「彼女の態度が白々しい」「白々しいうそをつく」というように使われる、「白々しい」という言葉。日常会話で時々使う言葉ですが、曖昧なまま使っている方も多いのではないでしょうか? 実は、「白々しい」には4つの意味があるのです。そこで本記事では、「白々しい」の意味や使い方、類語、英語表現を解説します。
「白々しい」とは?
「白々しい」とは、「しらじらしい」と読みます。意味を辞書で確認してみましょう。
[形][文]しらじら・し[シク]
1 白く見えるさま。また、はっきりと見えるさま。「―・い月の光」
「よそにふる物とこそ見め白雪の―・しくも思ほゆるかな」〈重之集〉
2 興ざめなさま。「―・い空気が流れる」
3 うそであったり、本心でなかったりすることが、見え透いているさま。「―・いお世辞」「―・くうそ八百を並べたてる」
4 知っていながら知らないふりをするさま。「―・く初対面のあいさつをする」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「白々しい」には複数の意味がありますが、主に2・3・4の「興ざめなさま」「嘘や本心でないことがはっきりわかること」「知っていながら知らないふりをすること」という意味で使われますね。1番の「白く見えるさま」という意味は、昔の書物などで用いられており、現代ではほぼ使われません。
使い方を例文でチェック!
ここでは、「白々しい」の意味別に例文を紹介します。複数の意味を理解して、うまく使い分けてみましょう。
1:飲み会で上司がギャグを言ったら、白々しい空気が流れた。
2番目の「興ざめなさま」という意味を表した例文です。上司のある一言がきっかけで、それまで盛り上がっていた飲みの席が、一気に興ざめしてしまったという状況ですね。楽しい気持ちやワクワク感がなくなり、つまらない、がっかりしてしまったということです。
2:「よくも白々しいうそをついたな!」と父親に怒られた。
3番目の意味の例文です。あまりに見え透いたうそをついたことで、かえって父親の怒りを爆発させてしまったようです。隠し事をされた上に、バレバレなうそをつかれると「バカにするな!」と怒りたくなるのもうなづけます。最初から素直に謝っていた方が良かったかもしれませんね。
3:彼女から浮気を疑われたが、白々しい態度で押し通した。
4番目の意味の例文です。彼女から「浮気をしているでしょう」と言われても、とぼけたふりをして取り合わないということですね。真相を知っていながら知らないふりをする態度は、どこかよそよそしく疑わしいものです。
類語や言い換え表現は?
「白々しい」の類語には、「よそよそしい」「他人行儀」「明白」などがあります。「白々しい」が持つ複数の意味のうち、どれとよく似ているのかに注目してみていきましょう。
1:よそよそしい
日常会話で時折使われる「よそよそしい」には、どのような意味があるのでしょうか?
[形][文]よそよそ・し[シク]
1 隔てがましく冷淡である。親しみがない。他人行儀である。「―・い態度をとる」「わざと―・くする」
2 無関係である。
「あなうたて、いと―・しきことをも知らせ給ひにけるかな」〈狭衣・三〉
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
態度が冷淡であったり、親しみが感じられないことを「よそよそしい」と言います。何度も会っているにも関わらず、まるで他人のような態度で接してくる相手に対して、「なんだか今日はよそよそしいな」などと言ったりします。知っていながら知っていないふりをするところが、「白々しい」とよく似ていますね。
(例文)
・父と歩いていることが恥ずかしくて、わざとよそよそしくした。
・昨日喧嘩したせいか、Aちゃんの態度がよそよそしい。
2:他人行儀
「他人行儀(たにんぎょうぎ)」の意味は、以下の通りです。
[名・形動]他人に対するように、うちとけないこと。また、そのさま。「仲間内なのに―なあいさつ」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
何度も顔を合わせているのに、いつまでも他人に接するような態度をとることを「他人行儀」と言います。例えば、会社の同期に頑なに敬語で話したり、プライベートで会った時に知らん顔されるなど。本来であれば、打ち解けてもいい関係性にも関わらずよそよそしいと、かえって相手に気を悪くされてしまうかも。
(例文)
・親方から「他人行儀はやめてくれ」と言われた。
・「仲間内なのに、ずいぶん他人行儀な挨拶だな」と先輩は言った。
3:明白
「明白(めいはく)」は、「あきらかで疑う余地のないこと」。「明白な証拠」というように、誰の目が見てもあきらかで、はっきりしたことを指します。「白々しい」が持っている「嘘が見え透いていること」という意味と類似していますよね。
(例文)
・「理由は極めて明白だ」と探偵は言った。
・それには明白な証拠がある。
英語表現は?
「白々しい」と意味が似ている英語表現には、「transparent」「distant」などがあります。言いたい内容に合わせてうまく使い分けてみましょう。
1:transparent
「transparent」は、「(ものが)透き通った」「透き通るほど薄い」などの意味を持つことから、「(口実や意図が)すぐわかる」「明白な」という意味でも使われます。例えば、「見え透いたうそ」は、「a transparent lie」と英訳することができますよ。本心でないことがバレバレなお世辞や、うそを指摘したい場合に使ってみてはいかがでしょうか?
(例文)
・It’s a transparent flattery to say you look younger.(若く見えるなんて、見え透いたお世辞だよ)
・My husband’s lies are transparent.(夫の嘘は見え透いている)
2:distant
「distant」は、「遠い」「距離がある」などの意味があることから、比喩的に「よそよそしい」と表現することができます。態度が妙によそよそしかったり、冷ややかであると「何かわけがあるのでは?」と勘ぐってしまうもの。「a distant greeting」で「よそよそしい挨拶」と表現することもできますよ。
(例文)
・He’s been strangely distant lately.(彼は最近妙によそよそしい)
・Don’t be so distant.(よそよそしい態度はやめてくれ)
最後に
「白々しい」には、4つの意味があることを初めて知ったという方も多いのではないでしょうか? 基本的には、見え透いたことを言ったり、よそよそしい態度をとるなどあまりいい意味ではついません。複数の意味を覚えて、場面にふさわしい使い方をしてみてはいかがでしょうか?
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