【目次】
・「気兼ね」の2つの意味
・覚えておきたい「気兼ね」を使った表現
・「気兼ね」の言い換え表現
・「気兼ね」の英語表現
・敬語なら「気兼ね」をビジネスでも使える
「気兼ね」の2つの意味
「気兼ね(きがね)」とは「遠慮」を意味する言葉です。相手の気持ちに配慮して「遠慮」することもあれば、「遠慮」することで自分の行為を制限することもあります。「気兼ね」を使った例文や言い換え、英文をシチュエーションごとにご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
「気兼ね」には、「相手の気持ちを推し量ること」と「自分の行為を制限すること」の2つの意味があります。相手と自分のどちらを主軸に考えているかという点は異なりますが、いずれも相手を思いやる気持ちから派生したという点では変わりません。それぞれの意味で「気兼ね」という言葉を使用する具体例について見ていきましょう。
1. 相手の気持ちを推し量ること
「こんなことをされたら、あの人は迷惑に感じるだろうな」「こんなことを言ったら、周囲の人は困惑するだろうな」と、相手の気持ちを推し量ることを「気兼ね」と表現することがあります。例えば、以下のようなシチュエーションで使用する「気兼ね」は、相手の気持ちを推し量っていると考えられるでしょう。
・あの子は、お父さんに気兼ねしている。
・道を尋ねてきた女性に「良かったら一緒に目的地まで行きますよ」と提案したら、「どうぞ、お気兼ねなく」と断られた。
2. 自分の行為を制限すること
相手の気持ちを推し量るだけでなく、相手に迷惑をかけないために自分の行動を制限することを「気兼ね」と表現することがあります。例えば、以下のシチュエーションで使用する「気兼ね」は、相手や周囲に迷惑が及ばないように自分の行為を制限していると考えられるでしょう。
・近隣に気兼ねをして、夜間はピアノを弾かないようにしている。
・ピンク色が好きな友人に気兼ねをして、本当はピンクの洋服を買いたかったけれども、色違いの水色のものを選んだ。
覚えておきたい「気兼ね」を使った表現
「遠慮」を意味する「気兼ね」は、さまざまなシーンで用いられます。「気兼ね」を使った表現を5つご紹介しますので、ぜひ使いこなしてください。
・気兼ねなく遊ぶ、気兼ねなく楽しむ
・気兼ねせずに歌を歌いたい
・気兼ねない仲の友人
・隣家に気兼ねして暮らす
・お気兼ねなく遊びに来てください
■気兼ねなく遊ぶ、気兼ねなく楽しむ
「気兼ね」に「なく(無く)」をつなげて「気兼ねなく」というフレーズにすると、「遠慮せずに」「心置きなく」といった意味になります。次のようなシチュエーションで使ってみましょう。
・明日は会社が休みなので、時間を気にせず、友人と気兼ねなく遊んだ。
・今日はいつものうるさい先輩がいない。気兼ねなく楽しもう。
・「いつでも遊びに来てくださいね」「ありがとうございます。では、気兼ねなく伺います」
■気兼ねせずに歌を歌いたい
「気兼ね」に「~しないで」の意味の「せずに」をつなげて「気兼ねせずに」というフレーズにすると、「遠慮しないで」「誰にも憚る(はばかる)ことなく」といった意味になります。次のようなシチュエーションで使えるでしょう。
・ちょっと声を出すだけでも、おばあちゃんが「うるさい」と叱る。ああ、気兼ねせずに歌を歌いたいなあ。
・気兼ねせずに何でも食べてね。ここのお店は何でもおいしいのよ。
・一度でいいから誰にも気兼ねせずにゆっくりと寝たいものだ。
■気兼ねない仲の友人
「気兼ね」に「ない(無い)」をつなげて「気兼ねない」というフレーズにすると、「遠慮のない」「気心の知れた」といった意味になります。次のようなシチュエーションで使ってみましょう。
・彼女と私は気兼ねない仲の友人だ。
・あの子は私にいつも気兼ねない発言をする。
・気兼ねない間柄だからこそ、お互いを思いやる気持ちが大切だ。
■隣家に気兼ねして暮らす
「気兼ね」という名詞に、「する」という動詞に接続助詞の「て」がつながってできた「して」をつけて「気兼ねして」というフレーズにすると、「遠慮して」「憚って」といった意味になります。次のシチュエーションで使えるでしょう。
・家と家との距離が近いので、隣家に気兼ねして暮らしている。
・本当は自分専用のバイオリンが欲しいのだけれど、親に気兼ねして、買ってほしいとは言い出せずにいた。
・「もうお腹がいっぱいです」「私に気兼ねしているのですか?遠慮しないで好きなものを注文してください」
■お気兼ねなく遊びに来てください
「気兼ね」という言葉の前に「お」をつけると丁寧な表現になるので、敬語としても使うことができます。目上の人や年配の人などには、「気兼ね」ではなく「お気兼ね」と言うようにしましょう。
・お気兼ねなく遊びに来てください。
・お気兼ねなさらないでください。
・もしかして、お気兼ねしていらっしゃるのですか。
目上の人や年配の人に話すときでも、自分自身の「気兼ね」について話すときは、「お」をつけないようにしましょう。相手が遠慮しているのではないかと考えられる場合のみ、丁寧語である「お気兼ね」を使って表現します。
「気兼ね」の言い換え表現
「気兼ね」という言葉は、「気遣い」や「気詰まり」、「遠慮」という単語に言い換えることもできます。いつも「気兼ね」ばかり多用していると語彙が少ないような印象を与えてしまうので、言い換えの表現も覚えておきましょう。
■気遣い
「気兼ね」は相手への「気遣い」でもあります。「気兼ね」という言葉では相手への思いやりの気持ちまでは表現できませんが、「気遣い」と言い換えることで、思いやりの気持ちを持って遠慮していることを示せるでしょう。例えば次のシチュエーションでは、「気兼ね」ではなく「気遣い」を用いたほうが適していることもあります。
・いつも私にお気遣いをしていただき、ありがとうございます。
・出張のお土産をありがとう。今後はこのようなお気遣いはいりませんから。
・「駅まで行かれるのですか。私の傘に入ってはいかがですか」「ありがとうございます。でも、お気遣いなく」
■気詰まり
「気兼ね」は相手を思いやって自分の行為を制限することを指しますが、制限することで窮屈さを感じている場合は「気詰まり」と言い換えることができます。実際に行為を制限しないときでも、「気兼ね」をしていることで何となく息苦しさを感じているときに、「気詰まり」という言葉を使って、自分自身の気持ちや行動を説明することができるでしょう。
例えば次のシチュエーションでは、「気兼ね」よりも「気詰まり」と表現するほうが話し手の心情をより正確に表しているかもしれません。
・あの人と一緒にいると、なぜか見張られているように感じて気詰まりだ。
・二人きりになると、何も話すことがなかった。気詰まりな時間だけが流れた。
・本当に思うことを話して良いか分からず、気詰まりな雰囲気になってしまった。
■遠慮
「気兼ね」と「遠慮」は意味がほぼ同じであるため、言い換え表現として覚えておくことができるでしょう。いくつか例文をご紹介します。
・彼女とは遠慮なく話し合える仲になった。
・遠慮なしに電話をかけてください。
・遠慮はいりませんよ。いつでも相談してください。
なお、「遠慮する」という言葉には「断る」という意味もあります。断るの意味で「遠慮する」を使うときには、「気兼ねする」という言葉では言い換えることはできません。
・今日のパーティーへの参加は、私は遠慮しておこう。
・お誘いはうれしいですが、遠慮しておきます。
「気兼ね」の英語表現
「気兼ね」を英語で表現するときは、「hesitation」や「uncomfortable」「consideration」を用いることができます。いずれもニュアンスが異なるので、「気兼ね」の意味を考えてから単語を選ぶようにしましょう。
■hesitation
「hesitation」は、「ためらい」や「躊躇」を表す名詞です。例えば、次のように使用することができます。
・He says without hesitation.(彼は気兼ねなく話します)
・That child agreed with me after some hesitation.(あの子は、少し気兼ねをしてから私に同意をした)
・She had no hesitation in telling the truth.(彼女は気兼ねせずに真実を語った)
■uncomfortable
「uncomfortable」は、「快適ではない」や「落ち着かない」を表す形容詞です。「気兼ね」した状態が快適でないときは、「uncomfortable」を使って次のように表現しましょう。
・I feel uncomfortable here.(私はここでは気兼ねしてしまう)
・Do not feel uncomfortable, please.(どうかお気兼ねなさらないでください)
・She talked in an uncomfortable way.(彼女は気兼ねした様子で話した)
■consideration
「consideration」は「思考」や「熟慮」を表す単語ですが、「with consideration for~」や「out of consideration for~」と表現するときには「~に気兼ねして」「~に配慮して」という意味になります。次のように使ってみましょう。
・I performed with consideration for him.(私は彼に気兼ねして行動した)
・You do not need to talk out of consideration for the people.(人々に気兼ねして話す必要はない)
・She decided her mind without consideration.(彼女は気兼ねせずに決意した)
敬語なら「気兼ね」をビジネスでも使える
「気兼ね」に「お」をつけて敬語表現にすれば、ビジネスのシーンでも活用することができます。言い換え表現や英語表現も覚えて、「気兼ね」を気兼ねなく使っていきましょう。
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