「一気呵成」とは一気に文章を書き上げること
【一気呵成(いっきかせい)】
《「呵」は息を吹きかける意》ひといきに文章を書き上げること。また、ひといきに仕事を成し遂げること。「脚本を―に書き上げる」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「一気呵成」とは、一気に文章を書き上げる様を表現した言葉です。物事を始めたら、最後までやり遂げることを意味します。
「一気呵成」は、「一気」と「呵成」の2つに分けられます。一気は「一呼吸のうちに」という意味です。「呵成」の呵には「息を吹きかける」、成には「完成する」という意味が込められています。つまり、「呵成」は息を吹きかけて完成させる様を表現した言葉といえるでしょう。
したがって、「一気呵成」は、休憩や休息を取らずに一気に作業を終わらせる効率の良さを表現した言葉といえます。
「一気呵成」の使い方
「一気呵成」の使い方は、以下のとおりです。
・私の父は真面目な性格なため、何事も【一気呵成】に仕上げないと気が済まないようです。
・我が家は共働きのため、週末を利用して一週間の献立を【一気呵成】に仕上げるのが決まりです。
・【一気呵成】の人は、せっかちに思われやすいかもしれません。
・明日提出する予定のレポートを、今晩【一気呵成】に仕上げる予定です。
「一気呵成」を使用する場合は、通常よりも早く仕上げるという意味合いが強いです。そのため、「一気呵成に仕上げる」「一気呵成に終わらせる」といった表現が多いでしょう。
「一気呵成」の類義語5つ
「一気呵成」の類義語は、以下の5つです。
・一網打尽
・破竹の勢い
・一瀉千里
・懸河之弁
・一足飛び
「一網打尽」とは、1回にすべてを捕まえるという意味の言葉です。「破竹の勢い」は、物事が勢いよく進む様を表現しています。「一瀉千里」とは、川が勢いよく流れる様からできた言葉です。
「懸河之弁」は、つまらずに流暢に話す様子を表したいときに使用します。「一足飛び」とは、一気に移動するという意味を持つ言葉です。ここでは、「一気呵成」の類義語をご紹介します。
【類語1】一網打尽(いちもうだじん)
【一網打尽(いちもうだじん)】
《「宋史」范純仁伝から》一度打った網でそこにいる魚を全部捕らえること。転じて、一味の者を一度に全部捕らえること。「密輸グループを―にする」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「一網打尽」とは、1回ですべてを捕らえるという意味をもつ言葉です。「一網打尽」の「一網」には「網を一度に打つ」、「打尽」には「すべてを捕らえる」という意味が込められています。
もともと「一網打尽」は、魚やほかの生物を一度で捕まえるという意味で使用されていましたが、意味合いが派生して、犯人を一度に捕まえる、複雑な事柄を一度に片付けるとの意味でも使われています。
【例文】
・警察が犯罪組織に潜入した結果、【一網打尽】に成功しました。
・優秀なスタッフが、システム上で発生したトラブルを【一網打尽】に解決しました。
【類語2】破竹の勢い(はちくのいきおい)
【破竹の勢い(はちくのいきおい)】
《「晋書」杜預伝から》竹が最初の一節を割るとあとは一気に割れるように、勢いが激しくてとどめがたいこと。「―で連戦連勝する」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「破竹の勢い」とは、物事が勢いよく進んでいく様を表した言葉です。竹は節があるため簡単に割れないものの、節さえ割れればスムーズに割れる様子からできた言葉といわれています。
【例文】
・【破竹の勢い】で、全国制覇を目指していこうと思います。
・【破竹の勢い】で物事を進めたからこそ、このような罠にかかってしまったのかもしれない。
・【破竹の勢い】で、勝利を次々に掴んでいきました。
【類語3】一瀉千里(いっしゃせんり)
【一瀉千里(いっしゃせんり)】
《川の水が一度流れだすと、またたく間に千里も流れる意から》
1.物事が速やかにはかどり進むこと。「仕事を―に片付ける」
2.文章や弁舌のよどみないことのたとえ。「―に物語る」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「一瀉千里」とは、物事がスムーズに進む様を表現した言葉のことです。川が勢いよく流れる様子からできた言葉だといわれています。そのため、文章を一気に書き上げるという意味を持つ「一気呵成」と似た言葉だといえるでしょう。
【例文】
・長年続いた親族間での争いは、敏腕弁護士の登場で【一瀉千里】に解決しました。
・【一瀉千里】で書き上げた電子書籍の売れ行きが、好評のようで安心しました。
【類語4】懸河之弁(けんがのべん)
「懸河之弁」は「けんがのべん」と読み、弁舌が流暢である様を意味する言葉です。「懸河之弁」の「懸河」は、傾斜のように滝の流れが速いようすを表現しています。そのため、「一気呵成」とは「一呼吸に、一気に」という点が共通しています。
【例文】
・私の妻は【懸河之弁】であるため、口喧嘩では勝てません。
・昨日のスピーチは、【懸河之弁】でした。
・私の状来の夢はアナウンサーなので、【懸河之弁】でなくてはいけません。
【類語5】一足飛び(いっそくとび)
【一足飛び(いっそくとび)】
1.両足をそろえて飛ぶこと。
2.目的の地点まで一気に移動すること。「三階まで―に駆け上がる」「飛行機で―だ」
3.順序を踏まないで、飛び越えて進むこと。一気に飛び越えること。「―の昇進」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「一足飛び」とは、目的地まで一気に移動する様子や、一気に飛び越える様を表現した言葉です。そのため、「一気呵成」の「一気」と似た意味の言葉といえるでしょう。ほかにも、両足を揃えて飛ぶ様子を表したいときにも用います。
【例文】
・私の父は会社で大きな成果を挙げたため、【一足飛び】で昇給しました。
・いとこが発表した小説が大きな話題となり、【一足飛び】で有名になりました。
「一気呵成」の対義語2つ
「一気呵成」の対義語は、「熟慮断行」と「沈思黙考」の2つです。「熟慮断行」とは、よく考えたうえで行動する様を表現する言葉です。
「沈思黙考」は、静かにじっくり考える様子を表すときに使用します。どちらの言葉も、一気に物事を進める「一気呵成」とは反対の意味を持っているといえるでしょう。ここでは、「一気呵成」の対義語について解説します。
【対義語1】熟慮断行(じゅくりょだんこう)
【熟慮断行(じゅくりょだんこう)】
よく考えたうえで思いきって事を行うこと。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「熟慮断行」とは、物事の判断をする際によく考えたうえで行動するという意味の言葉です。熟慮には「さまざまな要素について、よく考えること」、断行には「困難を乗り切って行動すること」の意味があります。
そのため、一気に物事を進める「一気呵成」とは、反対の意味を持つ言葉といえるでしょう。
【例文】
・プロジェクトのリーダーは、業務をうまく遂行するために【熟慮断行】を行う必要があります。
【対義語2】沈思黙考(ちんしもっこう)
【沈思黙考(ちんしもっこう)】
沈黙して深く考えること。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「沈思黙考」とは、静かにじっくり考える様を表した言葉です。「沈思黙考」の「沈思」には「物事について深く考える」、「黙考」には「静かに考える」という意味があります。そのため、「一気呵成」とは反対の意味を持つ言葉だと判断できます。
【例文】
・卒論のテーマは卒業に関わる重要な事柄であるため、【沈思黙考】しなければいけません。
・最近はなにかと忙しく、【沈思黙考】する時間を確保できずにいます。
「一気呵成」の正しい使い方を覚えよう
「一気呵成」とは、一気に文章を書き上げる様から転じて、最後までやり遂げるという意味を持つ言葉です。休息や休憩を取らずに仕上げる様子から、効率の良さを表現しているともいえるでしょう。
「一気呵成」には、「一網打尽」や「破竹の勢い」といった類義語があります。それぞれ似た意味を持つ言葉ではあるものの、正確には異なるため、正しく使い分けることが大切です。また、対義語の使い方にも注意しましょう。
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