辞令を拒否できるケースとその理由
辞令を拒否出来るケースとは、どんなときなのでしょうか? 例えば、拒否できる可能性が高いのは、嫌がらせや、退職を促すために無理な配置転換をさせるというケースです。
その他にも、就業規則や労働契約書と内容が食い違っているケースや、育児や介護など、社員に何か特別な事情がある場合も、拒否できることがありますよ。
辞令をめぐるトラブルの実例と解決策
辞令をめぐるトラブルも、実例をもとに見ていきましょう。ある製造業の会社で総務課員として働いていたSさんという30代後半の女性の事例です。Sさんは結婚後、妊娠を会社に報告したところ、次の週に「来月から勤務先や業務内容を変更する」という辞令状を上司から手渡されました。
そしてその内容を見て、Sさんは驚愕したといいます。というのも、それは全く経験したことのない工場での製造の業務でした。さらには、遠方へ引っ越しをしなければいけないような配属先だったというので、驚きです。
ほかの社員には転勤はなく、「なぜ自分だけ? もしかして、やめてほしいから?」などとさまざまな疑念が浮かんできたSさん。
上司に相談しても、「会社の決定なので変えられません」と言われてしまいました。Sさんは、「もうやめるしかないのかも…」とかなり悩んだ末、労働基準監督署に相談することに。その後、話し合いの末、会社は転勤の辞令を取り消しました。
もちろん、あくまで一例ですので、事情や背景などをふまえて、慎重に判断が必要です。ただ、辞令は絶対のものではなく、無効になるケースもあるということは、おさえておきたいポイントですね。
【目次】
最後に
この記事では、辞令の意味や種類、内示との違いや法的な効力について解説しました。辞令は、組織で働く人に特に重要なキーワードですので、基本をおさえておくと安心ですね。
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執筆
塚原社会保険労務士事務所代表 塚原美彩(つかはら・みさ)
行政機関にて健康保険や厚生年金、労働基準法に関する業務を経験。2016年社会保険労務士資格を取得後、企業の人事労務コンサル、ポジティブ心理学をベースとした研修講師として活動中。趣味は日本酒酒蔵巡り。
事務所ホームページ:塚原社会保険労務士事務所
ライター所属:京都メディアライン