関係性の近い人に伝える
「申し伝える」という表現は、基本的に社外の人に対して使うことが多いでしょう。一方、部署間のやりとりなど関係性の近い社内でも使うことが可能です。たとえば他部署の先輩社員から自分の部署の社員に伝言を受けた場合、その先輩社員に対して「申し伝えます」と表現します。なお、伝言をお願いする場合は「山田さんに申し伝えてください」という使い方は間違いです。伝言を依頼する場合は「山田さんにもお伝えください」と表現します。
「申し伝える」の3つの類語
「申し伝える」と似たような言葉には「申し上げる」「伝え申す」「申し付ける」があります。ここでは「申し伝える」との違いを見ていきましょう。
「言う」の謙譲語「申し上げる」
「申し上げる」は「言う」の謙譲語で、目上の人に伝える場合に使う言葉です。「申し伝える」が複数人の間に立って伝言することを指すのに対し、「申し上げる」は単に言葉を発することを意味し、自分の意見を伝える場合にも使うことが可能です。その他、語尾に用いることで丁寧な印象を与えることができ、ビジネスシーンでよく使用される言葉です。
「伝える」の謙譲表現となる「伝え申す」
「伝え申す」は「伝える」の謙譲表現です。「申し伝える」と似た意味合いですが、「申し伝える」の「申す」は「言う」の謙譲語であるのに対し「伝え申す」の「申す」は補助動詞で動詞本来の意味はありません。「相手に伝える」という意味がより明確なのは「申し伝える」でしょう。一般的に広く使われていることからも「申し伝える」の方が相手に意図が伝わりやすいです。
異なる意味を持つ「申し付ける」
「申し付ける」は「申し伝える」と言葉の意味が異なりますので、間違って使用しないよう注意しましょう。「申し伝える」が「取り次ぐ」「伝言する」の意味に対して、「申し付ける」は「言い渡す」「命令する」という意味を表します。現代では本来の「命令する」という強い意味よりも、何かあれば遠慮なく言ってくださいというニュアンスで「申しつけください」といった形で使用されることが多いです。
「申し伝える」の英語表現はさまざま
「申し伝える」をそのまま意味する英単語はないため「知らせる」や「伝言を取りつぐ」など、さまざまなフレーズで表現するのが一般的です。
【例文】
・I’ll let him/her know about this(私は彼/彼女にこれについて知らせます)
・I’ll let him/her know about the schedule(私は彼/彼女にスケジュールをお知らせします)
・I’ll make sure he/she gets the message(私は彼/彼女がメッセージを受け取ることを確認します)
・I’ll pass the message to him/her(私は彼/彼女にメッセージを伝えておきます)
「申し伝える」を正しく理解して使おう
「申し伝える」は「言い伝える」の丁重語に該当し、自分の動作をへりくだることで丁重な表現ができます。話し相手を立てるために使用し、伝言する第三者へ敬意を示す言葉ではありません。似たような言葉も含めて意味を理解しておくと、多くのビジネスシーンのやりとりで役立ち、相手にも好印象を与えます。この記事を読んで、正しい「申し伝える」を身につけましょう。
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