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2025.01.13

「内示」の本質を知る! 管理職が押さえるべき決定前の重要なステップ【社労士監修】

内示とは、人事異動などの公式発表の前に、本人へその内容を伝えておくことを指す言葉。「内示を部下に伝える際、どう伝えたら良いの?」という疑問や悩みをお持ちの管理職の方もいらっしゃるのではないでしょうか? この記事では、内示の役割や、効果的に内示を行うためのポイントを解説します。

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「内示」という言葉を、耳にすることはありませんか? 例えば、職場の人事異動シーズンによく聞くという方もいらっしゃるかもしれませんね。特に、管理職の方は、「部下への内示の伝え方って、どうすればいいの?」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

そこで、この記事では、内示の基本知識や、管理職が知っておきたい伝え方のポイントなどを解説します。

内示とは? 管理職が知っておくべき基本知識

内示は、管理職が部下と組織の間をつなぐ重要なプロセスです。まずは、内示の役割と基本的な意味を見ていきましょう。

内示の本質とは|管理職の立場で押さえるべき基礎知識

内示とは、人事異動などの際、公式な発表を出す前に、当事者へ伝えておくことを意味する言葉。例えば、転勤や部署の変更などがある部下に、正式な発表前に事前に伝えるというイメージです。

では、内示が持つ役割はどのようなものなのでしょうか? 内示は、異動について本人の心の準備をしてもらうというのはもちろんですが、組織の円滑な運営にも、とても重要な役割を持っています。

例えば、遠方への転勤がある場合、家族や住居などの調整も必要ですよね。また、異動する人の家庭事情や、キャリアへの意向、現在行っている仕事の引継ぎなど、調整することは山積み。内示には、こうした変化に対して、スムーズな対応や調整をするための潤滑油的な役割もあるといえるでしょう。

荷造りする人たち

(c) Adobe Stock

内示が求められる場面|人事異動、昇進、役割変更の具体例

内示が求められる場面は、どのようなときでしょうか? まず、代表的なのは、転勤や部署変更、昇進、降格などの、いわゆる「人事異動」のときです。特に、転勤などで勤務先が変わる場合は、期間に余裕をもって内示を行うケースが多いでしょう。

ちなみに、内示の目的は、単に会社の決定を本人へ伝えるだけではありません。内示の本質は、部下にあらかじめ新しい業務内容などを説明して、「心の準備」をしてもらうことで、スムーズな組織運営をすること。

また、人事異動に関して、コミュニケーション不足による労務的なトラブルを防ぐというような目的もあるので、内示にはとても重要な役割があるといえるでしょう。

内示と辞令の違い|管理職として知っておくべきポイント

内示とよく似た言葉に「辞令」というものがあります。内示と辞令の違いも見ていきましょう。

まず、内示とは、前述の通り、上司が部下などに新しい役割や職種、もしくは部署など、人事異動に関する情報を伝えるというものでした。また、内示はあくまで正式な決定の前に行うもの

それに対して、「辞令」は、正式な決定内容を、文書で本人へ通知することを指す言葉です。ですので、内示の後に辞令というステップで進むのが一般的ですよ。

内示を効果的に伝えるために

内示を伝える際には、伝え方とタイミングが成功のカギとなります。ここからは、内示を効果的に伝えるために知っておきたいポイントを見ていきましょう。

内示の伝え方で意識したい点

まず、内示の際は、一方的に伝えるのではなく、部下の反応をよく見ながら、慎重に伝えるということを意識するのがおすすめです。

発見する女性

(c) Adobe Stock

また、主観的に「この異動はいい、悪い」というような判断や決めつけをするのは避けたいところ。実際に、ある企業では、部署異動が決まった部下に対して、「出世コースの部署だよ。おめでとう!」と言って、管理職が一方的に話を切り上げてしまい、部下が退職してしまったというケースがありました。

どのような内示でも、主観での判断はなるべく避けて、部下の感情や反応などをしっかり受け止めながら伝えるのがおすすめです。

内示を伝える最適なタイミングとは

内示を伝える際、適切なタイミングの見極め方を知りたいという方も多いのではないでしょうか? もちろん、ケースバイケースですので、悩ましい問題ですよね。

ただ、内示が直前すぎると、トラブルになるケースは多いというのはおさえておきたいポイントです。異動する本人の心の負担や変化への対応も考えると、少なくとも1~2か月前までには行うとスムーズでしょう。

なお、会社によっては、内示を伝えるべきタイミングが定められていることがあります。タイミングについてのルールがあるか、事前に確認しておくと安心ですよ。

口頭、メール、書面:伝達手段の選び方

内示は対面で口頭によって伝えるのが一般的です。口頭の場合、相手の微妙な反応や表情の変化などを察知しやすいというメリットがありますよ。ただ、デメリットとしては、スケジュールや場所の確保が大変という点も。

最近では、オンラインミーティングで内示を行うケースもあります。いずれにせよ、メールや書面より、内示は口頭で相手の顔を見ながら話した方がスムーズでしょう。

内示を受けた部下の対応を見極める

内示後の部下の対応は、組織運営に大きな影響を与えます。管理職としての観察力と支援も重要。ここからは、おさえておきたいポイントをいくつか見ていきましょう。

内示を受けた部下の心理と反応

仕事の変化に対しては、多かれ少なかれ不安や期待があるでしょう。また、感じ方には、かなり個人差があります。特に、変化に不安を強く感じやすい人がいるというのは、おさえておきたいポイントですよ。

疑問を持つビジネスパーソン

(c) Adobe Stock

部下が内示を断る場合の対応策

内示を伝える際に、「断られる可能性がある」と、考えておくのが安心です。また、対応策や、部下とのコミュニケーションの取り方も事前にシミュレーションしておくと、スムーズですよ。

ある企業では、管理職(Nさん)が部下に転勤の内示をした際、部下がこんな返答をしてきたといいます。

「私、今月末で辞めます」

Nさんは、一瞬頭が真っ白になってしまいました。その後、強硬な態度を崩さない部下に、つい感情的になってしまい、「じゃあ、やめれば?」と返してしまったNさん。

後日、曲解してしまった部下は「Nさんから解雇すると言われました!」と会社へ報告したといいます。その後は、話し合いの末になんとか和解したといいますが、Nさんは当時を振り返り、「もう少し慎重になればよかった…」と語ってくれました。

内示後のフォローアップ|信頼構築とモチベーション向上

内示後のフォローアップも、部下との信頼関係やモチベーションに大きく影響します。まず、「不安なことがあれば、最大限サポートします」という姿勢や、言葉かけがあると、部下との信頼関係が築きやすくなりますよ。

ただ、「何かあったら声をかけて」と言っても、なかなか言い出せない部下もいますよね。ですので、業務の引き継ぎ方法やタイミングなど、実務的な相談にのるためのミーティングの時間を取るというのもおすすめですよ。

最後に

この記事では、内示の概要や役割、管理職としておさえておきたいポイントなどを解説しました。内示の役割や効果的な伝え方への理解は、円滑な組織運営や、管理職としての役割にもつながるポイントですので、参考にしてみてくださいね。

TOP画像/(c) Adobe Stock

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執筆

塚原社会保険労務士事務所代表 塚原美彩(つかはら・みさ)

行政機関にて健康保険や厚生年金、労働基準法に関する業務を経験。2016年社会保険労務士資格を取得後、企業の人事労務コンサル、ポジティブ心理学をベースとした研修講師として活動中。趣味は日本酒酒蔵巡り。
事務所ホームページ:塚原社会保険労務士事務所

ライター所属:京都メディアライン

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