「端午の節句」とは?
端午(たんご)の節句とは、男の子の健やかな成長を願う行事のことです。毎年5月5日の「こどもの日」に行われる、端午の節句。古来より中国から伝来した風習が元となって、この時期に行われるようになったと考えられています。
端午とは、月はじめの午の日という意味。正月を寅月として、十二支に順に月名をつける考え方に基づくと、5月はちょうど午月になります。陽数である奇数が重なる日はめでたい反面、邪気が入りやすいとされました。雨季を迎える5月は病気や災いが起きやすいとも考えられ、5月の午日に、病気などの災いから逃れるための邪気祓いを行っていたのです。
当初は性別や年齢を問わず菖蒲を用いて邪気払いをしていましたが、鎌倉時代に入ると、菖蒲は尚武(しょうぶ、武芸や軍事を重んずる考え方)や勝負に通じていることから、武家社会にも端午の節句が広まっていきました。こうした流れで、流鏑馬(やぶさめ)や菖蒲打ちなどの勇ましい行事が行われるようになり、端午の節句は次第に男の子のための行事として捉えられるようになっていったのです。
「端午の節句」に兜を飾る理由
では、なぜ「端午の節句」に兜を飾るようになったのでしょうか? こちらに関しては、当時の武家社会の風習にも由来していると考えられています。
現在の5月といえば、すがすがしい初夏にあたりますが、旧暦の5月はちょうど梅雨入りに近い時期。そのため、梅雨が来る前に鎧や兜などの武具に風を通し、手入れをするために飾る風習がありました。
兜といえば、戦に使う用具というイメージが強いでしょう。兜をせずに戦をすれば、その分負傷しやすくなり、場合によっては命を落としかねません。そのため、兜は「身を守るための重要な装備」としても捉えられていました。こうした考え方を元に、「男の子を病気や事故などの災厄から守ってくれるように」という願いを込めて、端午の節句に兜を飾るようになったと考えられています。
五月人形を飾る期間は?
男の子に、力強く成長してほしいという願いを込めて飾る五月人形ですが、いつ頃からいつ頃まで飾ればよいのでしょうか? 2月下旬から4月上旬にかけて、店頭にて五月人形が多く販売されるため、初節句の場合はなるべくこの時期に購入すると、さまざまな種類の兜を選ぶことができます。
兜などの五月人形は、この日から飾るべきという厳密な決まりはありません。しかし、一夜飾りは縁起が悪いとされているため、避けるのが無難でしょう。一般的には4月に入ってから飾り始める家が多く、5月5日を終えたら片付ける家もあれば、5月中旬ごろまで飾っておく家もあります。天気がよくて風が穏やかな日に飾るのがおすすめです。
また、五月人形は基本的に子供の災厄の身代わりです。そのため、兄弟がいる場合は、一人一人に五月人形を用意するのが望ましく、中古品やお下がりは避けるとベターという考え方も。しかしそういう場合は「兄弟を見守ってくれる」、「お父さんを守ってくれた人形だから安心だね!」といったように、見守られている実感を持たせてあげる声かけをするとよいでしょう。
兜飾りにはどのようなものがある?
男の子が元気に育つようにと、願いを込めて飾られる五月人形。兜飾りだけでなく、鎧飾りや子供大将飾りなど、ほかにも種類があります。その中でも、コンパクトで飾りやすい兜飾りは大変人気があるのです。
そのため、最近では様々な種類の兜飾りが販売されています。ここでは、兜飾りの種類について紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。
1:収納に適したコンパクトな兜飾り
サイズが大きく伝統のある兜飾りは、立派です。しかしながら、収納スペースをとりますし、飾るにも収納するにも時間がかかってしまいます。
一方、兜を収納する箱台と兜を飾る下台が一緒になったタイプの収納兜飾りだと、手早く飾ることができる上、コンパクトな収納がかないます。デザインの種類も幅広いので、好みの兜飾りが見つけやすいでしょう。
商品名:ぷりふぁ ROITOKA アクリルケース飾り YUKUMO
2:実際にかぶれるタイプの兜飾り
兜飾りといえば、「飾っておくもの」というイメージがありますが、樹脂やアルミなどの軽量素材でできた、実際にかぶれるタイプの着用兜もあります。最近では、ロサンゼルス・エンゼルスのホームランセレブレーションで、大谷翔平選手が兜をかぶっている姿が話題になりました。着用できる兜は、主に3歳から5歳までの子供向けに作られているものが多く、収納兜飾りと同様、デザインも豊富です。また、着用兜にもケース入りのものや、収納に適したものなど、さまざまな種類があります。
商品名:SWEET MOMMY 帽子兜
兜飾りを処分する方法は?
子供が大きくなると、兜飾りを出すことも少なくなるもの。手元に置いておけなくなった兜飾りは、リサイクルショップで買い取ってもらったり、自治体のルールに従ってゴミ回収や不用品回収に出したりすることもできますが、「何となく気が引ける…」という方も少なくないでしょう。
そうした場合には、労いと感謝の気持ちを込めてお寺や神社などで供養をしてもらうのがおすすめ。人形供養を行っている寺社は全国各地にあるので、処分に困った際にはぜひ調べてみてください。兜飾りの種類によっては取り扱ってもらえないこともあるので、必ず事前に確認しましょう。
最後に
今回は、端午の節句で飾られる兜の意味や、種類について紹介しました。男の子の成長を願って行われる、年に一度の大切な行事。素敵な兜飾りを飾って、家族みんなでお祝いしてはいかがでしょう。
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