ランニングコストとは?
ランニングコストとは、ビジネスにおいて、製品やサービスを提供するために継続的に発生する費用のこと。「ランニング(running)」とは、ここでは「運営」といった意味です。
具体的には、製品の生産、販売、配送などに関わる費用がランニングコストに該当します。ランニングコストは、製品やサービスの提供が続く限り、定期的に発生するものなので、経営において非常に重要なコストです。
イニシャルコストとどう違う?
ランニングコストの対義語にあたるのが、「イニシャルコスト」です。「イニシャル(initial)」には「最初の、初めの」という意味があり、「製品やサービスを提供するために最初に発生する費用」のことを指します。
事業を開始する際に必要となる初期投資や設備購入費用などは、まさにイニシャルコスト。わかりやすく日常生活を例に考えると、車や物件の購入にかかる費用はイニシャルコストですが、購入後のガソリン代や光熱費などはランニングコストと言えます。
イニシャルコストはランニングコストと異なり、一度支払えば終わりとなるため、継続的なコストにはなりません。
ランニングコストの言い換え表現について
ランニングコストは、「運営費」「維持費」「運用コスト」「管理費」などと言い換えることができます。これらの表現は、ビジネスや経済においてよく使われているようです。
また、英語では「operating expenses」などとも表現されます。「expenses」は「経費」という意味がありますね。
ランニングコストの例
ランニングコストには、さまざまな項目が含まれます。主な項目について見ていきましょう。
1:人件費
人件費とは、労働に対して支払われる給与や福利厚生費、社会保険料、年金保険料などのこと。給与は従業員に対して月々支払われるものであり、それは雇用契約が継続する限り、発生します。よって、ランニングコストになるのです。
2:仕入原価
仕入原価とは、製品を生産するために必要な原材料や部品の調達にかかる費用のこと。製品・サービスを提供するには、原材料などは不可欠であり、そして常に発生することからランニングコストに含まれます。
3:家賃
オフィスやテナントを借りているのであれば、家賃が月々発生しますね。また、倉庫や駐車場代、土地についても、借りているのであればやはり賃料がかかるでしょう。
4:水道光熱費等
オフィスやテナントで使用する照明や空調には、当然ながら電気代がかかっています。また、皿洗いやトイレで水を使えば水道代の支払いも必要ですね。インターネットを使うのであれば、ネット回線にも月々の費用がかかります。これらは、事業を続ける限り発生するので、ランニングコストになるわけです。
5:広告費
インターネットやテレビなどに定期的に広告を出している場合、ランニングコストとしての広告費も発生します。
6:消耗品費
使用することで消耗・摩耗する事務用品や備品の費用が、消耗品費になります。消耗品に該当するものとして具体的に挙げるなら、コピー用紙・ペン・軍手・インク代・ファイルなど。短期的に消耗し、供給し続けることになるので、ランニングコストに含まれるわけです。
ランニングコストの削減
事業継続において、どうしてもかかってくるランニングコスト。できるだけかかる費用を小さくしたいというのは、事業を営む多くの人の願いですよね。そこで、ランニングコストの削減例をいくつか紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
・オフィスコストの削減
オフィスコストには、家賃・事務用品費・オフィス家具代などが含まれます。特に家賃は占める割合が大きいもの。より安いオフィスに移転する、リモートワークで仕事を完結させてオフィスそのものを借りないようにするなどによって、オフィスコストを削減できるでしょう。
・オペレーションコストの削減
オペレーションコストとは、人件費や物流費のこと。たとえば、業務のプロセスを見直してIT化・自動化を推進することで、人的ミスを減らし効率を上げるといった方法が考えられます。
・エネルギーコストの削減
エネルギーコストも見直してみましょう。たとえば光熱費ですね。省エネを推進し、エネルギー効率の高い家電・機器を使ったりすることで、無駄を減らせます。また、節電の心がけも大事です。
最後に
ランニングコストは、製品やサービスを提供し続けるにあたって発生するものであり、定期的にかかります。初めだけのイニシャルコストとは異なり、製品やサービスを提供する限りは発生し続けるものです。
ランニングコストには、人件費・仕入原価・家賃・光熱費などさまざまな項目が含まれます。これらをいかに管理・合理化するかが、企業の成長にも関わってきますね。
ランニングコストのかかりすぎは収益の低下につながりますが、一方でランニングコストをカットしすぎるのも、製品・サービスの質の低下や社員のモチベーションの低下につながりかねません。バランスの取り方が大切です。
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