内示と辞令の違い
内示と辞令は、目的やタイミングが大きく異なります。この違いを理解することは、管理職として重要な責務の一つです。
内示
内示は、正式な辞令の前段階として行われる非公式な通知です。例えば、「異動が検討されています」といった形で、対象者に対して事前の相談や準備を促す役割を担います。
辞令
辞令は、「新たな職務」や「職場の変更」を正式に通知するものです。辞令が発行された時点で、異動や昇進などの決定が確定します。このため、内示の段階で十分なコミュニケーションを行い、従業員が辞令を受け入れやすい環境を整えることが重要です。
【目次】 [hide]
辞令の拒否や異議申し立ては可能か?
辞令は組織の意思を正式に示すものであり、基本的には従業員が従うことが求められます。しかし、すべての場合において辞令が絶対的なものとは限りません。ここでは、辞令の法的効力について見ていきましょう。
辞令の法的効力について
辞令が法的にどこまで有効かは、ケースによって異なります。基本的には、就業規則や労働契約に基づいて発令されるため、これらの規定に沿っている場合は拘束力が強いと考えられます。例えば、就業規則に「業務上の必要がある場合、従業員の職務や勤務地を変更できる」と明記されている企業では、合理的な範囲内での異動命令は有効となる可能性が高いでしょう。
一方で、辞令の内容が合理性を欠いていたり、労働契約と明らかに矛盾する場合は、法的に無効とされることもあります。例えば、特定の地域での勤務を前提とした雇用契約を結んでいるにもかかわらず、契約に反して遠隔地への転勤を命じる辞令は、拒否できる可能性があります。
また、嫌がらせ目的の辞令や、退職を促すための極端な配置転換なども、法的に無効と判断されることがあるでしょう。

(c) Adobe Stock
最後に
辞令の役割を理解し、適切に対応することは、組織と個人の双方にとって有益な結果をもたらします。本記事を参考に、管理職としての判断力をさらに高めていただければ幸いです。
TOP画像/(c) Adobe Stock