仕事は、1人だけでやり遂げられるものばかりではありません。会社の上司や同僚の協力を得たおかげで、みごと仕事が達成できたという経験がある方も多いはず。そのような時、お世話になった人に、どのようにお礼を伝えようか迷ったことはありませんか?
とりわけ難しい仕事や大きなプロジェクトだった場合、ただ単に「ありがとう」や「ご協力」では物足りなさを感じることも…。そんな時に役に立つのが、「ご尽力」という言葉です。
そこで本記事では「ご尽力」の意味や使い方、注意点などを解説します。よく似た「お力添え」との違いや「ご支援」「ご助力」の意味も紹介しますので、目上の人へお礼を伝える時のヒントとして活用してみてはいかがでしょうか?
「ご尽力」の意味と注意点
それでは、「ご尽力」の意味と使い方について説明します。
「尽力」とは精一杯努力すること
まずは、「尽力」の意味を辞書で確認してみましょう。
[名](スル)ある目的の実現のために、力を尽くすこと。「町の復興に―する」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「尽力」とは、「精一杯努力する」「最大限の力で取り組む」という意味があることがわかりました。この「尽力」に尊敬を表す「ご」を頭につけることで、上司や取引先など目上の人に対して使える丁寧な言い回しになります。
メールの文章や電話などの口頭でも使える言葉で、主に力を尽くしてくれた相手に対して感謝を伝えたいときに用いられます。また、自分の行動に対しても使える言葉のため、「これからも尽力していきます」など仕事に対する意気込みを伝えることもできますよ。
依頼の意味で使用しない
「ご尽力」は、依頼の意味を含んで使用することはできません。例えば、「ご尽力お願いします」と相手に伝える人もいますが、これは誤った使い方でしょう。これでは、「私たちのために努力してください」と言っているようなものです。
依頼をしたい場合には、「ご協力のほど、お願いいたします」や「ご支援のほど、お願いいたします」と言う方が適切ですね。
重複表現にならないように注意する
「ご尽力」を使用するときは、重複表現にならないように注意しましょう。重複表現とは、「馬から落馬する」「頭痛が痛い」など同じ意味の語を重ねて使うことです。同様に「ご尽力」を使うときに「尽力を尽くす」と言う人もいますが、これも重複表現にあたります。
自分の意気込みを伝える場面で使い方を間違えてしまうと、頼りない印象を与えてしまう可能性も…。重複表現には十分に注意してくださいね。
「お力添え」とは?「ご尽力」との違い
「ご尽力」と似た言葉である「お力添え」を同じ意味で使う人も少なくありません。ただ、この2つは使い方がまったく異なりますので、注意手が必要です。ここでは「ご尽力」と「お力添え」の違いを紹介します。
そもそも「お力添え」とは
「お力添え」の意味を、辞書で調べてみました。
[名](スル)他人の仕事を手助けすること。力を貸すこと。助力。援助。「よろこんでお―します」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「力添え」とは、「力を貸す」「協力する」という意味です。尊敬を示す「お」を付けることで敬語になります。
例えば、仕事で取引先の協力が必要な場面が出てきたとしましょう。そんなとき、「お力添え」という言葉が使えます。また、依頼だけでなく、お礼の意味でも使えるのも大きな特徴です。
・新規プロジェクトについて、お力添えのほど、お願いいたします
・〇〇さんのお力添えがあってこその成果です