「申し伝える」とはどんな言葉?
「申し伝える」は敬語としてビジネスシーンでも使える表現です。きちんと意味を理解しておくと場面に応じて適切に使うことができるでしょう。まずは「申し伝える」の言葉の意味について解説します。
「取りついで第三者に伝える」という意味
【申し伝える(もうしつたえる)】
[動ア下一][文]まうしつた・ふ[ハ下二]
(1)「言い伝える」の謙譲語。取り次いで申す。「係の者に―・えます」
(2)語り伝え申し上げる。また、語り伝える。「源五右衛門といへる人はと尋ねけるに、―・へしを語る」〈浮・五人女・五〉
<「小学館 デジタル大辞泉」より>
読み方は「もうしつたえる」。取りついで第三者に伝えることを意味しています。「担当の〇〇に申し伝えます」という言い回しで日常使いしている人も多いのではないでしょうか。もうひとつ、「語り伝え申し上げる」の意味も持っており、こちらは後世に対して語り継ぐニュアンスです。ビジネスシーンにおいてはこの意味で使われることはあまりないでしょう。
目上の人にも使える敬語表現
また「申し伝える」は「言い伝える」の謙譲語にあたり、目上の人を敬う気持ちを表す敬語表現として使用可能です。実際に使うときは、話し相手に敬意を示すために、丁寧語の「ます」を組み合わせて「申し伝えます」「申し伝えておきます」と表現すると適切です。
「申し伝える」の5つの使い方
続いて「申し伝える」の使い方を5つのシチュエーション別に紹介します。状況に応じて正しく使えるようしましょう。
何らかの伝言を依頼された時
伝言を依頼されたとき「申し伝えます」の言葉を自然と使う人は多いでしょう。前述のとおり、伝言を依頼している目上の相手に対して使う言葉です。ちなみに「申し伝えさせていただきます」は間違った表現。「申し伝える」は伝言を依頼している相手に敬意を示す言葉ですが、「いただく」の謙譲語を付け加えることで、言い伝える相手に敬意を示すことになり矛盾が生まれてしまいます。また「お伝えする」という表現もありますが、この言葉も言い伝える相手に対して敬意を示す謙譲語です。社内の人同士のやりとりで「社長にお伝えします」と使うのは正しいですが、社外の人に対する表現としては不適切なのでこちらも注意しましょう。
お客様や取引先からの電話対応
お客様や取引先からの電話対応で、指名された担当者が不在の場合に使います。追って連絡が必要な案件であれば、電話相手には「担当者より折り返しご連絡いたします」と一言添えておくと良いでしょう。
例文
・かしこまりました。担当の山田に申し伝えておきます。
・高橋は只今席を外しております。戻りましたら、お電話頂いたことを申し伝えます。
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社内外のメール
受けた質問や要望を別の人に伝える、連絡事項を社内の人に共有するなど、メールの文面でも「申し伝える」を使うことができます。返信を送る社外の相手を立てて、丁寧な文章を作成しましょう。
例文
・ご質問の件は、責任者である山田に申し伝えました。明日回答させていただきます。
・日程変更の件、承知しました。高橋にも申し伝えておきます。
対面での会話
打ち合わせの後など、取引先の人からその場にいない上司への伝言を預かることもあるでしょう。会話の中でも「申し伝えます」と返答できると好印象です。
例文
・本日はありがとうございました。この案件は、弊社の山田にも申し伝えます。
・「高橋部長にもよろしくお伝えください。」「かしこまりました。申し伝えておきます。」