ひとつ手放してみる
「周りが無能で、自分が有能だからなんでもやっちゃうわけではないですよね!? 周りにも有能な人はたくさんいて、任せればできることを認識しましょう。例えば、2度に1度は相手にお願いするなど、周りの人の力を信じて、仕事を分担してみる。最初は、相手に頼んだり、やり方を教えたり、相手をやる気にさせるために手間暇がかかってしまいますが、軌道に乗ると自分も楽になるし、相手も新しい能力を磨けて一石二鳥です」(吉田さん)
専門性がないと感じたら…
「<2>のように周囲を巻き込んで器用貧乏から抜け出すことができると、組織の力を活性化することができます。このような働きかけができるようになると、人材育成、人材管理、タスク管理などの専門性として自信を持って位置付けることも可能になってくるのではないでしょうか。専門性というと、特別な分野や資格と考えがちですが、むしろこのような能力こそ組織で必要とされる力なのではと思います」(吉田さん)。
思いは口に出して
「器用貧乏な人が個性がないと思われてしまうのは、求められた役割に対して文句を言ったりせず引き受ける、発信の少なさから生じているかもしれません。仕事を引き受ける、引き受けないとは別に、ご自分の感情や考えを周りに伝えてみてくださいね。健全な環境であれば、周りから好意的に受けとめてもらえるはずです」(吉田さん)。
器用貧乏な人だけに負荷がかからないよう抱え込みすぎないで
「器用貧乏」とは、いい意味で使われる「器用」と、悪い意味で使われる「貧乏」、ふたつの言葉が合わさってできた言葉で。そのため良いも悪いも表裏一体。吉田さんのアドバイスにもある通り、まずは〝ひとつ手放してみる〟ことから始めてみてはいかがでしょうか。
取材・文/福島孝代
写真/(C)Shutterstock.com
臨床心理士
吉田美智子
東京・青山のカウンセリングルーム「はこにわサロン東京」主宰。自分らく生きる、働く、子育てするを応援中。オンラインや電話でのご相談も受け付けております。
HP
Twitter: @hakoniwasalon
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