ロジックツリー
ロジックツリーは複雑な問題を論理的に分解し、構造化するためのフレームワークです。まず大きな課題を小さな要素に分解します。その後、それぞれの関係性を明確にすることで問題の全体像を把握し、効果的な解決策を見いだします。
たとえば「売上を増加させる」という目標に対して、「新規顧客獲得」「既存顧客の購買頻度向上」「客単価アップ」などの要因に分解し、それぞれの要因を具体的な施策に掘り下げていくところがポイントです。
ロジックツリーの作成には、上位概念から下位概念へと枝分かれさせていく「トップダウン型」と、具体的な要素から上位概念を導き出す「ボトムアップ型」があります。状況に応じて、適切な方法を選択する必要があります。
MECE
MECEは、「Mutually Exclusive(相互排他的)」と「Collectively Exhaustive(全体網羅的)」の頭文字を取ったフレームワークです。問題や状況を漏れなく、重複なく整理する手法として、コンサルティングファームなどで広く活用されています。
例を挙げてみましょう。顧客セグメントを年齢層で分類する際に「10代以下」「20代」「30代以上」と区分したとします。これはすべての年齢層を網羅し、かつ各区分が重複しないMECE的な分類といえます。
MECEを用いることで、複雑な問題を構造化し、効率的な分析や意思決定が可能になります。ただし、過度に細分化すると全体像を見失うおそれがあるため、適切なバランスで区分することが大切です。
経営戦略・マーケティングに使えるフレームワーク3選
会社の経営はもちろん、新規事業の計画や自社プロダクトの販売戦略を立てる上でもフレームワークは非常に役立ちます。経営戦略やマーケティングに用いられるフレームワークを3つ解説します。
マーケティングファネル
マーケティングファネルは、顧客の購買行動を4段階で捉えるフレームワークです。「認知・興味・検討・購入」で構成されています。
具体的には、顧客が新しいスマホを購入する際、まず広告や検索で製品を知り(認知)、機能に興味を持ち(興味)、他の製品と比較検討し(検討)、最終的に購入を決定します(購入)。その流れをファネル(漏斗)型に可視化したものです。
マーケティングファネルを活用すれば、認知段階では広告を通じて製品の存在を知らせ、興味段階では詳細な製品情報を提供するなど、段階に応じたアプローチが可能になります。
4P分析
4P分析は、マーケティング要素を包括的に捉えられるフレームワークです。
「Product(製品やサービス)・Price(価格)・Place(流通)・Promotion(プロモーション)」という4つの要素から構成されており、これらを最適に組み合わせることで効果的なマーケティング戦略を立案できます。
新商品のスニーカーを販売するとしましょう。その際「4P分析」を使えば、製品の品質や機能性(Product)、競合他社との価格設定(Price)、販売チャネルの選択(Place)、広告やSNSを活用したプロモーション(Promotion)を総合的に検討することができます。
SWOT分析
SWOT分析は「Strengths(強み)・Weaknesses(弱み)・Opportunities(機会)・Threats(脅威)」から成る、企業の内部環境と外部環境を総合的に評価する経営戦略目的のフレームワークです。
たとえば老舗和菓子店が新商品開発を検討する際など、使用伝統的な技術力(強み)や若年層への訴求力不足(弱み)、健康志向の高まり(機会)、大手企業の参入可能性(脅威)を分析することが可能です。
SWOT分析の特徴は、内部要因と外部要因を同時に考慮できる点です。これにより、自社の強みを活かしつつ、市場の機会を捉える戦略立案が可能になります。また、弱みを克服し、脅威に対処する方策も見出せます。
フレームワークを用いる上での注意点
ビジネスのあらゆる場面で使えるフレームワーク。非常に便利なツールですが、どんな使い方もできる万能アイテムなわけではありません。フレームワークを実際に使う際、気をつけるべき注意点を2つに分けて解説します。
目的に合わせたフレームワークを選ぶ
フレームワークは、ビジネスのさまざまな場面で活用できます。しかし、その効果を最大限に引き出すには、目的に合わせて適切なフレームワークを選択することが重要です。
新規事業の立ち上げを検討する際には、4P分析やSWOT分析が有効です。一方、既存製品のマーケティング戦略を見直す場合は、マーケティングファネルが適しています。
ひとつのフレームワークで、すべての課題に対応することはできません。状況を適切に把握し、最適なものを選ぶことで、より効果的な問題解決や戦略立案が可能になるのです。
フレームワークの活用を目的にしない
フレームワークは便利なツールではありますが、あくまで思考を整理し、問題解決を支援するための手段に過ぎません。フレームワークを活用すること自体を目的にしてしまっては、実際の戦略に活かせなくなってしまいます。
使用する際は、常に「なぜ使うのか」「どのような成果を得たいのか」を明確にしておきましょう。これはフレームワークから得られた洞察を、実際のビジネス活動へ効果的に反映させるためです。
また、フレームワークに頼りすぎると、柔軟な思考や創造性が失われる可能性があります。あくまで道具であり、それを使いこなすのは私たち自身だということを忘れずに利用するのが大切です。
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