「所見」とは?
健康診断の結果や学校の成績書などで見聞きする言葉「所見」。主に医師や学校の先生、専門家などの意見が述べられる際に用いられることの多い言葉です。そのため、所見と聞くと何か決定的な判断が下されるような印象のある方もいるかもしれません。そんな、ちょっぴり緊張感を覚える言葉、「所見」について詳しく見ていきましょう。
「所見」の意味とは?
「所見」は「しょけん」と読み、主に2つの意味があります。
1. 見た事柄。見た結果の判断や意見。
2. ある事についての意見、考え。
〈出典:小学館 デジタル大辞泉〉
「所見」の漢字を詳しく見ていくと、「所」は「場所」や「何かがあるところ」を意味し、「見」には「目で見ること」のほか、「立場」や「考え」という意味があります。
「医学的所見」とは?
「医学的所見」とは、医師が患者を診察して得られた、患者の身体的または心理的な事柄のこと。診察では医師による問診や触診、視診などが行われ、必要に応じて血液検査や画像診断などの検査を実施して、患者の情報を得ます。
医学的所見は医師の診察による事柄です。そのため患者が訴える病歴や症状は、医学的所見には当てはまりません。また、健康診断などで「所見なし」という場合は、「異常なし」ということ。反対に「所見あり」の場合は、「何らかの異常が認められた」という意味です。
「所見」と「診断」の違いとは?
「所見」と同じように医療機関でよく使われる言葉のひとつが「診断」。「診断結果は〇〇です」などということがありますが、この「診断」と「所見」の違いについて見ていきましょう。
「所見」は、患者を診察したことによる医師の意見です。一方で「診断」とは、医師が患者を診察して、健康状態や病気の種類、状況などを、医学的に判断すること。また、その病気の改善や治療のための、医師のアドバイスや注意、指示も「診断」に含まれます。
学校で使われる「所見」とは?
子供たちが学校でもらう通知表には、多くの場合「担任の所見欄」が見られます。この所見欄は、子供の学校での様子を文章で伝える欄です。学期中に担任の先生が見てとれた、子供が頑張った事柄や、成長したポイントが書かれていることが多いでしょう。
所見の使い方を例文でチェック
「所見」の意味を詳しく見てきました。次は実際にどのように使うのか、「所見」の使い方を例文でチェックしていきましょう。
1:「先日、診察を受けられた〇〇さんにつきまして、先生の所見を伺いたく存じます」
専門家などに「所見」をたずねる場合、敬語を使うことが多いと思いますが、その際「所見」に「お」や「ご」をつけて、「お所見」、「ご所見」とはいいません。相手に敬意を示す表現をする場合は、目上の人の意見を聞く際に使える「伺う」や「いただく」を使うことで、へりくだった言い方にすることができます。
2:「検査の結果、異常所見は認められませんでした」
健康診断などの結果で使われる表現です。先述したとおり、検査において「異常所見が認められない」とは、「何らかの異常はなかった」ということ。反対に、何らかの異常があった場合は「異常所見が認められた」などと表現されることがあります。
3:「専門家の所見によると、あの建物は江戸時代初期に建てられたものだそうです」
「専門家の所見」とは「専門家の意見や考え」ということ。「専門家の所見によると~」ということで、伝える内容が専門家の意見だということを示すことができます。
「所見」の類語・言い換え表現は?
「所見」の類語・言い換え表現、似た意味を持つ言葉には、例として「所感」「考察」「見解」「意見」などがあげられます。それぞれの意味や使い方などを見ていきましょう。
1:「所感」
「所感」は「しょかん」と読み、意味は「物事に触れて心に感じたこと」。「行為によってもたらす結果」を表す仏教用語でもあります。ビジネスシーンなどでは、年始に新年の抱負や目標を述べる「年頭所感」などと使われることが多いでしょう。
(例)毎年、新年最初の朝礼で、社長が年頭所感を述べるのが恒例だ。
2:「考察」
「考察」は「こうさつ」と読みます。「物事を解明するために、よく調べ深く考えること」という意味。さらに漢字の意味を詳しく見ていくと、「考」は「思いをめぐらせる」こと。「察」には「詳しく知る」という意味があります。
たとえば、レポートなどであるテーマについて調査し、正確なデータなどを集めて根拠を示しつつ、自身の考えを述べることをいいます。
(例)その国の文化的背景を考察することが重要である。