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「幸いに存じます」の意味は?
「幸い」には「幸せであり、ありがたい」「そうしていただければ幸せ」という意味があります。そして「存じます」は、「思う」の謙譲語である「存ずる」と丁寧語の「ます」が組み合わさった言葉です。
「幸いに存じます」は「そうしていただけるとありがたく思います」という意味合いで使えます。主に、相手にお願いする気持ちや感謝の気持ちを表したいときなどに使いましょう。目上の人に使うのが基本で、自分と対等な立場の人、部下や後輩には使いません。
「幸いに存じます」の類語と例文
「幸いに存じます」にはいくつかの類語があるので、いろいろな表現を覚えておくと便利です。しかし、「幸いに存じます」を多用すると、言葉に気持ちがこもっていない印象を与えてしまうかもしれません。
類語を頭に入れておくことで「幸いに存じます」の多用を防げるだけでなく、場面や相手の立場に合わせて最適な言葉を使うことができます。ビジネスパーソンとして、いろいろな表現を身につけておきましょう。
類語1:嬉しく存じます
「嬉しく存じます」は、ビジネスシーンで嬉しい気持ちを伝えたいときに最適の表現です。「嬉しく思います」は幼稚な印象を与えてしまうこともあるので、ビジネスシーンでは「存じます」のほうがより良いでしょう。
「思います」を謙譲語にした「存じます」にすることで、ビジネスシーンにふさわしい言葉になります。依頼や願望、相手から受けた行為に対しての喜びも表わすことができるので、幅広いシーンで使えます。
ちなみに、「嬉しく存じます」は「嬉しい限りです」「嬉しい限りでございます」と言い換えることもできます。ただし、この表現は堅いので、日常生活ではあまり使われることはありません。かしこまった場で、気持ちを伝えたいときにおすすめです。
・「本日はご招待いただき嬉しく存じます」
・「本日はお目にかかることができ、大変嬉しく存じます」
・「お褒めの言葉をいただき、大変嬉しく存じます」
類語2:ありがたく存じます
「ありがたく存じます」は、「ありがたい」と思っている自分の感情を表わす言葉です。上司や目上の人などに対して使うと良いでしょう。「幸いに存じます」と同じく、「~してくれるとありがたいです」という意味です。
依頼や願望を表わすときにも使いますが、相手から受けた行為に対しての感謝を表すときにも使えます。「幸いに存じます」ほど堅くなく、親しみが持てる表現ともいえるでしょう。
・「このたびは迅速にご対応いただき、ありがたく存じます」
・「本日は貴重なアドバイスをしていただき、ありがたく存じます」
・「お心遣い、誠にありがたく存じます」
類語3:幸甚(こうじん)に存じます
「幸甚」は相手を立てる表現なので、「もし~してくれたらありがたい・とても嬉しい」という意味で使われます。「幸甚」と謙譲語の「存じます」を組み合わせた「幸甚に存じます」はかしこまった丁寧な表現のため、改まった場で使用しても差し支えありません。
ちなみに、「幸甚でございます」と言い換えることもできます。会話で使うよりは、ビジネス文書やビジネスメールで使うのが一般的でしょう。
・「誠に恐れ入りますが、明日までにご返答いただけると幸甚に存じます」
・「今後とも変わらぬご愛顧賜れば幸甚に存じます」
・「再度ご検討いただけたら幸甚に存じます」
類語4:光栄に存じます
「光栄に存じます」は名誉に思う気持ちを丁寧に表した表現で、自分が評価されたときに使います。ビジネスシーンで業績を評価されたときにも、この言葉を重宝するでしょう。ただし、依頼や感謝の気持ちを表すことはできないので気をつけてください。
・「このような名誉ある賞をいただき、光栄に存じます」
・「大役を任せていただき大変光栄に存じます」
・「おほめの言葉をいただき、光栄に存じます」
類語5:幸いです
「幸いに存じます」ほどは丁寧ではありませんが、ありがたいという気持ちを表す丁寧な言葉の一つです。主に、対等な関係の人、年下の人、自分より立場が下の人に対して使います。
また、ビジネスメールでもよく使われる文です。「幸いに存じます」とほぼ同じ使い方をしますが、年上の人や取引先の人に対して使うと失礼にあたるので、気をつけてください。
・「お手すきの際にご連絡いただけますと幸いです」
・「お手すきの際にご確認いただけると幸いです」
・「ご教示いただけましたら幸いです」
「幸いに存じます」を使う場面
「幸いに存じます」という言葉は、主に3つの場面で使うことができます。「相手にお願いをするとき」「相手の役に立ちたいとき」「贈り物をするとき」ですが、それぞれどんな風に使うのか見てみましょう。
■相手にお願いをするとき
主にビジネスシーンで、相手にお願いをするときに使えます。例えば、資料に目を通してほしいとお願いするときに役立つでしょう。「~してください」とお願いするより「~していただけると幸いに存じます」とお願いする方が、丁寧で柔らかい表現になります。ビジネスメールやビジネス文書でもよく使うので、覚えておきましょう。
例えば、「資料をご覧ください」だと、若干ストレートな表現になってしまい、きつい印象を与えてしまうこともあるかもしれません。それより「資料をご覧いただけると幸いに存じます」の方が、柔らかく丁寧な印象になります。
また、社長やかなり目上の上司に、書類などの確認をお願いしたいときは、「こちらの資料をご高覧いただければ幸いに存じます」というフレーズを使ってみましょう。「高覧」という言葉には敬意が込められているので、最上級の敬意を込めたいときに最適です。「幸いに存じます」と「ご高覧」という言葉を、セットで覚えておくことをおすすめします。
相手にお願いするときの例文
・「出欠の返事を〇月〇日までに、ご返信いただけると幸いに存じます」
・「本日中にアンケートに回答していただけると幸いに存じます」
・「ご都合良い日時をご連絡いただけますと幸いに存じます」
■相手の役に立ちたいとき
「幸いに存じます」は、相手の役に立ちたいときや相手に協力したいときにも使えます。ビジネスシーンにおいて、相手に協力したいと自ら思いを伝えることで、良い印象を与えることができるでしょう。
「実際に役に立つかわかりませんが、良かったらどうぞ」というニュアンスで、控えめな表現です。押しつけがましくない表現なので、良好な人間関係を築きたいときに使ってみましょう。
相手の役に立ちたいときの例文
・「お役に立てれば幸いに存じます」
・「今日の講演がお役に立つと幸いに存じます」
・「この資料が、プレゼンテーションのお役に立てれば幸いに存じます」