方をおさえて、知識を深めましょう。
▼あわせて読みたい