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2023.08.11

「御用達」の読み方は?本来の意味や例文を交えた使い方、宮内庁御用達についても解説

御用達という言葉を、商品のPRなどで耳にしたことがある方もいるでしょう。御用達は、「お気に入り」というニュアンスで使われることが多い言葉です。しかし、もともとは「御用商人」という意味で用いられていました。本記事では、御用達の意味や使い方などをご紹介します。

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「御用達」の読み方と意味

御用達には複数の読み方があります。また、意味は時代とともに変化してきました。ここでは、御用達の読み方と意味を解説していきます。

江戸時代の商人たち 浮世絵風 イラスト

■読み方の主流は「ごようたし」

御用達の現在の読み方の主流は、「ごようたし」です。しかし、「ごようたつ」や「ごようだち」という読み方も、誤りではありません。もともとは、「ごようたつ」と読まれていたとされ、後に慣用的な読み方として「ごようたし」が広まりました。

「ごようたし」と読むことが多いとはいえ、それ以外の「ごようたつ」や「ごようだち」も誤りではないため、誤読であると指摘するのは避けましょう。

■お気に入りのものをあらわすことが多い

御用達は、「誰かのお気に入りのもの」をあらわす際に使われることが多い言葉です。「セレブ御用達」「芸能人御用達」であるとアピールしている商品を、見たことがある方もいるでしょう。影響力のある人物が愛用している商品やサービスであることをうたい文句にすることで、ブランドイメージを高める効果があると考えられます。

■本来は御用商人を意味する

御用達の「用達」には用事を済ませるという意味のほか、官庁や会社などに品物を納めること、またそれを行う商人という意味があります。この用達に、敬意を示す接頭語の「御」がついたのが御用達です。

そのため、御用達は江戸時代には幕府や諸藩に品物を納められる特権的な商人や、その行為を意味する言葉として使われていました。御用達と認められることで、町人の身分でありながら名字を名乗り太刀を帯びること、つまり「苗字帯刀」が許可されるなどの特権を得られました。さらに、納品物の品質が保証されているイメージにつながるため、多くの商人や業者が御用達を目指したといわれています。

よく聞く「宮内庁御用達」とは

御用達と聞いて、「宮内庁御用達」を思い浮かべる方もいるでしょう。宮内省御用達(宮内庁御用達)制度は、明治時代に誕生しました。現在の宮内庁にあたる宮内省が業者を選定・審査し、皇室への納入を許可した制度であり、やがて宮内省御用達(宮内庁御用達)は、皇室が購入していることを意味するようになりました。

皇居 外観

御用達が現在、誰かのお気に入りのものという意味で使われるのは、明治時代の宮内省御用達(宮内庁御用達)に由来しています。

■現在は存在しない制度

宮内省御用達(宮内庁御用達)制度は、1954年に廃止されています。そのため、現時点で正式に宮内省御用達(宮内庁御用達)に該当する企業や商品は、存在しないといえるでしょう。

制度廃止の理由は、明らかにされていません。しかし、宮内庁の権威にあやかろうとする業者の売り込みが激しくなったことなどが原因といわれています。また、献上には厳格な審査があるにもかかわらず、無償で商品を贈ることで勝手に宮内省御用達(宮内庁御用達)を名乗る業者があらわれたことも、廃止の理由とされます。

■「英国王室御用達」は存在する

イギリスやベルギーでは、現在も王室の御用達制度が存在しています。たとえば、イギリス王室御用達の「ロイヤル・ワラント」として知られているのは、陶磁器の「ウェッジウッド」や宝飾品の「カルティエ」、紅茶の「トワイニング」などです。

【例文付き】御用達の使い方

御用達は本来、幕府や諸藩に出入りして納入を許可された特権的商人、もしくはその行為を意味する言葉でした。しかし、現在は「誰かのお気に入りのもの」という意味でよく使われています。下記に、御用達を用いた例文をご紹介します。

王室 内観

・このチョコレートは、ベルギー王室御用達で知られている

・セレブ御用達のこのレストランは、なかなか予約が取れない

・芸能人御用達のブランドだけあって、気軽に購入できる価格帯ではない

 

御用達の類語・類似表現

御用達が、現在では誰かのお気に入りのものという意味で使われる言葉であることは、すでにお伝えしてきました。ここからは、御用達の類語や類似表現を確認していきましょう。

いいねをする女性の手とスマートフォン

・贔屓

「贔屓」は「ひいき」と読み、気に入った人をとくに引き立てることを意味する言葉です。日頃から商品やサービスなどを利用しているお店で、「今後ともご贔屓のほどよろしくお願いいたします」などと言われたことがある方もいるかもしれません。

贔屓の「贔」の漢字は、財貨である貝を3つ合わせ、重い荷物を背負うことをあらわし、「贔」の漢字は鼻息を荒くすることを示します。

この2つの漢字を合わせた贔屓は、重い荷物を持つために鼻息を荒くして力むという意味になります。そこから転じて誰かのために力むこと、さらに気に入った人をとくに引き立てるという意味で使われるようになりました。

・愛用

「愛用」は、好んで頻繁に使用することという意味です。「これは、彼が愛用している時計です」といったように使います。

・得意先

「得意先」とは、頻繁に品物を購入してくれたり取り引きをしたりする相手のことです。取引先の中でも、とくに取り引きをする頻度が高く、常に購入してくれる相手のことを指します。「得意先に挨拶回りをする」などの形で使います。

御用達の読み方や意味を理解しよう

御用達の現在の読み方の主流は「ごようたし」ですが、「ごようたつ」や「ごようだち」といった読み方も誤りではありません。もともとは「ごようたつ」と読まれていたとされ、後に慣用的な読み方として「ごようたし」が広まったとされています。

江戸時代には御用商人を意味しましたが、明治時代に宮内省御用達(宮内庁御用達)制度が誕生したことで、次第に誰かのお気に入りのものという意味で使われ始めました。御用達の読み方や意味を理解し、正しく使いこなしましょう。

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