「てにをは」とは
まずは、「てにをは」の意味や由来について解説します。
「てにをは」の意味
「てにをは」とは、「は」「を」「が」「も」「に」など、日本語の単語と単語をつないだり文章に一定の意味を加えたりする助詞のことです。
【てにをは】
「てにをは」は、「日本語の助詞」のことであり、転じて「日本語の文章表現の整合性」あるいは「日本語の文章能力そのもの」の意味で用いられる表現である。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「てにをは」の使い方を間違えると、話の辻褄が合わなかったり、ニュアンスが異なる文章になったりするので注意が必要です。
「てにをは」の由来
「てにをは」は、もともと奈良時代に、漢文を読むために漢字の横につけられた「ヲコト点」に由来しているといわれています。
【ヲコト点】をことてん
古く漢文訓読の際、漢字の読み方を示すために漢字の字面の四隅・上下・中央などに記入した符号。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「てにをは」は、昔は助動詞、用言の活用語尾、接尾語など補助的な働きをするものの総称でした。今では話の辻褄が合わないときに、「てにをはが合わない」などと比喩として使われることがあります。
「てにをは」の使い方と注意点
話すときは「てにをは」を間違えても、前後の文脈から何となく意味が通じてしまうことも多いですが、良い文章を書くためには「てにをは」を正しく使用することが大切です。
「てにをは」の使い方と注意点について詳しく解説します。
「が」と「は」の使い分け
「が」と「は」は主語と一緒に使用しますが、一語変わるだけで印象が変わります。
・彼がプレゼントをくれた
・彼はプレゼントをくれた
「が」は主語を強調しており、「は」は事実を客観的に表現しています。使い方を間違えると、主語がぼやけた印象になるので注意しましょう。
「が」と「を」の使い分け
「が」と「を」は、願望や意志を表す助詞です。
・紅茶が飲みたい
・私は紅茶を飲みたい
どちらも同じ意味ですが、自分の意志を強調したい場合は「が」を使用したほうが気持ちをより強く伝えられます。
「へ」と「に」の使い分け
「へ」と「に」は、行き先を表す助詞です。
・学校へ行きます
・学校に行きます
目的地がある方向に向かいたい場合は「へ」、目的地を強調したい場合は「に」を使用します。「へ」と「に」を使い分けることで、自分の動作をより具体的、かつ正しい印象で伝えることが可能です。
「で」と「に」の使い分け
「で」と「に」は、 モノやコトと一緒に使われる助詞です。
・会社で打ち合わせがあります
・会社にパソコンがあります
モノやコトをするために使われる助詞は「で」、モノやコトがある場所を伝えたい場合は「に」を使用します。
「てにをは」の誤用を減らすコツ
「てにをは」の誤用を減らすには、以下のようなコツがあります。
それぞれのコツについて詳しく解説します。
書いた文章を声に出して読む
「てにをは」の誤用を減らすには、書いた文章を声に出して読むことがおすすめです。黙読で文章を目で追いながら文章を確認する方法もありますが、聴覚を使うことで違和感により気づきやすくなります。
資料や論文など書類の提出までに時間の余裕がある場合は、一晩寝かせて翌日に声に出して読み返してみましょう。書き上げた直後より冷静に自分の文章に向き合えるため、誤用を見つけやすくなります。
文章を第三者に確認してもらう
自分で書いた文章を自身で確認するのには限界があり、声に出して読み返しても間違いに気づけないことも多いです。「てにをは」の誤用を減らしたいなら、自身で書いた文章を第三者に確認してもらいましょう。第三者であれば、「てにをは」を正しく使えているかを客観的に判断できます。
また第三者に確認してもらえれば、誤用だけでなく、文章の読みやすさも確認してもらえます。自分では完璧と感じていても、第三者の視点では文章が分かりづらいと感じることも多いです。客観的な視点で読んだときの意見をもらい、修正すれば読みやすい文章に仕上げられます。
チェックツールを活用する
「てにをは」の誤用を見つけるには、チェックツールを活用するのもひとつの方法です。Wordなど文章作成時に利用するソフトには、チェックツール機能が搭載されています。
完璧に間違いを見つけられるわけではありませんが、大きな間違いがある場合は「てにをは」の誤用を見つけられることが多いです。無料で使えるチェックツールもあるため、文章を一通り書き終えた際の確認方法として活用するのがおすすめです。
良質な文章をたくさん読む
「てにをは」を正しく使うには、文章力を身につけることが大切です。文章力を身につけるには、良質な文章をたくさん読むことが求められます。ビジネス本や小説だけでなく、エッセイや雑誌記事など多種多様なジャンルを読みましょう。
さまざまな場面で使われる「てにをは」に触れることで、自分で文章を書く際の参考になります。文章を自分の中にインプットできれば、読み応えのある文章を書くことが可能です。
「てにをは」の使い方を習得しよう!
「てにをは」は、語と語をつないで文章に意味を持たせる重要な役割があります。使い方を間違えると話の辻褄が合わず、読みづらく理解しづらい文章になることが多いです。良い文章を書くには、「てにをは」の使い方を習得して正しく使い分けることが大切です。
しかし、どんなに気をつけていても使い方を間違えることがあります。誤用を減らすには、文章を声に出して読んだり第三者に確認してもらったりするのがおすすめです。近年は無料で使えるチェックツールもあるため、うまく活用して誤用を減らしましょう。
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