「微力ながらお手伝いさせていただきます」
「微力ながら」と「お手伝い」も、よくセットで用いられます。目上の人の仕事をサポートする際には、「お手伝いさせていただきます」と丁寧に伝える必要がありますよね。謙虚でありながらも、相手の仕事を支える姿勢や覚悟があることをアピールできるでしょう。
【例文】
・イベントがうまくいくように、微力ながらお手伝いさせていただきます。
・新しいシステムの導入にあたって、私も微力ながらお手伝いさせていただきます。
これらのほかにも、以下のような使い方ができますので確認しておきましょう。
「微力ながらお力になれれば幸いです」
【例文】
・〇〇様が抱えていらっしゃる課題について、微力ながらお力になれれば幸いです。
・今後とも何か困ったことがあれば、微力ながらお力になれれば幸いです。いつでもお声がけください。
「微力ながらお力添え」
【例文】
・本プロジェクトの成功には皆の協力が不可欠だと呼びかけられたので、「微力ながらお力添えします」と返した。
・私でよろしければ、微力ながらお力添えいたします。
「微力ながら応援しています」
【例文】
・ 新しい部署でのご活躍、心よりお祈り申し上げます。微力ながら応援しています。
・〇〇さんの新しい挑戦、私も微力ながら応援しています。
【実際の体験談】ビジネス等で使う時の注意点
実際のビジネスシーンで「微力ながら」を使用する場合、どのような点に注意すればよいのでしょうか。「微力ながら」にまつわる成功・失敗談を踏まえつつ、使用法を見ていきましょう。
【episode1】へりくだりすぎた自己アピールに注意
Aさん(管理職、45歳)
若手時代、新企画のメンバーに選ばれたので意気揚々と「微力ながら貢献できるよう頑張ります」と上司に伝えました。すると後日、上司から呼び出され、「あの言葉は自分の能力のなさを強調しているように聞こえる。期待しているのに自信がないなんて返されると、頼んだ側は不安になる」と指摘されました。当時は謙虚さをアピールしたつもりでしたが、u003cstrongu003eビジネスの場では、相手の期待に応える意欲を明確に伝えることも重要なのだと学びました。u003c/strongu003eこの失敗を機に、単にへりくだるのではなく、「このプロジェクトの成功のため、全力を尽くします」のように、ポジティブで具体的な言葉を選ぶように心がけています。
【episode2】不適切な「微力ながら」の指摘
Tさん(主任、32歳)
私がチームリーダーになったときの話です。ある部下が重要な商談のあと、「微力ながらお手伝いできてよかったです」と報告してきました。一見すると丁寧な言葉ですが、商談での彼の貢献度は非常に高く、クライアントも彼に感謝していました。しかし、この言葉は彼の自信のなさを感じさせ、せっかくの功績を過小評価しているように聞こえました。私は彼に、「あなたの貢献は決して微力ではない。自信を持って話してほしい」と伝えました。u003cstrongu003e「微力ながら」は、自分の行動に対する謙遜の言葉であり、やり遂げた実績を伝える場では、かえってネガティブな印象を与えてしまいかねないことを指導しました。u003c/strongu003e
類語にはどのようなものがある?
ここからは、「微力ながら」と同じような意味を持つ表現をいくつか紹介します。
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僭越ながら(せんえつながら)
「僭越」とは「自分の地位や立場を越えて出過ぎたことをするさま」を意味します。そのため「僭越ながら」は「失礼を承知の上で、出過ぎた行動をします」というニュアンスを表現することができます。
「微力ながら」は基本的に、相手の要請に対しての返答に使われる表現ですが、「僭越ながら」の場合は、自分から発言するときなどにも使うことができます。
【例文】
・僭越ながら、意見を述べさせていただきます。
・僭越ながら、ご挨拶させていただきます。
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及ばずながら(およばずながら)
「及ばずながら」は、手助けをする際に「力は決して十分ではありませんが」と謙遜していう表現。「微力ながら」と意味合いがとても近いです。
【例文】
・及ばずながら、ご協力いたします。
・及ばずながら、全力を尽くします。
憚りながら(はばかりながら)
「憚りながら」とは「遠慮すべきことかもしれないが」「恐れながら」といった意味で、「自分のようなものが恐縮ですが」といった姿勢を表します。主に、目上の人に反対意見を伝えるときなどに使います。そのほか、相手からの要望が自分の実力以上のものだった場合にも「恐れながら」という表現として、使うことができます。
【例文】
・憚りながら意見を申し上げます。
・憚りながらお受けいたします。
恐縮ながら(きょうしゅくながら)
「恐縮ながら」は、相手からご厚意を受けた際や迷惑をかけてしまった際に、謝罪の意味を込めて使います。例えば、目上の人のお宅に何時間もお邪魔して、そろそろ引き上げたいという場合に「恐縮ながら、本日は失礼させていただきます」などと伝えるのです。相手に申し訳なく思っていることが伝えられる表現です。また、依頼や断りをいれる際、お願いする際にもよく使われます。
【例文】
・恐縮ながら、今回のコンクールへの参加は辞退させていただきます。
・この後予定があるため、恐縮ながら早退させていただきます。
お役に立てるかわかりませんが
「お役に立てるかわかりませんが」は、文字どおり「お役に立てるかどうか保証はありせんが」という意味です。相手から何かを打診され、その返事として使うのが自然ですが、「微力ながら」以上に謙遜の意が強いでしょう。言い方によっては、自信がないように受け取られる可能性もあるため、場面を選ぶ必要がありますね。
【例文】
・お役に立てるかどうかわかりませんが、とりあえずやってみます。
・ブランクがあるので、お役に立てるかどうかわかりませんが挑戦してみます。
「微力ながら」の英語表現は?
「微力ながら」は、謙虚・謙遜を美徳とする日本人らしい表現です。そのまま英語にしてしまうと、欧米ではネガティブに受け止められることがあります。
ビジネスシーンでは自分の能力を「微力」と表現しないほうがいいでしょう。では、ビジネスシーンでも使える丁寧かつ、ポジティブな印象を与える「微力ながら」に近いフレーズは何でしょうか? チェックしてみましょう。
【例文】
・I will do my best to make a success 〜.
(~を成功させるために最善を尽くします)
・I will make every effort to make a contribution to 〜.
(~に貢献するために全力を尽くします)
親しくなった人には日常会話で、下記のように表現してもいいでしょう。
【例文】
・I don’t know how much I can do, but I wanna do anything for you.
(どれくらいできるかわからないけど、君のために何でもするよ)
よくある質問
ここからは「微力ながら」という言葉に関してよくある質問と、その回答を紹介します。
Q. 「微力ながら」と「非力ながら」の違いは何ですか?
「微力ながら」は、自分の力がわずかであることをへりくだって言う謙遜的な表現です。相手に協力を申し出る際に使われ、謙虚さを示しながらも、貢献したいという前向きな気持ちが込められています。
一方「非力ながら」は、自分の力が足りない、力不足であることを示します。目標達成や期待に応えられない状況を伝える際に使われ、「微力」よりも無力さや能力の限界を強調するニュアンスが強いです。ビジネスでは相手に不安を与える可能性があるため、使用には注意が必要です。
Q. 「微力ながら頑張ります」という言葉はビジネスシーンで使えますか?
基本的に使わないほうが良いでしょう。「頑張ります」は、すでにやるべきことや期待されていることに対し、改めて意欲を示す言葉です。ここに「微力ながら」を付けてしまうと、相手に「自分は能力が低いですが、なんとか頑張ります」という、なんとも自信のないネガティブな印象を与えてしまいます。
相手の期待に応える場面では、「全力を尽くします」「精一杯努めさせていただきます」といった、より前向きで力強い表現を使ったほうが良いでしょう。
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Q. 「務まるか不安ですが」の例文は?
「務まるか不安ですが」は、新しい役割や責任を引き受ける際、自信がないことを謙虚に伝える表現です。ビジネスシーンでは、以下のように使うことができます。
【例文】
・部長という大役が私に務まるか不安ですが、精一杯努めさせていただきます。
・リーダーが私に務まるか不安ですが、皆さまにご協力いただきながら、全力で取り組んでまいります。
・この重要な役目が務まるか、いささか不安ではありますが、皆さまのご期待に沿えるよう尽力いたします。
最後に
- 「微力ながら」は自分の力をへりくだって示す謙虚な表現で、相手への協力を申し出る際に用いられる
- 使い方を間違えると自信がない印象を与えるため、履歴書や自己アピールの場で使うのは控えるべき
- 「非力ながら」は力不足を強調する言葉であり、「微力」よりも無力さを強く伝えるため、ビジネスでは使い分けが必要
「微力ながら」は相手を敬う心と謙虚さ、そして何より相手の力になりたいという気持ちが表れた言葉です。そんな言葉をさらりと使いこなせれば、丁寧で礼儀正しい人だという印象を持たれることでしょう。ぜひ使い方をマスターして、ビジネスシーンをより豊かなものにしてください。
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Domani編集部
Domaniは1997年に小学館から創刊された30代・40代キャリア女性に向けたファッション雑誌。タイトルはイタリア語で「明日」を意味し、同じくイタリア語で「今日」を表す姉妹誌『Oggi』とともに働く女性を応援するコンテンツを発信している。現在 Domaniはデジタルメディアに特化し、「働くママ」に向けた「明日」も楽しむライフスタイルをWEBサイトとSNSで展開。働く自分、家族と過ごす自分、その境目がないほどに忙しい毎日を送るワーキングマザーたちが、効率良くおしゃれも美容も仕事も楽しみ、子供との時間をハッピーに過ごすための多様な情報を、発信力のある個性豊かな人気ママモデルや読者モデル、ファッションのみならずライフスタイルやビジネス・デジタルスキルにも関心が高いエディターたちを通して発信中。https://domani.shogakukan.co.jp/