■無礼を承知で尋ねる「失礼ですが」
「失礼ですが」は、相手に対して無礼になることを承知のうえで尋ねる際に使います。「すみませんが」や「申し訳ありませんが」と意味は同じです。
例えば、目上の人に対して意見を言うときや、相手にとって聞かれたくないような質問をする際に、クッション言葉として最初に入れます。ビジネスシーンでは、相手の名前を聞いたり、要件を確認したりする際に使われることが多いです。
また「失礼ですが」は相手へ無礼なこと伝える前置きとなるため、後ろには尋ねることが無礼にあたる内容が続くということは覚えておきましょう。
【例】失礼ですが、再度資料をお送りいただけますでしょうか。
「恐れ入りますが」を使う例文
それぞれのシーンで使う「恐れ入りますが」の例文を紹介します。意味とともに、具体的な使い方を理解しておきましょう。
■「恐れ入りますが」の正しい例文
1. 相手に何かを依頼するとき
・恐れ入りますが、日程が決まり次第メールにてお知らせください。
・お忙しい中大変恐れ入りますが、当日は全員出席でお願いいたします。
・恐れ入りますが、規約を確認したのちにサインをお願いいたします。
2. 相手に何か尋ねるとき
・恐れ入りますが、商品の概要をお伺いしてもよろしいでしょうか。
・恐れ入りますが、担当の○○様はいらっしゃいますか。
・恐れ入りますが、次回の会議の日時はいつになるでしょうか。
3. 感謝やお詫びを伝えるとき
・わざわざ折り返しの連絡をいただき、恐れ入ります。
・多大なお力添えをいただき、誠に恐れ入ります。
・このたびは、このような素敵な研修会へお声がけくださり恐れ入ります。
「恐れ入りますが」の間違った例文
「恐れ入りますが」を使う際、間違って使われるケースが見受けられます。つい言ってしまいがちなフレーズであっても、意味を考えると間違ってることもあるため注意しましょう。以下の例を見ながら、どこが間違っているのか解説します。
1. 自分が迷惑をかけていることへの謝罪
・恐れ入りますが、本日は営業時間を終了しました。
・恐れ入りますが、原稿が出来上がるまでもう少々お時間をいただいてもよろしいでしょうか。
・恐れ入りますが、こちらの不備により資料の発送に遅れがでています。
この例文は、一見「恐れ入りますが」をクッションとしており、よく使われる文章のようにみえます。しかし「恐れ入りますが」は相手に対して敬意をみせる言葉であるため、自分の行動を意味する言葉を使うのは適切ではありません。
このような場合は「申し訳ございませんが」をクッション言葉として使います。「恐れ入りますが」の後ろに自分の行動が入っている場合は「申し訳ございませんが」に置き換えて使いましょう。
2. お礼を伝えるとき
・今回の件は助かりました。恐れ入ります。
・プレゼンの際、うれしいお言葉をいただきいただき恐れ入ります。
・恐れ入ります。皆さんのおかげでプロジェクトは無事遂行できました。
例文は、相手に対して感謝の気持ちを伝える使い方です。目上の人への感謝と謙遜の意味を持ち合わせています。「恐れ入ります」はビジネスシーンでよく使われる言葉ですが、「恐れ入ります」を多用すると本来伝えたいことが回りくどくなるため、注意が必要です。
丁寧な伝え方ではありますが、頻度や場面を考えて使いましょう。率直に感謝の気持ちを伝えたいなら、「ありがとうございます」でも十分相手に伝わります。
「恐れ入りますが」を表す英語とは?
「恐れ入りますが」という言葉の英語による直訳は存在しません。「恐れ入りますが」の意味を含む英語は存在しますが、利用シーンによって表現が異なります。今回は「相手に依頼する場面」と「催促する場面」の2つの使い方をご紹介しましょう。
<英語表現の例文—1>
相手に行動を依頼するときの「恐れ入りますが」には、以下のような表現を使用します。
・Could you do me a favor?
(恐れ入りますが、お願いできますでしょうか)
・Would you please open the door?
(恐れ入りますが、ドアを開けていただきますでしょうか)
・Would it be possible for you to review these mail?
(恐れ入りますが、メールに目を通していただけますでしょうか)
「Could you~」や「Would you ~」は、より丁寧に相手に依頼するといった意味で使います。日本の「恐れ入ります」は、英語では「申し訳ない」という謝罪の意味が強いです。「Sorry~」を使うケースもご紹介しましょう。
・I am sorry, can you please?
(申し訳ないですが、お願いできますか?)
・I am sorry, could you give it to me?
(申し訳ないですが、お譲りいただけますでしょうか)
・I am sorry, can you pick it up?
(申し訳ないですが、拾っていただけますでしょうか)
<英語表現の例文—2>
続いて「恐れ入りますが」と催促のニュアンスを持つ表現は、次の英文となります。
・I don’t mean to rush you, but the deadline is approaching
(急かすつもりはないのですが、締め切りが迫っています)
・Could you please put this task at the top of your to-do list?
(このタスクをやることリストの一番上に置いていただけませんか?)
「急いでください」とそのまま伝えるのではなく、「恐れ入りますが」のニュアンスを持つこれらの表現を使います。「恐れ入りますが」の英語表現には様々な表現フレーズがあるので、利用シーンに合わせた英語表現を適切に使うようにしましょう。
「恐れ入りますが」の意味を知って正しく使おう
今回は「恐れ入りますが」が持つ意味や使い方、類義語、例文、英語表現などについて解説しました。「恐れ入りますが」を正しく理解して活用できれば、ビジネスシーンにおいても好印象を持たれるでしょう。
特に目上の人とのやりとりでは、柔らかい表現であるため、円滑なコミュニケーションにもつながります。上司や取引先などから信頼を得るためにも、正しい言葉遣いを習得していきましょう。
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