出精値引きとは?メリットや他の値引きとの違い
出精値引き(しゅっせいねびき)とは、商品やサービスの質を下げることなく、企業努力によって値引きを提示することです。取引先との良好な関係を継続するため、値引きは慎重に行う必要があります。
しゅっせい‐ねびき【出精値引き】
[名](スル)見積書の明細に使われることのある項目の一。経費の見積を出した側が、自らの努力によって値引きしたことを表す項目。例えば、100万円の予算に対して見積額が110万となったときに、値引きの明細を出さずに、出精値引き10万として数字を丸める場合などにも用いる。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
まずは、出精値引きのメリットや他の値引きとの違いについて確認していきましょう。
出精値引きのメリット
出精値引きの主なメリットは、以下の3点です。
1.取引先との信頼関係を構築できる
2.市場に応じた価格を設定できる
3.取引先との良好なビジネス関係を維持できる
取引先のニーズに応える形で値引きを提案すれば、取引先との信頼関係が深まります。適切な価格を考慮することで、市場価格とのバランスが保てる点もメリットのひとつです。
また、値引きをしたうえで良質な商品やサービスを提供すれば、取引先との関係が強化されます。将来に向け良好なビジネス関係を維持できるでしょう。
出精値引きと他の値引きとの違い
出精値引きと他の値引きとの違いは、提供する商品やサービスの質にあります。
出精値引きは、商品やサービスの質を落とさないことが大きな特徴です。一方で、通常の値引きは工期の融通などの条件を前提に行われます。
また、出精値引きの目的は、あくまでも値引きを通じて取引先との信頼関係を築くことです。そのため、他の値引きのように一般消費者や大量購入者を対象に行われることはありません。
さらに、取引先との後のトラブルを防ぐため、値引きの際は見積書や請求書などにその旨を表記する必要があります。
出精値引きの書き方
ここからは、見積書と請求書への出精値引きの書き方をご紹介します。見積書には、金額と共に理由の記載が必要です。また、請求書作成時はインボイスの扱いに注意してください。
見積書への書き方
見積書には、値引き前の金額と共に出精値引きの理由を記載します。値引き前の金額は、取引先の混乱を招かないためにも必ず記載してください。値引き前の金額が分からないと、自社内でもトラブルが生じる原因になります。
値引き額には、「−(マイナス)」または「▲」の記号を使用します。取引先に値引きの意図が伝わらない可能性があるため、他の記号を使用するのは控えましょう。
値引きの理由は、口頭でも応えられるようにしておくのが理想的です。値引きの理由を明確に伝えることが、取引先との信頼関係構築へとつながります。
インボイスに注意!請求書への書き方
請求書への出精値引き記載時は、インボイスに注意する必要があります。使用する「適格請求書」への記載方法は、以下の2通りです。
1.直接減額する方法
2.対価の返還とする方法
課税対象の対価から直接値引き額を差し引いて処理する場合は、値引き後の金額とそれに対する消費税などを記載します。税率が複数ある場合は、それぞれの税率に応じて値引き額を分配しましょう。
売上げに対する返還として処理する場合は、課税対象となる対価から値引きを行います。請求書の合計金額から値引き額を差し引き記入してください。
この場合、値引き対象の品目を個別に記載する必要はありません。また、税率が単一の場合は、適用税率も記載しなくてよい決まりになっています。
出精値引きを行う際の注意点
前述したように、出精値引きは取引先との信頼関係構築を図るうえで有効な手法です。ただし、行う際は以下の点に注意する必要があります。