毎日の洗濯で見かける「洗濯表示」。これらの記号には、衣類をきれいに保つための重要なヒントが詰まっています。しかし、マークの意味が分からないと間違ったお手入れをしてしまうことも…。そこで、この記事では、創業80余年の歴史を持つ京都発祥の染み抜き・お直し専門店である「きものトータルクリニック吉本」さんに洗濯表示の基本から実践的なコツまでをお聞きしましたので、紹介します。
洗濯表示の意味を正しく理解して、衣類を長持ちさせよう
洗濯表示は、衣類の正しいケア方法を示す大切な情報源です。ここでは、洗濯表示の役割や基本的な構造について詳しく見ていきます。
洗濯表示の役割と重要性
洗濯表示には、それぞれの衣類に適した取り扱い方法が記されています。例えば、ウール製品やシルク素材の衣類には「手洗い」のマークが付いていることがよくあります。これは、水流の強い洗濯機では素材が傷つきやすいことを意味しており、手洗いが推奨される理由を示しています。
また、洗濯表示を確認することは、衣類の寿命を延ばすだけでなく、日々の家事を効率化する助けにもなります。例えば、洗濯機が使用できる表示ではないものの手洗い表示がある衣類の場合はクリーニングに出す代わりに、自宅で手洗いすればコストが抑えられるでしょう。このように、洗濯表示を正しく理解することは、無駄を減らし、家事の質を高めるきっかけになります。
洗濯表示には「漂白可能」や「乾燥機使用可」などの情報も含まれています。これらの指示を守ることで、衣類に不要なダメージを与えずに済むため、結果として清潔感のある暮らしが実現します。日々のケアの基本として、洗濯表示を活用することが重要です。

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洗濯表示マークの種類と構造
洗濯表示は、「洗濯」「漂白」「乾燥」「アイロン」「クリーニング」という5つのカテゴリに分かれています。それぞれのマークがどのような意味を持つのかを知ることで、衣類の取り扱い方をより的確に把握できます。
「洗濯」のマークは、桶の中に波線が描かれた記号で表され、この記号に×がついていない場合は、洗濯機で使用できる、または手洗いができることを示しています。桶の下に線がかがれている場合は、弱い水流での洗濯を推奨することを示しています。
さらに、記号の中に数字が記されている場合は、その水温が適していることを意味します。例えば、「30」の記号は、30度以下の水温で洗うのが安全であることを示唆しています。
「アイロン」の記号は、衣類に適したアイロン温度を表します。ドットの数で温度が区別され、1つなら低温、2つなら中温、3つなら高温を推奨。これを守ることで、繊維が溶けたり焦げたりするリスクを避けることができます。
また、「漂白」のマークは、漂白剤の使用可否を示します。三角形の中に斜線がある場合、塩素系漂白剤は使用不可ですが、酸素系漂白剤は使用可能です。このような細かい情報を正確に理解することで、素材に適したケアができるようになります。
具体的な洗濯表示の意味を確認
ここでは、主要な洗濯表示の意味をわかりやすく解説します。
「手洗い」「洗濯機OK」の意味と注意点
「手洗い」のマークは、桶型の記号に手が描かれた形をしています。この表示は、衣類が繊細で水流の強い洗濯機ではダメージを受けやすいことを示していますよ。例えば、ウールやシルクなどの衣類は手洗いが推奨されます。
この場合、ぬるま湯を使い、優しく押し洗いをすることで素材を守ることができます。シルクは濡れた状態で摩擦を受けると表面がスレと呼ばれる傷になり、その場合傷跡は残ってしまいますので、「手洗い」と記載があっても特に注意が必要です。絶対にこすらず丁寧に優しく押し洗いしてください。
一方で、「洗濯機OK」の記号は、家庭用洗濯機での洗濯が可能であることを示しています。しかし、すべての設定が適切というわけではありません。デリケートな素材は、洗濯ネットを使用し、弱水流モードを選択することが重要です。

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「乾燥機」「自然乾燥」のポイント
「乾燥機」のマークは四角の中に円が描かれた記号で表され、内部のドットの数が乾燥温度を示しています。1つのドットは低温60℃まで、2つのドットは高温80℃までで乾燥が可能であることを意味します。例えば、ポリエステルやナイロンなどの化学繊維は低温での乾燥が適しており、高温では素材が変形する恐れがあります。
「自然乾燥」のマークは、四角い枠内に描かれた線で示されることが多いです。例えば、水平の線が描かれている場合は「平干し」が必要であることを示しており、型崩れを防ぐために平らな面で乾燥させるべき素材であることがわかります。
陰干しの記号もあり、その場合は直射日光を避けることで、色あせや素材の劣化を防ぐ効果が期待できますよ。
「アイロンマーク」の温度別ガイド
「アイロンマーク」は、アイロンがけが可能かどうか、また適切な温度設定を示します。記号内に描かれたドットの数が温度の指標となり、1つは低温、2つは中温、3つは高温を意味します。例えば、コットンやリネンのような丈夫な素材は高温でのアイロンがけに適しており、シワをきれいに伸ばすことができます。
一方、ポリエステルやナイロンのような化学繊維は中温、アクリルは低温でのアイロンがけが推奨されます。また、スチームアイロンを使用する場合は、繊維の種類に応じた設定を確認することが大切です。これにより、焦げ付きや生地のダメージを防ぐことができます。
旧洗濯表示と現行表示の違いを徹底解説
2016年に洗濯表示が改定され、国際基準に基づく現行表示が採用されました。旧表示が使われている衣類をお持ちの方も多く、これらを正しく理解し、新旧の違いを把握することで、適切なケアが可能になります。
旧表示の意味を知るメリット
旧表示は、2016年以前に製造された衣類で使用されていた日本独自の記号です。例えば、手洗い可能な衣類には桶型の記号に「手洗イ」と文字が併記されていました。この文字情報に頼る部分が大きかったため、現在の記号と比べると直感的に理解しにくい面がありました。
また、「水洗い不可」とだけ記載されていた衣類もあり、具体的な水温や洗濯条件を確認できないことが課題でした。旧表示を知ることは、こうした記号の背景を理解し、適切なケア方法を選ぶために役立ちます。特に、ヴィンテージ品や昔の衣類を大切に使いたい場合には、旧表示を正しく解釈するスキルが求められます。
現行表示との違いを一覧で確認
旧表示と現行表示にはいくつかの重要な違いがあります。ここでは、具体的な例を一覧形式で整理し、それぞれの特徴を比較して解説します。
一覧表で分かるとおり、現行表示では視覚的なわかりやすさと国際基準に基づいた統一性が重視され、旧表示と比べて直感的に理解しやすい仕様になっています。
また、タンブル乾燥に関する情報が旧表示では不明確だった一方で、現行表示では「タンブル乾燥禁止」など、衣類に適した具体的な乾燥方法を確認できるようになっています。これにより、日常の家事で起こりがちなトラブルを未然に防ぐことが期待できますよ。
最後に
洗濯表示の意味を正しく理解することで、衣類をきれいに保ちながら家事の効率を高めることができます。この記事で紹介した内容を参考に、毎日の洗濯をもっと簡単で快適なものにしてみてください。洗濯表示を味方につけて、家事の質を一段と向上させましょう!
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