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LIFESTYLE 夫婦

2021.05.14

事実婚を進めてみて、今まで見えなかった社会の課題が見えてきました【モデル牧野紗弥の夫婦生活ホントのところ43】

モデルであり3児の母でもある牧野紗弥の人気連載。昨年発表した「事実婚」「夫婦別姓」が大反響。話し合いを進めながら自身の自立心だけでなく、ほかにも多くの変化が現れてきました。

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ペーパー離婚に向けての話し合いが進んでいます

今年の初め、この連載上で夫婦別姓を実施するための事実婚を発表しました。それ以降、さまざまなメディアでそれに至る経緯や家族の思いなどを話す機会をいただきました。聞いた方・読んだ方からは、私と同様にモヤモヤを抱えていたという話や勇気づけられたという声など、さまざまな反応をいただきました。家族の形がそれぞれで異なるように、考え方も人それぞれ。何が正解かというのはなくて、そのどれもが肯定されていいものだと思っています。

結婚12年目、2021年は「夫婦別姓」を実践します<前編>
結婚12年目、2021年は「夫婦別姓」を実践します<後編>

事実婚では共同親権を選べないという現実

実生活では、事実婚への準備が徐々に整ってきています。現在ひとつになっている戸籍から私が抜ける「ペーパー離婚」によって、今後は「事実婚」となります。事実婚になってからの家庭内の約束事を「誓約書」という形でまとめる作業もほぼ終えました。この中には、お金の約束事などを書いていて、そこに今後、親権について加える予定です。

「親権」については、まだまだ考えなくてはならないことが、多く残っています。以前にも書いたように、事実婚での大きな問題は、私が望むような「共同親権」が法律上では認められていないということです。婚姻中であれば一般的には、未成年の子どもに対し父母が共同で親権を行使しますが、離婚や事実婚となると、父母どちらかの単独親権となります。これが、事実婚や夫婦別姓が進まない要因のひとつでもあるのですが、養育責任などにおいて離婚後も双方が親権をもつメリットは多く、今は法制化を求める声が高まっています。

▲50歳のパパの誕生日をお祝い。みんなで日頃の感謝を手紙にして渡しました。

海外の親権事情はフレキシブル

法務省が2020年に海外24カ国を調査したところ、日本のように単独親権しか認めていない国はインドとトルコの2カ国のみだったそうです。ほとんどの国で、離婚後も共同親権・単独親権の選択ができるということです(ただし条件がついている国もある)。

今回の私たちの事実婚移行にあたり、親権のあり方について多くの時間を弁護士さんとの話し合いに割いてきました。事実婚の誓約書を作るに至ったのも、日本ではまだ認められていない事実婚での共同親権ではありますが、それと似たあり方を定義しておくことが大きな目的でした。これによって、法律上はどちらか一方が親権をもっても、他方の親権をもたないほうの気持ちをないがしろにせず、現状と同じく家族の交流や養育に加われるようにしたかったからです。そうして、ようやく我が家なりの家族のかたちができることになります。

私たち自身、ペーパー離婚を考えるようになって初めて単独親権しか認められない事実を知りました。結婚と同様に離婚の形も目的も多様にある今、親権の選択肢のなさ、そしてその先にあるメリットデメリットは想像しづらいものだと思います。

今後、夫婦別姓や事実婚の議論とともに、親権のあり方についての議論や法改正が進んでいくことは、必然といえるかもしれません。

(C)Shutterstock.com

 

ジェンダーは学校でも社会でも、大学の学問としても、大事なテーマ

子どもたちはというと、娘は学校で夫婦どちらの姓を名乗るかということをたまたま話し合ったそうで、自分の意見を述べることができたと胸を張って帰ってきました。息子はこれを機会に、家族で話し合う話題や時間が増えたと前向きに状況を捉えてくれています。

そして私自身は、自分の自立を実感するとともに、これまでも関心をもっていたジェンダーを、さらに学問として学びたいという気持ちが芽生えてきました。ただ、国内で学部を探してみても、まだまだ少ないのが事実。家庭内ジェンダーとなると、まだ適したものが見つかっていません。ジェンダーを学問として深く学んで新たな問題提起につなげたり、学校や地域・社会で話し合って実社会にある多様化を身をもって学んだり、そんな機会が増えるといいなと思っています。

モデル牧野紗弥の夫婦生活ホントのところバックナンバー

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モデル

牧野紗弥

愛知県出身。小学館『Domani』を始め、数々のファッション誌で人気モデルとして抜群のセンスを発揮しながら、多方面で活躍中。キャンプやスキー、シュノーケリングなど、季節に合わせたイベントを企画し、3人の子供とアクティブに楽しむ一面も。今年は登山に挑戦する予定。自身の育児の経験や周囲の女性との交流の中で、どうしても女性の負担が大きくなってしまう状況について考えを深めつつ、家庭におけるジェンダー意識の改革のため、身を持って夫婦の在り方を模索中。

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