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LIFESTYLE子育て

2019.09.30

スケボー少年の忘れられない思い出。【しまおまほのおしえてコドモNOW!】

エッセイストのしまおまほさんが、今を生きるバラエティに富んだ子どもたちに出会い、話を聞き、限られた時間で彼らの本音を引っ張り出す。コドモ連載の第17回が始まります~。

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第17回:太陽くん(10歳)

小学校1年からスケボーを始めた太陽くんは10歳になった今、大会で優勝する選手へと成長しました。今回はそんな太陽くんへのインタビュー。場所は、吉祥寺にあるパパが所属する会社の事務所です。太陽くん、部屋にあるビーズクッションにダイブしたり、ホワイトボードに落書きを始めたり。なんだかソワソワ……。

好きなテレビ番組って何?

まほ:(ホワイトボードに描かれた絵を見て)何? それウルトラマン?

太陽:うん。ウルトラマンらしきもの。

まほ:好きなの?

太陽:いや、あんまり……。

まほ:でも、観てたんでしょ?

太陽:いや、全然観てない。

まほ:えっそうなんだ。じゃあ何が好きだったの?

太陽:えーっと……。

母:ホラ、あれ観てたじゃない。あの、戦隊モノで……。

父:海賊のやつだよな、あれ、なんて言ったっけ……。

太陽:……(無言)。

母:ほら、あの海賊レンジャーじゃなくて……。

父:あれは好きでよく真似してたよな。

太陽:……(無言)。

結局この場で答えは出ず。どうやら「海賊戦隊ゴーカイジャー」のことだったようです。
太陽くんのお父さんは「あれ」が思い出せないまま、お茶を運んでくれた後に仕事で退席してしまいました。

母:「忍者 赤影」も好きだったじゃん。

太陽:あーそうだったね。

まほ:今は好きなテレビ番組ある?

太陽:「ドラえもん」。

まほ:あ、今の子も観るんだあ。

太陽:うん、意外とみんな観てる。

まほ:意外と(笑)。太陽くんが今、5年生……。ドラえもんって、何年生くらいまで観るんだろう?

太陽:知ってる子は、6年生で観てる。

まほ:ナルホド。たしかにわたしたちの時代も中学入学するまでは「ドラえもん」はアリだった気がするな。……今って、観たいテレビを録画するとき……なんて言うんだろ? ビデオに録って、じゃないだろうし……。ハードディスクに録るの?

太陽:トルネでとる。

まほ:とるね?

太陽:torne。プレステの機能。

まほ:トルネ、か……。知らない。まったくわからない。怖いくらい馴染みがない……。それで何を録るの?

太陽:ボルト。

まほ:ボルト? 陸上の?

太陽:ナルトの次に始まったアニメ。

まほ:あ~わたしには何もわからない~(泣)。

忘れられない、小4の春休みの思い出。

まほ:映画も観たりする?

太陽:時々……。

まほ:DVD借りたり?

太陽:借りるとこ、潰れちゃった。

まほ:TSUTAYAがなくなったんだ。

太陽:いや、GEOが潰れて、自転車屋になった。

まほ:自転車屋! 最近、店が潰れるとそこに自転車屋か、まいばすけっとができる……とわたしは思っている。

太陽:

まほ:ゴメン、ゴメン。……で、観たい映画はある?

太陽:最近は『未来のミライ』。

母:もう公開終わっちゃったのよね。

太陽:ママがつれてってくれるって言ってたのに……(怒)!

まほ:そっか、まだ友だちと2人では行かないか。

太陽:あ、でも。

まほ:ん?

太陽:前に小池と2人で……。

まほ:小池? なになに?

太陽:ラーメン屋行った。

まほ:おー! 友だちと?

太陽:(うなずく)

まほ:いいねえ。いつ?

太陽:小4の春休み。

まほ:大切な思い出なんだねー。小池とラーメン……いいねえ。

母:保育園からの同級生なんです。

まほ:どうして2人で行くことになったの?

太陽:えっとー、春休みだから一緒にあそぼってなってー、そしたらなんかー、お腹すいたけどコンビニのご飯はもう飽きちゃったからー。

まほ:うんうん。

太陽:ママに「ラーメン食べていい?」って電話してー、「ぶどうか」ってラーメン屋教えてもらってー、それで行った。

まほ:ママに教えてもらったの?

太陽:いや、小池に。

まほ:あ、小池に。

太陽:小池のイチオシの店。

まほ:イチオシ~(笑)。緊張した?

太陽:いや、あんまり。

まほ:ホント~?

母:電話ですごいお願いされたんですよ。「もう4年生だから! 一緒に行っていいでしょ!」って。

まほ:行きたいって思ってたんだ。

太陽:うん。

母:「自分のお小遣いで行くからー!」って。

まほ:え~わたしだったら感動して、ちょっと泣いちゃうかも。

太陽:(照笑)

まほ:でもさ、最近のラーメンは結構値段するでしょ。

太陽:うん、けっこうしちゃった。750円。

母:その後、ママたちも連れていかれたもんね。「太陽のイチオシ」だって。

まほ:(笑)。味は何系?

太陽:こってり。「ぶどうか」って言うから、最初てっきりブドウ使ってるのかな、って思ったら字が違った。

まほ:そりゃそうだよね(笑)

母:ママとパパ、ここ(事務所)の窓から見てたよ。太陽たちがラーメン屋入るところ。

まほ:近所だったんですね。その光景も見たら泣けるな~。

太陽:(照笑)

まほ:美味しかった?

太陽:うん。でも、女の人にはあんまりオススメしない。

まほ:なんで?

太陽:店がザ・男感がある。

まほ:「武道家」だもんね~。

太陽:女の人もいたけど、ごっつい感じだった。

まほ:(笑)。で、どうだった? 2人でラーメンを食べた感想は。

太陽:うーん……成長を感じた。

まほ:ははは! そうだよね~感じるよね~。食券?

太陽:うん、食券。

まほ:食券でラーメン……大人だね~。

太陽:ねえねえ。

まほ:ん?

太陽:これってなんのインタビュー?

まほ:よく聞かれる(笑)。

スケボー仲間は友達 or ライバル?

太陽:ねえねえ、これ(じゃがビー)食べてもいい?

母:これから焼き肉でしょ?

まほ:焼き肉行くんだ。友だちと?

太陽:違う。

母:え!? 友だちでしょ?

太陽:違う。敵。

まほ:敵!?

母:幼馴染でスケボー仲間の女の子なんですけど……。

まほ:ライバルなんだ。

太陽:違う。敵。

母:あー、じいちゃん取られるからだ。

まほ:じいちゃんの取り合いしてるの?

太陽:もう俺がじいちゃん取ったもん。

母:お互いのじいちゃん取り合ってるんですよ(笑)。

まほ:じいちゃん、何歳?

太陽:70歳。

まほ:70歳を取り合い(笑)。女の子でも、スケボーやる子いるんだね。

母:今、多いんですよ。

まほ:太陽くんはどうしてスケボー始めたの?

太陽:幼稚園のときに、市民プール行った帰りに隣の会場で大会をやってるのを見て、それでかっこいいと思って……。

母:それからしばらく間が空いたんですけど、小学校に上がって始めたんです。

まほ:乗り始めた頃のことって覚えてる?

太陽:うーん……痛いと思ったときがあるのは覚えてる。

まほ:自分でイケるぞって思ったときのこととかは?

太陽:(嬉しそうに)覚えてる。

まほ:あ、俺うまいじゃんって?

太陽:うん。それで、小3くらいからガッツリ、毎日やるようになって。

まほ:スケボーって、いろいろ種目も違ったりするんでしょ?

母:説明できる?

太陽:ストリート、パーク、バーチ、ボールとかあって……、オリンピックの種目になってるのはストリートとパーク。

まほ:太陽くんは?

太陽:バーチ、ボール、パークをやってる。

まほ:オリンピックは視野にいれてたり……する?

太陽:(ニヤリと笑いながらうなずく)

まほ:今、大会で優勝したりしてるんだよね。スポンサーとかはついてるの?

太陽:ひとつ、この間ついた。

まほ:おお……すごい。スケボー、怖くない?

太陽:高いところとか、新しい技をやるときは怖いけど……慣れると怖くない。

まほ:うまくいくときと、いかないときって自分でわかる?

太陽:うん。だいたい滑ってみると調子がわかる。あと、ビビってるときはうまくいかない。

まほ:そういうとき、うまくいくように自分でコントロールできるの?

太陽:うまい人はできる。

まほ:太陽くんは?

太陽:最近ちょっとだけ……でもまだうまくできない。

まほ:もともと運動神経は?

母:これがすごく悪くて……。

太陽:いいよ! 器用じゃないだけだよ!

母:えー、縄跳び1回も跳べなかったじゃん。

太陽:1回は跳べるわ! 20回跳べたわ!

まほ:でも、苦手ではあるんだ。

太陽:……うん。手を動かしながら跳ぶ……のが難しい。

まほ:たしかに、それは運動神経が悪いというより不器用なのかもしれないね。

憧れはブラジル出身、23歳のプロスケーター。

まほ:スケボーって音楽やファッションも関係あるよね。

太陽:昔のスケーターはテンション高い音楽とか聴いてたけど、今のスケーターはクール系な音楽聴いてる人が多い。

まほ:太陽くんは何聴くの?

太陽:ファレルの「HAPPY」とか。

まほ:聴きながら滑ったりするの?

太陽:うーん、イヤホンつけたりしてやってる高校生もいるけど。イヤホンつけた途端に失敗したりしてる。

まほ:冷静に見てるねえ。あんまりカッコつけたり、っていうのは興味ないんだ。

太陽:うん。

まほ:どんな大人に憧れる?

太陽:ペドロ・バロス。

まほ:滑りに憧れる?

太陽:うん。かっこいいし、優しい。

まほ:その優しいっていうのは……。

太陽:人に接する態度が、よい。

まほ:よい、か。

母:今、微妙な年頃なんですよね。周りを見ていると、男の子たちって6年生くらいから一気に大人になるような感じで。

まほ:スケーターの世界は大人になるのも早そうですよね。

まほ:ごめん、そろそろ焼き肉行く時間だね。

太陽:うん。

まほ:我慢できずにじゃがビー食べちゃったけど……。何頼むの?

太陽:牛肉。

まほ:(笑)。部位の名前、知らない?

太陽:カルビしかわかんない。

まほ:タン塩とか……。

太陽:タン塩って、丸いやつ?

まほ:そう、丸いやつ。

太陽:それより……もっとお高い部分が好き。

まほ:お高い部分かあ。

母:プレミアって名前につくとすぐ頼みたがるよね。

まほ:ご飯は頼む?

太陽:焼き肉のときは頼む。いつもは白いご飯全部食べれないけど、牛肉のせたら食べられる。

まほ:あ、いつもは残しちゃうんだ。

太陽:うん。ご飯だけじゃ食べられない。

まほ:わかるよ。子どもの頃、わたしも白米って味ないなーって思ってた。

太陽:えっ、大人になると、ご飯に味があるって思うの?

まほ:思うよ。

太陽:えー。

まほ:本当だよ。

太陽:えー?

まほ:幸せを感じるようになるよ。

太陽:えーただの……コメ。

まほ:それがいいんだよ!

太陽:へぇ……。

インタビュー前、スケーターの男の子と聞いて大人びた子を想像していましたが、ドラえもんと牛肉が好きな太陽くんにちょっとホッとしました。
一方でちゃんと自己分析をする面もあり、スケーターとしてのプロの目線も感じました。
2年後のオリンピックまで、太陽くんの名前を覚えておきましょう!

つづく

「しまおまほの教えてコドモNOW!」連載一覧はこちら

文・絵:しまおまほ 編集:小川知子  デザイン:根本真路

エッセイスト、イラストレーター

しまおまほ

1978 年生まれ。主な著書に『ガールフレンド』『マイ・リトル・世田谷』(共にスペースシャワーブックス)などがある。

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