「一環」とは何?簡単に基礎知識を解説
「一環」の読み方は「いっかん」です。一環には、「互いに密接な関係をもつものの一部分」などの意味があります。
はじめに、一環の意味や「~の一環として」「~の一環で」などの使い方・例文を確認しておきましょう。あわせて、一環の類語・言い換え表現も解説します。
意味は「密接な関係をもつものの一部分」
いっ‐かん【一環】‐クワン
1.鎖などの一つの輪。
2.互いに密接な関係をもつものの一部分。全体の一部分。「記念行事の―として」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
一環とは、「互いに密接な関係をもつものの一部分」「全体の一部分」という意味がある言葉です。たとえば、「記念行事の一環として」「花壇の緑化も校内美化の一環です」などと表現します。複数ある関連するもののうち、一部分にフォーカスして伝えたいときなどに使える表現です。
また、一環という同じ言葉で「鎖などの一つの輪」を意味する場合もあります。
「~の一環として」「~の一環で」などの使い方・例文
それでは、一環の使い方を例文で簡単に確認しておきましょう。
・創業から50周年になる記念行事の一環で、スペシャルゲストを招待しています。
・周年記念キャンペーンの一環として、来週から限定商品を発売する予定です。
・新入社員への研修の一環として、チームに分かれてディスカッションをおこないます。
・プロジェクトのメンバーと飲みに行くのも、職場でのコミュニケーションの一環だ。
一環という言葉は、このように「~の一環として」「~の一環で」などの形で使うことが多いです。
一環の類語・言い換え表現
一環の類語・言い換え表現には、多くの言葉が挙げられます。類語・言い換え表現の例は、以下のとおりです。
・一端
…… 一方のはし。片はし。一部分。
・一方
……一つの方面。一つの方向。二つあるうちの一つ。片方。もっぱらその方向・方面にかたよること。~する反面。関連するもう一つのほうについて言うと。
・片方
……対になっているものの一つ。片側。対立する二つの立場の一方。
・片一方
……二つのうちの一方。片方。
・片割れ
……割れた器物などの一片。また、対になっているものの一方。一つのものから分かれたもの。 仲間の一人。
・他方
……ほかの方面。別の方向。また、二つのものの、もう一方。(副詞的に用いて)ほかの方面から見ると。
・一面
……物体の一つの面。物事のある一つの側面。辺り一帯。初めて会うこと。一度の面会。新聞の第1ページ。面をもつものの一つ。
・半面
……顔の半分。ある広さの表面の半分。物事の片方の面。一面。
・側面
……正面に対して、横の面。中心的でないわきの方面。いろいろの性質・特色などがあるうちの一つ。数学で、角柱・角錐の、底面以外の面。
これらのほか、「他面」「片側」「片面」「片端」「一半」「片鱗」「一面的」「一方的」「サイド」も、一環の類語・言い換え表現です。
一環と同じ読み方の関連語
言葉のなかには、一環と同じく「いっかん」という読み方をする同音異義語が複数あります。たとえば、以下の言葉が一環と同じ読み方の関連語です。一貫、一管、一巻、一竿など。
これらのほかに、「一寒(いっかん)」も同様の読み方をします。一寒とは、「身につけている着物が薄く、いかにも寒そうなこと」「ひどく貧しいこと」「ひと冬」を意味する言葉です。同じ読み方でも意味がまったく異なるため、文章を書く際は注意が必要です。
それでは、一環と同じ読み方をする関連語もあわせて確認していきましょう。
一貫
「一貫」とは、「一つの方針・方法・態度で、はじめから終わりまでつらぬき通すこと」を指す言葉です。また、「重量の単位」や「昔の貨幣の単位」を表す場合もあります。
一貫を用いた言葉には、「一貫教育(いっかんきょういく)」「一貫作業(いっかんさぎょう)」「一貫性(いっかんせい)」などがあります。
類語表現は、「貫く(つらぬく) 」「徹する(てっする) 」「終始(しゅうし)」などです。
一管
「一管」とは、「笛・筆など、管の形のもの1本」を指す言葉です。または、「能の囃子(はやし)の一形式」「笛の奏者が一人だけで演奏するもの」を表す場合もあります。
一巻
「一巻」とは、「巻物・フィルムなど巻いてあるもの一つ」のことです。また、巻物になっていない書物にも用いることがあります。「最初の巻」「第1巻」も、一巻と表現可能です。
一巻を用いた表現に、「一巻の終わり」があります。1巻からなる物語が終わるという意味からできた言葉で、「物事の結末がついてしまうこと」を指す表現です。特に、死ぬことや、すでに手遅れであることを表します。
また、一巻と書いて「いちまき」と、「一巻(き)」と書いて「ひとまき」と読むこともあります。
一竿
一竿とは、「1本のさお」を意味する言葉です。特に、「釣りざお」を指すことが多いとされています。
一竿を用いた表現に、「一竿(いっかん)の風月(ふうげつ)」があります。一竿の風月とは、「1本の釣りざおを友に自然の風物を楽しみ、俗事を忘れること」を意味する表現です。これは、陸游「感旧詩」からきた言葉だとされています。
一環という言葉を理解しよう
一環とは、「互いに密接な関係をもつものの一部分」などの意味をもつ言葉です。一環は、「~の一環として」「~の一環で」などの使い方をすることがよくあります。
一環と似た意味をもつ言葉には、「一端」「一方」「片方」「片一方」「片割れ」「他方」「一面」など、複数の表現があります。とはいえ、類語・言い換え表現であっても意味が異なる部分があるため、それぞれの言葉を正しく理解して、使い分けに注意しましょう。
また、一環と同じく「いっかん」と読む表現には、「一貫」「一管」「一巻」「一竿」「一寒」があります。
一環や類語・言い換え表現、同音異義語のもつ意味や使い方などの理解を深めて、日常生活で自信をもって使えるようになりましょう。
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