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【目次】
「蝦で鯛を釣る」とは?
少額の宝くじを購入して、思わぬ高額の賞金が当たった! などというラッキーを経験したことはありませんか? そんなとき「蝦で鯛を釣る」ということわざが思い浮かびますよね。そもそもこの「蝦で鯛を釣る」とは、どのような意味なのか、由来や意味などをチェックしていきましょう。
また「エビ」は「蝦」や「海老」、「蛯」など、いくつかの漢字がありますが、これらの漢字を使い分けした方がいいのかについても見ていきたいと思います。
「蝦で鯛を釣る」の意味は?
「蝦で鯛を釣る」とは、「小さな労力や、少しの手元で多くの利益を得ること」をいったことわざです。略して「えびたい」や、「蝦で鯛」などといわれることもあります。
「蝦で鯛を釣る」の由来は?
魚の王様といわれる鯛は、昔から慶祝事などに欠かすことのできない高級魚として重宝されてきました。そんな高価で貴重な魚を、比較的安く手に入る、小さな蝦で釣ることができるということが「蝦で鯛を釣る」の由来だといわれています。
ちなみに鯛は、なぜ魚の王様といわれているのでしょうか? それは武士が台頭しはじめた平安時代、鋭いヒレを持ち、固いウロコに覆われた鯛の姿が、武士の兜を連想させ、そのことが武士たちにもてはやされ、「魚の王様」と称されるようになったといわれています。
「海老」・「蝦」・「蛯」の漢字の使い分けは?
「エビ」にはいくつかの漢字があり、「海老で鯛を釣る」と表記されることも。どの漢字が正解なのか、違いや使い分けがあるのか気になりますよね。実はこれらには明確な違いはないとされています。すべて甲殻類のエビのことを指しますが、使い分けるとするならポイントがあるようです。
・「海老」… 伊勢海老などのように体が大きく、海底を歩くものをいうことが多い。
・「蝦」… 甘エビや車エビのように、体が大きくなく、海中を泳ぐエビのことをいうことが多い。
・「蛯」… 「海老」の別表記。同じエビのことですが、常用漢字ではないため、使われることは少ないでしょう。
「蝦で鯛を釣る」を使うときの注意点は?
「蝦」と聞くと、伊勢海老など高級な食材をイメージする方も多いのでは? そのため「蝦で鯛を釣る」を「大きな利益を得るためには、それなりの投資が必要」という意味合いで使っている方も少なくないようです。
しかし、このことわざでいわれている「蝦」とは、高価な蝦ではなく、安価で手に入る小さな蝦のこと。よって「少ない手元で大きな利益を得ること」をいうことを意味します。
「蝦で鯛を釣る」の使い方を例文でチェック
「蝦で鯛を釣る」は、少ない労力や負担で大きな対価を得ることですが、ちょっとした贈り物をして、予想以上に大きなお返しをもらうなどの場面にも使われます。では、実際どう使うのか例文をチェックしていきましょう。
【例文】
・100円だけ買った馬券で、万馬券を当てた。蝦で鯛を釣った気分だ。
・蝦で鯛を釣るとまではいかなかったが、まずまずの結果だ。
・誕生日プレゼントのお返しにブランド物を贈ったら、友人は「蝦で鯛が釣れた!」といって喜んでいる。
・蝦で鯛を釣るなんて、そう簡単にうまくいくわけがない。
「蝦で鯛を釣る」に似たことわざ、類語・言い換え表現は?
「蝦で鯛を釣る」に似たことわざや、類語・言い換え表現は「濡れ手で粟」・「麦飯で鯉を釣る」・「一攫千金」・「一粒万倍」などがあげられます。詳しく見ていきましょう。
1:「濡れ手で粟」
「濡れ手で粟」とは「ぬれてであわ」と読み、「あまり苦労せずに多くの利益を得ること」。「濡れ手で泡の掴み取り」と表現されることもあります。この「粟」とはイネ科の穀物のことです。
細かい粒状の粟を濡れた手で触ると、周りの粟粒も勝手についてきます。濡れた手で触れることで普通に手でつかむよりも、多くの粟をつかむことができることから、「苦労せずに利益を得る」という意味合いで使われるようになったといわれています。
2:「麦飯で鯉を釣る」
「麦飯で鯉を釣る」も、「わずかな手元で大きな利益を得る」ことをいうことわざ。あまり一般的に使われていませんが、「蝦で鯛を釣る」と同じ意味合いで使うことができます。
3:「一攫千金」
「一攫千金(いっかくせんきん)」は、「たった一度で、たやすく大きな富を得ること」をいった四字熟語。「攫」は「つかむ」ことを表し、「一攫」は「ひとつかみ」という意味。「千金」は「数え切れないくらいの大金」や「とびきり高価で貴重なもの」ということをいいます。
「一攫千金」は、一度に巨額の富を得るという意味ですが、例えば「一攫千金を夢見る」や「一攫千金狙い」など、とりわけ苦労をせずに、たやすく手に入ることをいう場合に使います。
4:「一粒万倍」
「一粒万倍(いちりゅうまんばい)」は、「小さなものから、大きな利益がある」ということ。小さな一粒の種を撒くと、それが実って、万倍もの収穫を得ることができる、という意味です。また、「小さなものでも粗末にしてはいけない」「小さなよい行ないが、よい結果をもたらす」という意味でも使われます。
「蝦で鯛を釣る」を英語で表現するには?
英語にも、「蝦で鯛を釣る」と似た意味を持つことわざがあります。
「throw a sprat to catch a whale」/「throw a sprat to catch a mackerel」
英語で「蝦で鯛を釣る」を表したい場合、「throw a sprat to catch a whale」や「throw a sprat to catch a mackerel」ということができるでしょう。
「sprat」は「小魚」を意味し、「whale」は「鯨」、「mackerel」は「さば」のこと。直訳すると、「鯨」・「さば」を捕まえるために、小魚を投げるという意味になり、小さな負担で大きな利益を得ることを伝えることができます。
最後に
「蝦で鯛を釣る」という言葉の意味や使い方、類語や英語表現などを見てきました。注意点としては、「蝦」は伊勢海老など高価なものもありますが、「大きな利益を得るためには、それに相応しい労力がいる」という意味で使うのは誤りだということ。安いプレゼントで、高価なお返しをもらったときなど、わずかな労力や負担で大きな利益を得ることをいうのが正しい使い方です。
ちなみに、本当に鯛で鯛は釣れるのか? というと、鯛は蝦などの甲殻類を好んで食べるそう。鯛を釣るときの餌として蝦が使われることが多くあるようです!
TOP画像/(c) Adobe Stock
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