人のせいにする
・機嫌が悪いと、起こる全ての出来事を私のせいにしてくる(30代・三重県・子ども2人)
自分勝手すぎる
・家事をちゃんとやれと言われます。新型コロナウイルス感染防止により、子どもは幼稚園や学校を登校自粛中なのに、夫は平気で飲み会に参加するなど、子どもの健康のことなど考えていないと思います。 また、結婚直後、夫婦別会計で生活していたころ「お小遣い制にしていいからパソコン買ってくれ」と言われ、そうしたのに、数か月後にはお小遣いが足りない状態に。あげく「小遣い制をやめろ」と言ってきました。 (30代・埼玉県・子ども2人)
多くの場合は、日常での小さな喧嘩やすれ違いがきっかけだということがよくわかります。裏を返せば、どの家庭にも起こりうるということ。だからこそ軽視は禁物。どう対処し、解決につなげていけばいいのでしょうか。専門家の見解も交え、以下で見ていきましょう。
モラハラ夫になる原因
結婚した時から「モラハラ夫であった」ということは少なく、何らかの理由や原因があって「モラハラ夫」へと変貌したとも考えられます。個人差はあるでしょうが、考えられる一般的な理由や原因などを、コミュニケーション改善のサポートを得意とする、キャリアコーチの菊池啓子さんに伺いました。
「モラハラの態度をとる人の大きな原因として、その人の『認知のゆがみ』があげられます。認知のゆがみとは、物事をゆがんだ視点でとらえることで、感情や行動に影響を与える思考のクセを言います。
例えば、『怒らせる相手が悪い』といった他責性や、『女性はか弱く庇護の対象なので、自分が正しい道に指導する必要がある』『妻は夫に従うべき』といった偏ったジェンダー観などがあげられます。もともと持っていた思考のクセもあれば、周囲に影響を受けてそのような考え方を獲得することもあります。
いずれにせよ、相手を精神的に追い詰め、支配をするような関係性は、健全ではありません。モラハラな態度に関して、受けている方には何の落ち度もないことを、理解しておきましょう。」(キャリアコーチ・菊池さん)
以下では、モラハラ夫になってしまう、4つの原因を考えていきます。
間違った権力の誇示
家計を夫の収入のみに依存している場合、「金は力なり」とばかりに妻を支配したりコントロールしようとすることがあります。これは、妻の家庭における役割について、まったく感謝も尊重していないことを示すものです。家事全般、育児、介護など、忍耐を要する仕事を担っているのが妻です。時代錯誤の間違った考え方は、改めて欲しいものですよね。
過度なストレスが原因
夫が、職場においてストレスやビジネス上の難題に直面している場合、それを家庭内で解消しようとすることも考えられます。よくある例としては、組織変更があり新たな上司との人間関係で悩んでいるとか、取引先とのトラブルに巻き込まれている場合などです。そうしたストレスの吐け口が、妻への攻撃的な行為となっている場合に「モラハラ夫」になり得ます。
「ストレスの吐け口とされていることに気付かず、『自分の対応が悪いからだ』『もっと優しく接してあげられれば… 』と、自分を責めたり、罪悪感を覚えてしまうケースが多くあります。過度のストレスを感じたとしても、他人に辛く当たって良いという理由にはなりません。ただ八つ当たりをされているだけだということを、認識しておきましょう。」(キャリアコーチ・菊池啓子さん)。
育った家庭環境など性格的問題
環境動物とも表現される人間、社会環境や生まれ育った家庭環境によって性格や考え方は大きな影響を受けます。女性の立場が弱かった時代に育った人や亭主関白の家庭で育った人は、女性に対する古い固定観念を変えることができず、それがモラハラの原因となることが考えられます。
文化や思想的な違いによる影響
国際交流が広まる社会になった今では、国際結婚をする人も多くなってきました。そうなると、異なる文化や宗教思想の中で育った人間同士が生活を共にすることになります。
世界には、一夫多妻制や男尊女卑を標榜する国が存在します。そうした国の出身男性であれば、家庭内での支配的な立場をとることが考えられます。そうしたことが影響し、夫がモラハラを行う可能性があります。
【体験談】夫のモラハラに対する対処法は?
圧倒的に多い対処法は「無視」「我慢」「あきらめる」「黙る」などの、距離を置く作戦。どれほど効果があるものなのでしょうか。体験者からは、あきらめの雰囲気も漂います…。
無視する!
・ひたすら無視をする(40代・千葉県・子ども1人)
・無視。子どもの足が大きくなって履けなくなったから靴を買い換えたのに、「小さい靴でも我慢して履かせろ」と文句を言う。こんな考え方とは、どうやっても折り合えないと思う(40代・埼玉県・子ども1人)
・無視 (30代・千葉県・子ども1人)
物理的に距離をとる
・同じリビングルームで過ごさず、別々に過ごす。または、近くのカフェで気持ちを落ち着ける(40代・京都府・子ども2人)
伝えてみる
・朝は大変だからせめて洗濯物をやって出てほしいと伝えてみました。…が、変わりませんでした(30代・群馬県・子ども2人)
・自分がやっていて大変なことを代わりにやってもらった(子どもを予防注射に連れて行くなどなど) (30代・東京都・子ども2人)
我慢する
・我慢します (40代・山口県・子ども2人)
・反抗はしません (30代・東京都・子ども1人)
あきらめる
・直してもらいたいと思って期待するとストレスの素なので、そういう人だと思ってあきらめている (30代・埼玉県・子ども3人)
相手にしない
・相手にしないでスルーすることがいちばん!(40代・千葉県・子ども1人)
言いきかせる
・もうどうしようもないと自分に言いきかせてます(40代・京都府・子ども2人)
黙ってメモをする
・そのうち離婚の原因にしたいので小さなことをコツコツメモしているが、今は黙っている(30代・埼玉県・子ども2人)
スルーをしたり我慢する人が多いですが、エスカレートするモラハラを耐え続けるのは禁物。夫婦関係を多く扱う弁護士の金野志保さん(金野志保はばたき法律事務所)は、「モラハラは子どもにも影響し、子どものメンタルがやられてしまうこともあります」と注意をうながします。
モラハラで離婚は成立する?
「精神的な虐待だけでは、際鞍上の離婚理由にはなりにくいのが現実です。とはいえ、言葉の暴力があるなら録音しておくこと、診療内科に行って診断書をとることは、有効な方法です」と金野さん。モラハラから早く脱したいと思ったら、「いちばん有効なのは別居してしまうことです。別居期間が2〜3年あればそのほかの事情がなくても離婚判決が得られることが多いですし、精神的にも楽になります」(金野さん)。
最後に
プライベートな環境で起こる家庭内のモラル・ハラスメントは、他人が立ち入ることや第三者へ気軽に相談できないだけに、深刻な状況に陥る前に解決策を見つけ対策を講じることが望ましいといえるでしょう。
また、女性の社会進出が広がり、社会的な立場も向上している状況下において、ご自身が「モラハラ妻」になってないか? も考えてみる機会にしていただけたら幸いです。
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