「快刀乱麻」の基礎知識
「快刀乱麻」の読み方は〈かいとうらんま〉です。日常生活などで使われることは少ないため、あまり馴染みがない言葉だと感じる方は多いでしょう。
はじめに、「快刀乱麻」という表現の詳しい意味などの基礎的な知識から確認していきます。言葉の由来・語源や言い換えができる類語表現、対義語、例文などについても、それぞれ詳しくチェックしていきましょう。
「快刀乱麻」の意味とは?
快刀乱麻の意味は、紛糾している物事や難題などのこじれた物事を、見事に解決・処理することです。快刀乱麻は、中国の故事から作られました。
言葉としては馴染みの薄い方も多いものの、ビジネスシーンなどでは快刀乱麻という言葉にあてはまるような状況が起こりやすいでしょう。非常にポジティブな言葉であり、相手の行動や判断を褒めるときに使われます。
「快刀乱麻」の由来・語源
快刀乱麻の語源は、中国の故事にあります。その故事のなかでは、北斉の高祖・高歓(こうかん)が息子たちに対してもつれた麻糸を解くように命じました。手で麻糸を一本ずつほどこうとする子どもがほとんどであったものの、一人だけ麻糸を刀で斬ることでほどいたという内容です。
このことから、「快刀乱麻」という言葉で、知恵と優れた判断力のある人物が物事をたちどころに解決する姿を表現するようになったといわれています。
「快刀乱麻」の言い換え・類語
快刀乱麻の類語・言い換え表現は、以下のとおりです。
・一刀両断〈いっとうりょうだん〉
・迅速果断〈じんそくかだん〉
・疾風迅雷〈しっぷうじんらい〉
ただし、類語であっても細かなニュアンスが異なる部分があることに注意しましょう。たとえば、一刀両断は「問題を鮮やかに解決する」という意味があるものの、「一刀両断に切り捨てる」などのネガティブなニュアンスもあります。また、迅速果断や疾風迅雷は「素早く対応すること」について使う言葉で、問題を解決することに関する意味はありません。
「快刀乱麻」の対義語
一方で、快刀乱麻の対義語には、以下の四字熟語があります。
・試行錯誤〈しこうさくご〉
試行錯誤とは、失敗を重ねながらでも、良い方法を見つけ出していくことを表す言葉です。失敗を繰り返しつついろいろな方法を試すときに使うため、物事を解決に導いていくときに快刀乱麻のような鮮やかさはありません。「試行錯誤を重ねる」などと使います。
「快刀乱麻」の使い方・例文
実際に言葉の使い方をイメージしやすいように、快刀乱麻の使い方や例文をチェックしていきましょう。
快刀乱麻という言葉は、トラブルが起きたときの対応が大変見事であった場合などに使います。この言葉を使った例文は、以下のとおりです。
・ずっと悩んでいた問題をAさんに相談してみたら、快刀乱麻に解決してくれたよ。
・クライアントからのあの無理難題を解決してしまうなんて、まさに快刀乱麻でした。
快刀乱麻は、目上の方へ使っても失礼になりません。使用する際には、「快刀乱麻のご活躍でした」などと使いましょう。
「快刀乱麻を断つ」もチェック!
快刀乱麻は、「快刀乱麻を断つ」という慣用句としても使われています。そもそも快刀乱麻とは、快刀乱麻を断つという言葉を略したものとして使われるようになったものです。
快刀乱麻は、「快刀」と「乱麻」という二語からできています。快刀とは「よく切れる刀」、乱麻とは「乱れてもつれた麻の糸」のことを指している言葉です。また、麻の糸の特性上、もつれだしてしまうとほどくのが困難になることから、乱麻は物事がもつれたさまなどを表現するようになりました。
快刀乱麻を断つという言葉は、これらの言葉をあわせて、物事をあざやかに解決することに対して使うようになったともいわれています。
それでは、快刀乱麻を断つの意味やその例文について、詳しくチェックしていきましょう。
「快刀乱麻を断つ」の意味は快刀乱麻と同じ?
【快刀(かいとう)乱麻を断・つ】
よく切れる刀で、もつれた麻を切る。もつれた事柄を、もののみごとに処理することのたとえ。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
快刀乱麻を断つとは、研(と)ぎ澄ましたよく切れる刀でもつれた麻を断ち切ることを指します。快刀乱麻を断つの意味は、快刀乱麻と同じです。快刀乱麻を断つを省略して四字熟語として使っている言葉が快刀乱麻であるため、四字熟語かことわざかという違いで使い分けます。
ビジネスシーンで快刀乱麻を断つという言葉を使う場合には、決断力や明晰な頭脳、強力なリーダーシップなどのある優秀な人材を表現します。
「快刀乱麻を断つ」の例文
快刀乱麻を断つという言葉は、絡まった物事をあざやかに解決することを指して使います。快刀乱麻を断つを使う際は、「〜がごとく」と続けることが多いです。それでは、このフレーズを使った例文を見ていきましょう。
・今回の問題について、彼女は快刀乱麻を断つがごとく対応を進めている。
・数時間経過しても収まらなかった会議だったが、Aさんがきたとたんに快刀乱麻を断つとばかりに決まっていった。
・いつでも快刀乱麻を断つがごとくっていうようには、そうそうできないものだよ。
快刀乱麻の意味を理解して正しく使おう
快刀乱麻は中国の故事から作られた言葉で、意味は紛糾している物事や難題などのこじれた物事を、見事に解決・処理することです。非常にポジティブな言葉であり、相手の行動や判断を褒めるときに使われます。
快刀乱麻とは、快刀乱麻を断つという言葉を略して使われるようになったものです。快刀乱麻を断つの意味は、快刀乱麻と同じように使えます。
快刀乱麻の言い換えをしたい場合には、一刀両断や迅速果断、疾風迅雷などの類語表現が使えます。ただし、類語であっても細かなニュアンスや意味が異なる部分があることに注意して、それぞれの言葉を正しく理解して使ってください。
また、快刀乱麻の対義語には、試行錯誤という四字熟語が挙げられます。
言葉が持っている意味・使い方・類語などをしっかりとチェックして、さまざまな言葉を正しく使えるようになりましょう。