「気兼ねなく」とは?意味と使い方をご紹介
「気兼ね」とは、他人の思わくなどに気をつかうことや遠慮を意味する言葉です。「気兼ねなく」と打ち消すと、「気をつかわないで」「遠慮しないで」といった意味で使われます。

(c)AdobeStock
き‐がね【気兼ね】
他人の思わくなどに気をつかうこと。遠慮。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
使い方1.自分が「気兼ねなく」
「気兼ねなく」は、話者自身が遠慮しないケースと、相手が遠慮しないケースに分けられます。まずは話者自身が遠慮しないケースについて、例文を通して見ていきましょう。
- フレンドリーな雰囲気の旅館で、気兼ねなく滞在を楽しめた。
- お気遣いありがとうございます。パーティーを気兼ねなく楽しんでいますよ。
- 彼女はいつでも快く招待してくれるから、気兼ねなく何度も訪問してしまう。
使い方2.相手が「気兼ねなく」
相手が遠慮しないことを意図して、「気兼ねなく」という言葉を使うこともあります。
- 我が家だと思って、どうぞ気兼ねなくお過ごしください。
- わからないことがありましたら、お気兼ねなく質問してください。
- 気兼ねなく過ごしてくださると、私どもも嬉しく思います。
ビジネスシーンの「気兼ねなく」を使った表現
ビジネスシーンでも、「気兼ねなく」は使われます。状況にもよりますが、話者自身が遠慮しないのではなく、相手に遠慮しないでほしいときに使われることが一般的です。慣用的に使われる表現をご紹介しましょう。
お気兼ねなくご連絡ください
普段から密にコミュニケーションをとれている間柄なら良いのですが、なかなか気軽には話しかけられないと相手が感じている間柄もあるかもしれません。
相手に遠慮が見られるときは、「お気兼ねなくご連絡ください」と伝えましょう。気軽に相談や質問をしてもらうことで意思疎通がとれ、より良い関係を築けるようになります。
- ひと通りご説明いたしましたが、実際に使ってみるとまたわからないことがあると思います。こちらに電話番号を記載しておりますので、お気兼ねなくご連絡ください。
- 名刺の電話番号には夜間はつながりません。営業時間外のお問い合わせは、私個人の番号にお気兼ねなくご連絡ください。
お気兼ねなさらずにお申し付けください
電話やメールではなくその場で相談や質問をしてもらいたいとき、また、業務を依頼してほしいときなどは、「お気兼ねなさらずにお申し付けください」という表現が適しているかもしれません。
なお「申し付ける」とは、「言い付ける」の謙譲語です。自分側の人間に用を言い付けるときや命令するときに用います。ビジネスシーンで用いるなら、相手に対してへりくだった気持ちを表現できるでしょう。
- 操作方法がわからないときは、お手伝いいたします。お気兼ねなさらずにお申し付けください。
- 不良品が紛れているかもしれません。お気兼ねなさらずに交換をお申し付けください。
気兼ねなくメールでお問い合わせください
その場で質問できないことが予想されるときは、後日、メールや電話で問い合わせてもらうことになります。いくつか連絡手段がある場合なら、「メール」や「電話」というように問い合わせの方法を指定しておくほうが良いかもしれません。
- 操作手順がわからないときは、気兼ねなくメールでお問い合わせください。一両日中に返信いたします。
- 外出していることが多いため、電話に出られない恐れがあります。緊急のときは、気兼ねなくメールでお問い合わせください。すぐに折り返します。
「気兼ねなく」の言い換え表現
話者自身がくつろいで過ごしたときや、相手に遠慮せずに行動してほしいときなどには、「気兼ねなく」を使って表現できます。しかし、いつでも同じ表現では、言葉のバリエーションが少ないように思われてしまうかもしれません。

(c)AdobeStock
「気兼ねなく」の言い換えに使える言葉を知っておくと、表現に幅が生まれ、単調な印象を回避できます。言い換えに使える言葉を例文を通してご紹介します。状況によって適した表現を選びましょう。
遠慮なく
「遠慮」とは、人に対して、言葉や行動を慎み控えることです。周囲を気にせずに発言・行動するときは、「遠慮なく」と言い換えてみましょう。
- おいしそうなお料理ばかりですね。お言葉に甘えて、遠慮なくいただきます。
- 我が家だと思って、ご遠慮なさらずにお過ごしください。
心置きなく
「心置きなく」は遠慮気兼ねなくといった意味で使われる言葉です。
- こちらのお庭はご宿泊の方専用のスペースです。心置きなくおくつろぎください。
- ご質問がありましたら、心置きなくお尋ねくださいませ。
「心置きなく」は、心残りなくといった意味でも使われます。
- 心配事がなくなったので、心置きなく出発できます。
- お互いに心置きなく話し合ってみてはどうだろうか。言いたいことを我慢しているのでは、いつまで経っても仲良くなれない。
気軽に
「気軽」とは、こだわったり面倒がったりしないで行動に出る様子です。また、堅苦しくない様子を意味することもあります。
- 気軽にご連絡ください。いつでもお待ちしております。
- 町会長を頼まれて気軽に引き受けたものの、意外と仕事が多くて困っている。
気にせず
「気にする」とは、心に留めて不安に思うことや心配することです。断定的な否定判断を示す「ず」を付けて「気にせず」とすれば、不安に思わないで、心配しないでといった意味で使われます。
- 時間を気にせず、ご自身のペースで作業をしてください。
- 私のことはお気になさらず、好きなときにお帰りください。
「気兼ねなく」を使いこなそう
「気兼ねなく」は相手を思いやるときに使える言葉のため、ビジネスシーンでも使いやすい表現といえます。また、「私のことはお気兼ねなく……」とひと言添えれば、相手が必要以上に心配せずに過ごせるかもしれません。
コミュニケーションを円滑にするためにも、相手を思いやる言葉が必要です。場に応じた言葉を選びましょう。
メイン・アイキャッチ画像:(c)Adobe Stock
あわせて読みたい