どこの学校も「基礎」って言うけど、基礎ってどこからどこまで？【39歳、子連れ再婚の365日vol.33】

次々に開催される入試説明会。どこへ行っても同じような言葉が出てくるが…。【毎週月曜日19時更新】

【登場人物】
あん（私）…メーカー勤務のシングルマザー。8年前に離婚し、実家に出戻り。39歳。
蓮…生意気盛りの小学生。11歳。
臣斗くん…あんの会社の後輩・海斗くんの大学の同級生で再婚相手。34歳。
結衣…蓮の彼女。4年生からS塾に通い中受予定。
お母様…臣斗の母。英語教師で蓮の中学受験を強力プッシュ。

【前回までの話】
シングルマザー歴8年を経て、事実婚という形で再婚に踏み切ったあん。義母から中学受験を進められるもあんは反対派でいたが、息子・蓮の前向きな気持ちと、夫・臣斗のサポートもあり中受へ臨むことを決意。臣斗と新居の選択を巡って意見の食い違いが見られた頃、あんの母親が癌の手術を受ける。術後の経過が良く、あんは家族3人で初の家族旅行へ行くも臣斗と大げんか。その後、あんは臣斗とのセックスレスに気づいてしまう。また追い討ちをかけるよう疑惑の女性からのメッサージを見てしまうが、臣斗の姉と判明し、セックスレスについても話すことができ、家族として新しい一歩を踏み出した。一方、最後の夏休みと呼ばれる受験生にとっての正念場を過ごした蓮は、原因不明の夜泣きを始めるも理由が分からないまま1週間で止まる。蓮を支える中、あんは吐き気が止まらず妊娠を疑うがストレスによる逆流性食道炎と判明するも、それがきっかけで夫婦間のズレに気づいてしまう。9月に入り日曜日まで塾になる中、連が塾講師に暴言を吐かれていたことを知る。謝罪を受けるも先生への信用は戻らず、あんは中受をさせたことへの後悔が膨らむ。そんな中、母の定期検診で癌の再発を知る。

前回の話▶︎先輩ママの言葉に涙。中受に後向きな私にかけてくれた言葉とは【39歳、子連れ再婚の365日vol.32】

Season1『シングルマザーの恋愛』はコチラから

【目次】

入試のヒントをもらいに説明会へ行くも逆に疑問が…

入試のヒントをもらいに説明会へ行くも逆に疑問が…

こんにちは。小学6年生の息子を育てるシングルマザーから、一念発起し再婚を果たしたあおいあんです。

前回は、地元の先輩・早苗さんが昨年経験した中受のあれこれを話してもらい、自分の中の後ろ向きな気持ちにケリをつけられたところまでお話ししました。

気持ちも一新、残り2ヶ月の中受を全力でサポートしようとしていたところ、塾でトップクラスに在籍する小虎くんのママからLINEが。嫌な予感しかしないが、開いてみると

小虎くんママ

お疲れ様！蓮くん塾で大変だったんだって？大丈夫？

蓮が塾講師に暴言を吐かれたことを言っているんだろう。

私

心配ありがとう。もう本人も気にしていないから大丈夫だよ

それにしても、どこで情報を入手したのか。。。

小虎くんママ

川口先生、小虎のクラスも受け持ってるけど、全然暴言とか吐かないし、むしろ丁寧に教えてくれるって言ってたから、ビックリしちゃって！

はいはいそうですよね。お出来になるαクラスは別格だと、おっしゃりたいのですよね。

私

クラスの様子とか見られないし、何があったのかは分からないけど、あともう2ヶ月だし、穏便に全てが終わればいいな

もうこれ以上LINEのやり取りをしたくなかった私は、話を終わらせる方向に向けた。

小虎くんママ

ここまで長かったよね。明日にでも入試受けて早く終わらせたいよ(笑)

いやいや！あと2ヶ月大事だよ。苦手分野だって、過去問だってまだまだ十分に出来てないし。余裕があるって言いたいんだよねきっと。。。

私

さすがだね小虎くん。うちは蓮も私もいっぱいいっぱいだよ。入試説明会やら願書の手続きやら、申し込みを忘れそうで怖い

小虎くんママ

わかるー！私も何度も日付と時間チェックしてる

あれっ!? 小虎くんママのことだから、こんなことでもマウントとってくるのかと思いきや、普通の回答が返ってきた。

私

小虎くんママなら大丈夫だよ。お互いあと2ヶ月頑張ろうね

中受を機に嫌味なママに変身してしまった小虎くんママ。でも元の優しいママが垣間見られて、なんだかホッとした。

しかし、今月は本当に入試説明会が多い。偏差値に余裕のない蓮のために、藁をもすがる思いで、少しでも試験に何が出るのか、1点でも多く取るにはどうしたら良いのか、ヒントを聞きにあちらこちらへ足を運んだ。

校舎と校庭

3〜4校目ぐらいの時、ふと気になったことが。どこの学校へ行っても、先生方は「うちは奇をてらった問題は出しません。基礎ができていれば大丈夫です」と口を揃えて言ってくる。そこで私は「基礎って？学校のレベルによって基礎の基準って変わらない？」と思ってしまったのだ。

なんだかモヤモヤする中、講堂を出て校庭を抜けて帰ろうとすると、校庭の真ん中で5～6人のお母さんたちが何やら集まって井戸端会議をしていた。入試説明会に連れ立って来るなんてなかなか見ないなぁと思って、脇を通り過ぎようとしたら、その集団はなかなかの声で、しかも中国語で話していた。

中国の教育熱はすごいってTVで見たことがあった。何を話しているのか理解できなかったが、この人たちの子どもは絶対合格しそうだと、その圧倒的パワーにやられてしまった。入試当日も子どもたちの間で同じようなことが起こるんだと気づいた私は、帰宅して蓮に早速、そのことを伝えた。

蓮

そんなのしょっちゅう見るよ。学校でも塾でも中国人の子は声が大きいし、騒ぐから当日は大丈夫だよ

私の時代と違い、様々な国の同級生がいる蓮。彼にとっては多国籍の子供と一緒に学んだり遊んだりするのは当たり前の日常なんだなと、改めてイマドキの子どもの大変さを知った。

さて学校側が言っている基礎とはどこからどこまでの問題かを、確かめなくては。まずはS塾へ電話をして聞いてみたところ、30分以上かけてしっかりと範囲を教えてくれた。実は暴言の一件があってから、やたら丁寧になった気がする。過去問の採点もたっぷりと先生のコメントがつけられ、授業後の質問教室も時間をかけてくれているようだった。

そして念には念をと思い、家庭教師の蒼先生が授業をする際、基礎の確認をし、そこを中心に進めてもらうようにお願いした。授業が終わり蒼先生を送り出した後、1件のLINEが。