使うのは炒った大豆
豆まきに使う豆は、始めは魔除けに使用される小豆や米・麦・ヒエ・アワなどが使用されていました。しかし、貴重な穀物は値段も高かったため、次第に庶民でも入手しやすい大豆が使われるようになったとされています。
また、豆まきで使用した豆から芽が出ると縁起が悪いとされたため、炒った大豆を使うようになりました。現在でもこの考え方は引き継がれており、節分用に販売されている福豆には炒った大豆が使われています。
豆まきのやり方
節分の前日までに福豆を用意し、枡や三方など神様に供えるための器に入れ、神棚に供えておきます。豆まきを行うのは、鬼が来る時刻とされている真夜中がよいとされています。節分の夜、家中の窓や戸を開け、一家の主人または年男が掛け声をかけながら家の外や内に豆をまき、福を逃がさないようすぐに閉めます。
その後、1年の厄除けを願いながら、自分の年齢に1を足した数だけ豆を食べます。地域によっては豆の数が異なり、年齢と同じ数だけ食べる場合もあります。
【目次】
節分で食べたい縁起の良い食べ物
節分に食べると縁起が良いとされる、代表的な食べ物を紹介します。定番の恵方巻以外に、イワシやそばがあることも覚えておきましょう。
恵方巻
節分の夜に恵方を向いて「恵方巻」を食べれば、1年間健康に過ごせるとされています。恵方巻は1人1本用意し、包丁などで切らずに、無言で一気に食べ切るのがよいといわれています。
恵方巻は関西発祥ですが、1980年代に大手コンビニでの取り扱いをきっかけに全国へ知れ渡り、現在は節分に食べると縁起の良い食べ物として定着しています。
恵方の方角は4種類あり、同じ方角は連続しないため、毎年確認する必要があります。2024年の恵方は、東北東です。
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イワシ
古くから伝わる節分の風習として、魔除けのために玄関に飾る「柊鰯(ひいらぎいわし)」と呼ばれるものがあります。
柊鰯は、焼いたイワシの頭に、葉の付いた柊の小枝を突き刺したもの。焼いたイワシから出るにおいや煙に魔除けの意味があるとされ、主に西日本では、節分にイワシを食べる習慣があります。
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そば
立春前の節分は大晦日に並んで大切な行事とされてきました。昔は春から年が始まると考えられていたこともあり、節分にも大晦日にも「年越しそば」を食べる風習があったとされます。
しかし、次第に大晦日に食べるそばが重要視されるようになったため、節分に食べるそばは「節分そば」として区別されるようになりました。節分そばを食べる習慣が残っている地域もあります。
年を越す前に食べる年越しそばと違い、節分そばは節分の日中に食べればよいとされています。具材も特に決まりはないため、好みに合わせて楽しみましょう。
季節の行事を親子でいっしょに学べる絵本形式の実用書です。ものごとの由来やしきたり、遊び方、箸の持ち方、衣服のたたみ方など、行事を子育てに役立てるコツを豊富なイラストで楽しく紹介。文化と愛情を伝える「行事育」が手軽に実践できます。
和文化研究家
三浦康子
古を紐解きながら今の暮らしを楽しむ方法をテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、Web、講演などで提案しており、「行事育」提唱者としても注目されている。連載、レギュラー多数。All About「暮らしの歳時記」、私の根っこプロジェクト「暮らし歳時記」などを立ち上げ、大学で教鞭もとっている。著書『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』(永岡書店) ほか多数。
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