母親がしてくれたことを、自分の子どもにはしてあげられないジレンマ
Cさん:愛情と手をかけて育ててもらったことは十分わかっています。母親に対するもやもやの中には、「親が私を育ててくれたように、私は娘にしてやれない」という負い目みたいなのも含まれるかな。ごはんやおやつをていねいに手づくりするとか、習い事の付き添いとか、宿題のケアとか…。
Dさん:私が外出するとき、母に娘を家で見ていてほしいだけなのに「それじゃかわいそう!」って、遊園地や水族館に連れて行ったりしてくれることもありますね。母が張り切りすぎて、その後、体調を崩したりすることもあるので、ほどほどに…とは思いますが(苦笑)。
Aさん:でも、子どもが「何かをしたい!」と自分の意志で言う前に、親が手出ししすぎるのもアレかな…とは思っています。私の母は極端かもしれないけど、「あなたが、勉強ができていい大学に行けたのも、英語を話せるのも、親のおかげだ!」って繰り返し刷り込んできたから、私は逆に自由に身動きがとりづらくなっちゃった。いまだに転職するのだって、親の顔色を伺っちゃうところがあります。もちろん、自分の子どもがやりたいことに対しては、全力でサポートするつもりですが。
今のモヤモヤは一時的なもの!?
Bさん:一方で、母娘が逆転して、頼られすぎるのもつらいですよ。母が老いてきて、体力も判断力も、現役で働いている私のほうがあるだろう…とは思うんですが。昨年亡くなった父が闘病中だったときは、父の治療方針などはもちろん、日々の細かな決断についても、全部私に相談が来て、私が関西にある病院に電話して遠隔操作で物事を動かすシステムになっていたんです(汗)。ちなみに、実家近くに暮らしている3歳年上の兄がいるんですが、彼がまた頼りにならないタイプで。
Dさん:私の父も10代のときに亡くなったんですが、それ以来ずっと、私は母親やふたりの妹を支えるポジション。正直、しんどいです。
Bさん:また別のとき、家族旅行の宿泊先ひとつ決めるのでも、母は私に丸投げ。「どこでもいい」というから私が選んで提案すると、「もっと安くていいところはないのか」と文句を言ってきたりするのは勘弁してほしいです。娘だと思って甘えているとしか思えない。
Cさん:ちょうどいいつきあい方って、できないものですかね。
Aさん:適度な距離感を保ちつつ、自分の子どもたちには私の価値観を押し付けないように育てようと、ただ努力するだけ、かなぁ。
Bさん:一度、知り合いのカウンセラーに、母の話をしたことがあるんです。そうしたら「今、あなたがまともな性格で(笑)、ふつうに生活できているだけで、母娘の関係は十分に乗り越えられている。自分がすごく努力してきた結果だ」みたいなことを言われて、報われた気がしました。
Aさん:そうか、そうだよね。Bさんとはお母さんのタイプは違うけど、ちょっと腑に落ちました。
Dさん:それに、ワーママとしていちばん大変な今だからモヤモヤしているのだとすれば、ある程度は一時的なことだとも言えるのかも。子どもがもう少し成長したら、母親との関わりも少し減って、あたたかい心で(笑)接することができるようになるといいな。
Cさん:将来、介護が来るときに備えて、それまでにはもうちょっと大人同士のフラットな関係になっていられるといいですね。
取材・文/酒井亜希子(スタッフ・オン)
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