「辞令」という言葉をよく耳にしますが、具体的に理解して説明できる人は意外と少ないのではないでしょうか? そこで本記事では、「辞令」にまつわる実践的な知識を提供します。
辞令とは何か? 基本的な意味と役割
まずは、「辞令」の基本的な意味から確認していきましょう。
辞令の意味とは?
「辞令」の定義を辞書で確認しましょう。
じ‐れい【辞令】
1 官職・役職などの任免の際、その旨を書いて本人に渡す文書。「―が出る」
2 人と応対するときの形式的な言葉やあいさつ。「外交―」
3 文章上の言葉遣い。文章のあや。「―の妙を極める」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「辞令」とは、従業員に対して「新たな職務」や「職場の変更」を正式に通知するものです。

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辞令が発行される主なケース
辞令は、主に以下のような場合に発行されます。
・異動:新しい部門や勤務地への配置転換
・昇進:役職や職責の変更
・退職:退職に伴う正式な通知
これらのケースは、組織の変化をスムーズに進めるために重要な節目となります。
辞令の種類と活用シーン
辞令は、異動や昇進、退職などの組織運営における重要な節目で発行されます。それぞれの辞令には異なる役割と目的があり、適切に理解することで管理職としての実務に役立てることができるでしょう。
異動辞令
異動辞令は、従業員を新しい部署や勤務地に移動させる際に発行されます。この辞令は、新たな役割や期待される成果を具体的に示すことで、本人の意識とモチベーションを高める役割も果たします。
退職に関する辞令の特徴
退職辞令は、従業員の退職が正式に決定した際に発行されます。この辞令は、最後の勤務日や退職金の支給条件など、労務手続きにおいて重要な情報を明確にする文書として機能します。退職者がスムーズに次のステップへ進めるよう、辞令の内容は慎重に整えられていることが求められます。
昇進辞令の活用事例
昇進辞令は、新しい役職に就任する従業員に対して期待と責任を明確にするための文書です。「チームリーダーとして新プロジェクトを指揮する役割を担う」といった内容を明記することで、従業員の自覚を促します。
辞令交付までの流れ|内示との違いは?
管理職として、辞令が交付される流れを把握しておきましょう。

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辞令交付の流れ
一般的に、辞令交付までには「内示」「発令」「交付」「着任」といった段階があり、それぞれのステップには明確な目的と役割があります。
1. 内示
辞令の交付に先立ち、まずは「内示」が行われます。これは正式な辞令の発令前に、対象の従業員に対して異動や昇進などの人事決定を口頭で伝えるプロセスです。通常、直属の上司や人事担当者から説明があり、異動の理由や新たな職務内容について共有されます。従業員が心の準備を整え、必要な引き継ぎを進めるための期間としても機能するでしょう。
2. 発令
内示を経て、人事決定が正式に確定すると「発令」が行われます。発令とは、企業の正式な決定として辞令の内容を確定し、公表することを指しますよ。
3. 交付
発令後、辞令が従業員に「交付」されます。辞令の交付方法は企業によって異なり、書面での手渡し、電子データでの通知、あるいは口頭での伝達といった方法があります。書面の辞令には、異動先や新しい役職、発令日などの詳細が明記され、発令者の署名や社印が押されることが一般的です。
4. 着任
辞令の交付を受けた従業員は、指定された日から新たな職務に就くことになります。これを「着任」と呼びますよ。着任に伴い、引き継ぎや新しい職場での業務開始の準備が進められます。特に異動や転勤を伴う場合、着任前には業務の引き継ぎや新たな環境への適応が求められるでしょう。