年末年始やGWなど、長期休みには家族や親戚に会いに「帰省」する方も多いのではないでしょうか? ニュースなどでは、交通機関が混雑することから「帰省ラッシュ」という言葉が聞かれることもありますが、そもそも「帰省」とはどのような意味を持つかご存知ですか? また、似た意味を持つ「帰郷」や「里帰り」の意味も気になりますね。
そこで本記事では、「帰省」の意味や使い方、類語・対義語などを解説します。
「帰省」とは?
「帰省」は、「きせい」と読みます。「きしょう」とは読みませんので注意してください。意味を辞書で確認していきましょう。
[名](スル)郷里に帰ること。また、郷里に帰って父母を見舞うこと。帰郷。「墓参りに―する」「―客」《季 夏》「なつかしや―の馬車に山の蝶/秋桜子」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
帰省とは、「郷里に帰ること」。親元を離れて一人暮らしをしている人などが、季節行事や長期休暇などのタイミングで、地元に戻ることを指します。「帰省」の、「帰」は「もとに戻ること」。「省」はたずねる、問うなどの意味があり、辞書によっては「親の安否を気遣う」という意味を記しているものもあります。
また、「帰省」はあくまでも「生まれた場所や父母のいる家に帰ること」なので、距離は関係ありません。両親が同じ県内に住んでいるから帰省とは呼べないなどの決まりは、特にないようです。
参考:『平成ニッポン生活便利帳』(自由国民社)
使い方を例文でチェック!
続いて「帰省」の使い方をチェックしていきましょう。ここでは、「帰省ラッシュ」や実家に帰省する時のお礼の言葉など、シチュエーション別に紹介します。
1:毎年、年末年始は帰省している。
普段離れて暮らしているからこそ、年に一回は必ず実家に帰ることを習慣にしている人もいるのでは? 年末年始やGWなどの長期休暇は、ゆっくりと家族に会いに行けるタイミングでもありますね。
2:帰省ラッシュで高速道路が渋滞しているようだ。
都市部から地方へ、多くの人が一斉に帰省することを「帰省ラッシュ」と呼びます。長期休暇は帰省する人が多いことから、高速道路が渋滞したり、新幹線や飛行機が満席になってチケットが取れなかったりするなどの弊害も出てきます。人によっては、混雑を避けるため日にちを数日ずらして帰省したり、なるべく道が混雑しない時間帯を選ぶ人もいるでしょう。
3:佐藤は帰省中のため、今週末まで不在です。
職場に帰省中の人がいた場合は、取引先などにこのように伝えることもあるでしょう。帰省で1週間近く休むのに、「本日は不在でして」と伝えると、また数日後に電話がかかってきて同じことを伝えることになってしまいます。あらかじめ「帰省のため」と伝えた方が、相手に事情を理解してもらいやすくなるでしょう。
4:帰省の際には、お世話になりました。まだ残暑が続きますのでお身体ご自愛ください。
義理の両親の家に帰省した際は、お世話になったお礼のメールを送ることもありますよね。自分の子供や孫が帰ってくる時には、食事を振る舞ってくれたり、寝具を整えてくれたりと気遣いをしてくれるもの。お世話になったお礼に気遣いのひと言を添えると、きっと喜ばれるでしょう。
類語や言い換え表現は?
「帰省」の類語には、「帰郷」「里帰り」があります。それぞれの意味と、どのような場面で用いられる言葉なのかチェックしてみましょう。
1:帰郷
「帰郷」の読み方は「ききょう」です。意味を確認してみましょう。
[名](スル)故郷に帰ること。帰省(きせい)。「お盆には―したい」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「帰郷」は、「故郷に帰ること」。生まれ育った場所や父母のいる家に帰ることを指します。「故郷」も「郷里」も、「生まれ育った土地」という意味があるため、「帰省」と「帰郷」はほぼ同じ意味として考えられるでしょう。
(例文)
・息子が「地元に帰郷したのは何年ぶりだろう」と喜んでいた。
・「今年のお盆は帰郷するよ」と先輩は言っていた。
2:里帰り
「里帰り(さとがえり)」の意味は複数あります。
[名](スル)
1 新婦が結婚後初めて実家に帰ること。祝言後の3日目・5日目に行うことが多い。
2 妻や奉公人などが実家に帰ること。「子供を連れて久しぶりに―する」
3 外国へ移住した人が故国に帰ること。国外に出ていた品物などが戻ってくることにもいう。「三家族が南米から二〇年目の―をした」「流出文化財が―する」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
本来は、1番の意味のように、女性が結婚後初めて実家に戻る慣習のことを「里帰り」と言っていたようですね。現在では、妻が子供を連れて実家に一時的に帰る時に、「久しぶりに里帰りをした」と表現することが一般的です。普段離れて暮らす両親に、孫の顔を見せたいという気持ちから里帰りをすることが多いでしょう。
(例文)
・姉は結婚後1年ぶりに里帰りした。
・妻は子供たちを連れて実家へ里帰りした。
反対の意味を持つ言葉はある?
「帰省」の対義語としては、「離郷(りきょう)」が挙げられます。
[名](スル)郷里を離れること。「―して三年たつ」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
自分の生まれ育った土地や、家族のもとを離れることを「離郷」と言います。また、そのような人を「離郷者」とも呼ぶようです。「帰省」は地元に帰ることなので、反対の意味になりますね。
(例文)
・彼は離郷してもう10年になるそうだ。
・兄は離郷してからほとんど実家には帰っていない。
最後に
「帰省」とは、「郷里に帰ること」。お正月やお盆などの行事や、GWなどの長期休暇の時を利用して、実家に帰ることです。辞書の意味を参照する限り、実家との距離などは条件に含まれてはいないようです。
現代では、メールやビデオ通話など、連絡を取り合う手段は昔に比べて増えていますが、やはり直接会って元気な顔を見るとホッとするという方も多いでしょう。長期休暇などを利用して帰省するのが良い機会になると良いですね。
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