「シズル感」とは?
繁華街を散歩中、おいしそうなパスタの写真を見かけたり、カレーのいい匂いを嗅いだりして、食欲が刺激されてつい食べたくなったという経験はありませんか? このように、食欲などを刺激する感覚のことを「シズル感」と言います。この記事では、シズル感について解説します。
シズル感とは、食べ物や飲み物の広告写真で、食欲や購買意欲が刺激される感覚のこと。シズル感は、おいしさや新鮮さなどを購買者に訴えます。CMや広告で、肉汁たっぷりのステーキやみずみずしいゼリーなどを見て、おいしそうと感じる人は多いのではないでしょうか? この感覚こそが、まさにシズル感です。
さて、語源ですがシズル感は英語の「sizzle」という言葉に由来します。「sizzle」とは、お肉がフライパンやグリルで焼かれて、ジュージューと音を立てる様子を意味する英単語です。このようなおいしさを感じられるような情景から、食欲を刺激する感覚を意味するようになっていったわけですね。
シズル感は、デザイン・色・音などを通じて演出することができます。たとえば、炭酸飲料なら炭酸がはじける音を強調する、鍋料理なら湯気がたちのぼる様子をクローズアップするなど、シズル感を引き出すための表現技法はたくさんありますよ。
なぜシズル感は重要なのか
シズル感は、マーケティングの中でユーザーを取り込むための非常に重要な要素です。顧客が商品を選ぶ際に、文字だけではわからない魅力まで感じとれるかは、購買に影響します。五感を通じて、フルに商品の魅力を感じさせることで、ユーザーの心を引き寄せて、購入につなげるというわけですね。
また、最近はSNSの発達によって、きれいな写真や動画をネット上にアップすることが簡単になりました。実際、飲食店の口コミサイトなどにはたくさんの写真・動画があげられています。SNSでの拡散も、商品の宣伝手段。このような社会背景もあって、シズル感はますます重要になっていると考えられます。
シズル感を演出するには?
シズル感あふれる写真を撮ってみたいと思う人もいるかもしれません。そこで、シズル感を演出するにあたってのポイントを紹介します。ぜひひとつの参考にしてみてください。
1:調理している様子を見せる
百貨店などで、ガラス越しに料理人がお惣菜やスイーツをつくっているのを見たことがある方は多いと思います。野菜を切る音や鍋からの湯気、お肉の鮮やかな赤色が五感を刺激しますよね。
2:水滴を使う
冷たい飲み物のシズル感を演出するには、水滴が欠かせません。冷たい飲み物をコップや瓶に入れて、水滴ができることで、冷たさを強調することができます。
3:ツヤを出す
食材にツヤがあると、みずみずしさや新鮮さを強調できます。トマトのような野菜だと、水を吹きかけることでツヤが増し、みずみずしく感じられるでしょう。また刺身ならば、オイルなどを塗ることでツヤ感を演出し、新鮮さを表現できます。
4:光を演出する
撮影する際に、光の位置や当たり方を考慮することで、おいしそうに写せます。また、影の写り方も工夫することで、立体的に見せることも可能です。
5:鮮やかに見せる
色もシズル感の大きな要素です。ローストビーフやハムなどは切り口を見せることで、外側のきつね色と内側の赤色のコントラストが映えます。また、野菜などはトマトやキュウリ、ナスなどいろいろな色の野菜を並べることで鮮やかに見えるでしょう。
6:キャッチコピーにオノマトペを使う
シズル感の演出は文字でも可能です。オノマトペによって臨場感を伝えるわけですね。聴覚なら「グツグツ」「パチパチ」、触覚なら「ツルツル」「プルプル」、食感なら「コッテリ」「カリカリ」などと、アピールしたいポイントをオノマトペで表現するのが効果的です。
シズル感の具体的事例
次に、シズル感の具体的な事例を見ていきましょう。
・ジュージュー焼けるお肉
ステーキ店や焼肉店に行くと、グリルで焼かれるお肉からジュージューという音が聞こえます。お肉はシズル感の代表格といっても過言ではありません。ジュージューという音やお肉の焼けた香り、さらにはきつね色などから、お肉がおいしそうに見えます。
店舗によっては、さらに室内インテリアなどで、お肉をよりおいしそうに見せているところもありますよ。
・トロトロのチーズのピザ
ピザ店では、トロトロのチーズと、サクサクとしたピザ生地がおいしそうに見えますね。
また店舗によっては、調理場のピザ釜が客席から見られるように、オープンになっている場合も。ピザ釜そのものの雰囲気や、ピザが焼きあがる匂い、薪を焼くパチパチといった音などがシズル感を演出していると言えるでしょう。
・グツグツ煮えるお鍋
鍋料理では、グツグツ音や湯気がシズル感を引き立たせます。また、旅館ではひとり用鍋を固形燃料で温めることがありますが、オレンジ色の火の光も雰囲気を引き立たせていると言えるでしょう。
最後に
近年、SNSなどで数多くの料理・食品の写真や動画が拡散されるようになり、シズル感はより重要度を増しました。ユーザーの心をつかむためにも、シズル感は大きな意味を持ちます。
シズル感を演出する技法は、デザインや色、説明文、音などさまざま。ぜひシズル感を意識して、魅力的な商品像をつくったり、写真を撮ったりしてみてくださいね。シズル感を意識した投稿をアップすることで、友達から「どこで食べられるの?」と聞かれたり「素敵なお店知ってるんだね!」と話題になれば、今まで以上に交流が広がるかもしれません!
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