「折り返し」とは?簡単に基礎知識を解説
「折り返し」は、「折返し」と漢字表記する場合もあります。
折り返しには、名詞としての意味や副詞としての意味があります。また名詞として用いる場合だけでも複数の意味を持つ言葉です。そのため、内容を正しく把握するためには、単語としての意味を理解したうえで、文脈から読み解く必要があるといえるでしょう。
それでは、名詞としての意味や副詞としての意味、電車における折り返し運転、使い方・例文を解説します。あわせて、電話で折り返しが必要なときの伝え方も確認しておきましょう。
名詞での意味は「ある地点から引き返すこと」など
おり‐かえし【折(り)返し】をりかへし
一(名)
1.着物などを折って二重にすること。また、その部分や折り目。「ズボンの―」
2.ある地点から引き返すこと。また、その地点。折り返し点。
3.全体の中間を過ぎること。前半が終わり、後半になること。「リーグ戦が―の時期を迎える」
4.詩歌の、末尾の語句の繰り返し。リフレーン。ルフラン。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
折り返しを名詞として用いる場合の意味には、「衣服に関するもの」「地点に関するもの」「全体から見たもの」「詩歌に関するもの」があります。
●衣服に関する意味は、「着物などを折って二重にすること」「折って二重にした部分」「折り目」など
●地点に関する意味は、「ある地点から引き返すこと」「引き返した地点」「折り返し点」など
●全体から見た際の意味は、「全体の中間を過ぎること」「前半が終わり、後半になること」など
●詩歌における意味では、「末尾の語句の繰り返し」「リフレーン」など
副詞での意味は「間を置かず対応するさま」
副詞として折り返しを使う場合の意味は、「手紙・問いかけなどに対して、間を置かず対応するさま」です。「着いてすぐ帰っていくさま」「すぐさま」「ただちに」という意味もあります。
「折り返し電話いたします」と伝える場合の折り返しは、副詞としての「手紙・問いかけなどに対して、間を置かず対応するさま」という意味です。
相手からの手紙・問いかけなどに対応をする際に用いる言葉であるため、こちらから連絡した場合に「また折り返し連絡します」と伝えるのは不自然だと考えられるでしょう。
おり‐かえし【折(り)返し】をりかへし
二(副)手紙・問いかけなどに対し、間を置かず対応するさま。また、着いてすぐ帰っていくさま。すぐさま。ただちに。「―電話します」「―帰路につく」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
電車における折り返し運転とは
おりかえし‐うんてん【折(り)返し運転】をりかへし‐
鉄道・バスなどで、不通区間が生じたとき、その両端の駅・停留場まで行き、そこから引き返す形で運行すること。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
電車やバスなどの乗り物に関して折り返しを使う際によく用いられるのが、「折り返し運転」というフレーズです。
たとえば、A駅からB駅やC駅を通ってD駅まで行く電車があったとします。終点のD駅まで行った電車を、そこからD駅→C駅→B駅→A駅と引き返す形で運行することを、折り返し運転といいます。
折り返しの使い方・例文
折り返しの使い方を、簡単な例文で確認しておきましょう。
〈衣服に関する使い方〉
・ズボンの折り返し部分が肌にあたっていて、気になってしまう。
〈地点に関する使い方〉
・どうやら迷ってしまったようだ。あの交差点で折り返そう。
〈全体から見た際の使い方〉
・そろそろ折り返しの時期を迎えます。
〈副詞として使う場合の使い方〉
・ご質問いただいた件を確認次第、折り返し連絡いたします。
電話で折り返しが必要なときの伝え方
取引先から電話がかかってきたときに、担当者が会議などで席を外している場合があります。このような場合には、担当者が戻ってきたときにまた改めてこちらから連絡することを以下のように伝えます。
・〇〇が戻りましたら、折り返しお電話を差し上げてよろしいでしょうか。
会議や少しだけ席を外しているときなどは、担当者の大まかな戻り時間がわかります。電話先の相手にも大まかな戻り時間を伝えておくと、よりスムーズです。
基本的に、電話で連絡があったときには折り返しの連絡も電話でおこなうのがマナーです。ただし、相手が折り返しの電話に出られなかった場合などは、メールでも連絡しておくとコミュニケーションがスムーズになることがあります。
折り返しの類語・言い換え表現2つ
折り返しの類語・言い換え表現には、「回転」「ターン」のようなものがあります。
また、「引き返す」「帰る」「取って返す」「踵(きびす)を返す」「ユーターン」「即刻」「即座」「即時」なども、折り返しの類語や言い換えが可能な表現です。
それでは、類語・言い換え表現のうち、「転回」や「ターン」の意味などを確認していきましょう。
転回
転回も、複数の意味を持つ言葉です。たとえば、「ぐるりと回ること」「回転」「向きが変わること」「方針などが大きく変わること」などの意味があります。
また、体操に関する意味は「からだを回転させる運動」、和音に関する意味は「根音以外の音が最下声となるように、音の上下関係を置き換えること」です。
折り返しと意味が似ているものの、異なる意味もあるため、意味を理解してうまく使い分けましょう。
ターン
ターンにも複数の意味があります。たとえば、「回転すること」「向きを変えること」「水泳やマラソンで折り返すこと」「全体の中間を過ぎること」などです。
また、社交ダンスでは「旋回すること」、 スキーでは「回転すること」、音楽では「主要音の上の音から始まって、主要音とその下の音を経て主要音に帰るもの」などの意味があります。
複数人でおこなうゲームでは、「各人の番」「その人が何らかの動作をおこなえる番」のことをターンといいます。
こちらも、社交ダンスやスキー、音楽、複数人でおこなうゲームでの意味などは、折り返しの意味とは異なるものです。折り返しの持つ意味のうち、「着物などを折って二重にすること」などの意味も、ターンにはありません。
折り返しという言葉を理解しよう
折り返しというフレーズには、数多くの意味があります。名詞として用いる場合の意味だけでも、衣服に関するもの・地点に関するもの・全体から見たもの・詩歌に関するものがある言葉です。
ビジネスシーンでは、「折り返しお電話を差し上げてよろしいでしょうか」「折り返し連絡をいただけますか」などと使います。
折り返しと似た意味を持つ言葉は、「転回」や「ターン」などです。とはいえ、類語・言い換え表現であっても少しずつ異なるニュアンスがあるため、実際に使用する際は注意しておきましょう。
折り返しや関連する言葉の意味・使い方などを正しく理解し、ぜひ活用してください。
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