全国に広がったのはコンビニから
1989年、大手コンビニエンスストアが、広島で恵方巻きの販売を開始しました。翌年以降、販売エリアを徐々に広げていき、恵方巻きは全国に知られる存在となります。
「恵方巻き」という名前を付けたのも、その大手コンビニが最初であるという説が有力です。恵方巻きという名前でスーパーやデパートでも販売されるようになり、定着していきました。
現在は、さまざまなタイプの恵方巻きが全国各地で販売されているほか、アレンジを加えた自分だけの恵方巻きを楽しむ人も増えています。
恵方巻きの具材と食べ方のポイント
恵方巻きには、縁起がよいとされている代表的な7種の具材を使うのが基本です。恵方を向きながら食べるなど、恵方巻きを食べる際のポイントもおさえておきましょう。
基本の具材7種
恵方巻きには、7種類の具材を入れると縁起がよいとされています。福をもたらす神様として知られる「七福神」に因んでいるのがその理由です。
代表的な具材は、かんぴょう・しいたけ煮・伊達巻(だし巻、厚焼き玉子)・鰻(穴子)・桜でんぶ・海老・きゅうりなど。それぞれの具材に、健康長寿や金運アップなどの意味が込められているとされます。
用意できる具材がない場合は、一般的な巻き寿司や太巻きに使われている具材を参考にするのもおすすめです。
恵方の方角を確認する
恵方巻きは、恵方を向いて食べれば縁起がよいとされています。恵方とは、陰陽道において、年ごとの福徳を司る「歳徳神(としとくじん)」がいる方角です。今年の恵方は「南南東」。
恵方には4つの方角があり、その年の「十干(じっかん)」によって恵方が決まります。同じ恵方は連続しないので、毎年確認することが大切です。
願い事をしながら食べる
恵方巻きは1人1本用意し、恵方を向いて、願い事をしながら食べるのが基本とされています。食べている間は話をせずに黙って食べ、最後まで一気に食べ切るのがルールとされています。途中でほかのものを食べるのはNGです。
恵方巻きは福を巻き込むという意味から巻き寿司なので、包丁で切り分けてしまうと「福や縁が切れる」と考え、切らずにそのまま食べるのが望ましいとされています。食べるときは、2024年の恵方である「東北東」を向いて食べましょう。
地域によっては、「食べている間は目を閉じる」「笑いながら食べる」など、独特の風習がみられます。
子供が喜ぶアイディア恵方巻き
子供がいる家庭では、子供向けにアレンジした恵方巻きを用意すると喜ばれます。子供が好きな食材を使った、ユニークなアイディア恵方巻きと作り方を紹介します。
オムライス恵方巻き
海苔の代わりに全体を薄焼き卵で巻けば、オムライスのような見た目の恵方巻きを作れます。鶏もも肉や玉ねぎなど、用意しやすい食材で手軽に作れる恵方巻きです。
中の具材には、鶏もも肉のグリルとサラダ菜がおすすめです。グリルを作った後に鶏肉の旨味が残ったフライパンで、ケチャップと玉ねぎのみじん切りを炒めれば、味わい深いトマトソースも作れます。
ご飯には、お好みでパセリや粉チーズを合わせ、さっと混ぜましょう。薄焼き卵の上にご飯を広げ、サラダ菜の上に鶏もも肉のグリルを乗せてソースをかければ完成です。
ウインナー海苔巻き
具材に子供が大好きなウインナーを使った恵方巻きです。ご飯・海苔・ウインナー・サラダ菜を用意するだけで、簡単に作れます。
ウインナーは沸騰したお湯でゆでておきましょう。海苔にご飯を薄く広げ、手前側にサラダ菜・ウインナーの順で乗せます。手前から海苔ごと巻けば完成です。
一般的な恵方巻きでは大きすぎて一気に食べ切るのが難しい子供でも、ウインナー海苔巻きならきっと食べやすいはず。ウインナーの代わりに、ハムやベーコンを巻いても、手軽でおいしい恵方巻きができます。
恵方パン巻き
ご飯の代わりにパンを使えば、子供が喜ぶユニークな恵方巻きが作れます。卵・ハム・きゅうり・海苔に加え、サンドイッチ用の食パンを用意しましょう。
ゆで卵を作り、皮をむいてフォークでつぶした後、塩やマヨネーズで味付けします。ハムときゅうりは千切りにしておきましょう。
サンドイッチ用食パンの上に、サイズを合わせて切った海苔を乗せます。パンの表面に薄くマヨネーズを塗っておけば、海苔がはがれにくくなります。
海苔が下側になるよう裏返してラップの上に乗せ、準備しておいた具材を並べてひと巻きし、ラップの端をねじって留めれば完成です。
チーズ恵方巻き
酢飯とチーズは、意外と味の相性がよい組み合わせです。野菜やハムなど、チーズと合う具材を一緒に巻けば、カルシウムたっぷりの恵方巻きを作れます。
酢飯を作り十分に冷ましたら、海苔の上に敷いたスライスチーズに、酢飯を薄く広げましょう。中に入れる具材は、卵焼き・カニカマ・ハム・ツナ缶・ソーセージ・きゅうり・サラダ菜など、チーズと相性がよく、子供でもおいしく食べられそうなものがおすすめです。ツナは汁気を切り、マヨネーズで和えておきます。
海苔にチーズを乗せる際は、巻き終わりの数cmを残して乗せれば、巻いた後にチーズが重ならず、きれいな見た目に仕上がります。
季節の行事を親子でいっしょに学べる絵本形式の実用書です。ものごとの由来やしきたり、遊び方、箸の持ち方、衣服のたたみ方など、行事を子育てに役立てるコツを豊富なイラストで楽しく紹介。文化と愛情を伝える「行事育」が手軽に実践できます。
監修/和文化研究家
三浦康子
古を紐解きながら今の暮らしを楽しむ方法をテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、Web、講演などで提案しており、「行事育」提唱者としても注目されている。連載、レギュラー多数。All About「暮らしの歳時記」、私の根っこプロジェクト「暮らし歳時記」などを立ち上げ、大学で教鞭もとっている。著書『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』(永岡書店) ほか多数。
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