閑古鳥が鳴くとは?
日常生活やビジネスシーンで、「閑古鳥が鳴く」という表現を耳にしたことはありますか? 「かんこどりがなく」と読みます。人の訪れがなく寂しい様子、ひいては商店など、客足が途絶えて非常に静かになる様子を指します。
「閑古鳥」とは「カッコウ」の別称。人気(ひとけ)のない山里で聞くカッコウの鳴き声は辺りに響いて、かえってもの寂しいことからきた言葉です。騒がしい都会では、カッコウの声がしても気づかないですよね。
閑古鳥が鳴くの使い方
閑古鳥が鳴くという表現は、どのようなシーンで使えばよいのでしょうか? 例文をあげながら紹介します。
1:新規プロジェクトは始めは順調だったが、最近は閑古鳥が鳴く状態だ。
この例文では、プロジェクトが始めは活発だったが、最近になって進捗が停滞し、活動がほとんどない状態に陥っていることを表しています。ビジネスの文脈で使うときは、主に活動や進捗の減少を指す際に使用します。
2:いつも賑やかなはずの公園に行ったが、閑古鳥が鳴いていて人がほとんどいなかった。
ここでは、普段は人で賑わっている場所が、特定の日に異常に静かで人が少ない状況を「閑古鳥が鳴く」と表現しています。日常会話で使う場合、予期せぬ静けさや人通りの少なさを強調したいときに適していますね。
3:新規オープンしたばかりのレストランだけど、立地が悪いせいか閑古鳥が鳴いている。
この例文では、新しくオープンしたレストランが客足が遠のき、あまりにも静かである様子を「閑古鳥が鳴く」と表現しています。商業的な文脈で使う場合、特に客足の少なさや商売の低迷を表すのに適していますね。
間違いやすい使い方
一部では、「閑古鳥が鳴く」を単に、「暇がある」という意味で使うことがあります。例えば「その日は閑古鳥が鳴くほど時間がある」とか、「やることが何もなくて閑古鳥が鳴いている」といった表現ですが、これは誤用です。本来は、活動や人の往来が非常に少ない、閑散とした状況を指す際に使用します。正しい理解を持っていたいものですね。
閑古鳥が鳴くの類義語
閑古鳥が鳴くと同じような意味をもつ言葉には、どんなものがあるのか、それぞれ例文をあげながら紹介します。
門前雀羅を張る(もんぜんじゃくらをはる)
「門前雀羅を張る」とは、「閑古鳥が鳴く」と同様に、来客が少ないこと、人通りが少ないことを意味します。読んで字のごとく「門前に雀を捕らえる罠を張る」という意味で、門前が非常に静かであることを示しています。人を恐れる雀が、門前に多く来るほど人通りがない様子を表しています。以下にその使い方を、例文と共に説明します。
1:最近の商店街は門前雀羅を張るような状態だ。客足がまったく見えない。
この例文では、商店街が客足が途絶え、非常に静かである状況を表しています。特に商業地域や店舗での人通りの少なさを表現する際に用いられます。
2:新しいオフィスは立地が悪く、門前雀羅を張る日が多い。
この文脈では、新しく設立されたオフィスにほとんど人が訪れない、あるいは活気がない状態を指しています。ビジネスの文脈で使う場合、訪問者の少なさや活動の不活発さを示す際に適しています。
3:期待していたイベントも、宣伝不足で門前雀羅を張る結果となった。
ここでは、予想されていた参加者や来場者がほとんどいなかった、イベントの状況を「門前雀羅を張る」と表現しています。イベントや集会など、多くの人が集まることが期待される場面で使われると、その期待と実際のギャップを強調することができます。
客足が遠のく(きゃくあしがとおのく)
「客足が遠のく」という表現は、「閑古鳥が鳴く」と同様に、来客数や来訪者が減少することを指す表現です。特に商業施設や店舗において、以前に比べて客の来店数が減少している状況を示す際に用いられます。以下にその使い方を例文と共に説明します。
1:最近の経済状況の影響で、当店の客足が遠のいている。
この例文では、経済的な影響により、店舗の来店客数が減少している状況を表しています。特に、店舗経営や商売の文脈で使われることが多い表現ですね。
2:この展示会は毎年盛況だったが、今年は客足が遠のいているようだ。
ここでは、過去に比べてイベントや展示会への来場者数が減少している様子を指摘しています。イベントや展示会など、特定の期間に集中して人が訪れる場所での、来訪者数の変動を示すのに適しています。
3:この観光地はかつて人気があったが、最近は客足が遠のいて寂しくなった。
この文脈では、以前は人気のあった観光地が、現在では来訪者数が減少し、静かになっている状況を表しています。観光業や観光地での人気の変動や、来訪者数の減少を表す際に使われますね。
閑古鳥が鳴くの対義語
閑古鳥が鳴くと反対の意味をもつ言葉には、どんなものがあるのか紹介します。
門前市を成す(もんぜんいちをなす)
「門前市を成す」という表現は、「閑古鳥が鳴く」の対義語で、多くの人々が集まり、にぎわいを見せる状況を指します。元々は寺院の門前で市が開かれ、多くの人々が集まる様子から来ています。この表現は、人々が集まる活気ある状況を表すのに用いられます。以下にその使い方を例文と共に説明しましょう。
1:この商店街は週末になると、門前市を成すほどにぎわう。
この例文では、週末に商店街が多くの買い物客でにぎわう様子を表しています。特に、多くの人々が集まる商業地域や、市場でのにぎわいを表現する際に用いられます。
2:毎年開催されるこのフェスティバルは、門前市を成すほど人が集まる。
ここでは、イベントやフェスティバルが非常に人気で、大勢の参加者や観客が集まる様子を指しています。イベントやフェスティバルなど、特定の期間に人々が集まる場所での大規模な集合を示すのに適しています。
3:このリゾート地は夏になると、門前市を成すほど観光客であふれかえる。
この文脈では、夏の観光シーズンになると、観光地が多数の観光客であふれる状況を表しています。観光地やリゾート地などで、特にシーズンごとの観光客の増加を表す際に使われますね。
最後に
「閑古鳥が鳴く」ということわざは、普段あまり使わない言葉かもしれませんね。しかし、表現を理解し、状況に応じて使い分けることで、言葉の魅力を最大限に活かし、コミュニケーションの幅を広げることができます。ぜひ積極的に使ってみてください。
TOP画像/(c) Adobe Stock
執筆
武田さゆり
国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。
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