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2021.06.17

褒めてるつもりが逆の場合も?「良い奥さん」の呪縛について考える

元国連勤務のカウンセラーを経て、現在は大学講師、研究者、カウンセラーとして働くヌンサリがイラストと共に語る「女性の生き方、子育て、ライフワークバランス」のお話。第3回目は「なにが基準で、良い奥さん?」です。

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第3回「なにが基準で、良い奥さん?」

みなさんこんにちは、心理カウンセラーのヌンサリです。さて、働く女性のライフワークバランスについてあれやこれやお話しさせていただくこちらの連載、第3回目は、性に対する伝統的な価値観についてです。

▶︎第2回 「誰が注ぐのか問題」




★★★

「料理や掃除、そりゃあできたことに越したことはないと思うのですがねぇ」というのが今回の話の始まり。

時は20年前に遡ります。2000年代のはじめ、私はリベラルやヒッピーで有名なアメリカ西部の大学に通っていました。薬物禁止の張り紙の横で、ホームレスと学生が一緒に談笑したりピザを食べているようなところでした。

ある日ある女生徒が、科学の実験の授業後に教室の掃除をしていました。アバウトな生徒が多い中で、わりと彼女は、丁寧に。それを見た他のアジア系の女生徒が「あなた良い奥さんになるわ!」と言ったことに対して、白人系のアメリカ人が「良い奥さん? きもっ!!」と即座に反応

彼女のその秒速の反応と、感情の強さがにじみ出た深い眉間のシワに、私、水酸化ナトリウムが入った試験管を落っことしそうになるくらい驚きました。あ、あぶな〜!そして、このやり取りどこかで聞いたことあるなと、遠く離れた日本のことを思い出したんです。「××したら良い奥さんねぇ、うちの父親も言ってたなあ…」って。

私はひとり終わってない実験に必死でしたが、その間もクラスメイトふたりは、あれはこれや話し合いをしています。(そして話に聞き耳を立てているので実験がさらに終わらないヌンサリ)その会話の焦点は、なんで「良い奥さん」発言がそんなに問題だったのか、ということでした。

そもそも私が通っていた学校は、マイノリティの権利に対して歴史的なムーブメントを起こしたところでした。授業も、差別について徹底的に学ばせる姿勢が強く、女性の権利についてもよく話し合われました。

このやり取りが2000年代の初めに、しかも学生同士がしていたーー。さて、2021年の今、日本で生きる私たちは「良い奥さん」についてなにを思うでしょうか。

自分は褒めているつもりかもしれないが、それは差別かもしれない!?

髪の色、目の大きさ、身体的なこと… これらは言った側は素敵だと思っても、言われた側にとっては悩みの種だったりする可能性は大いにあります。同じように、「掃除ができるから」「料理ができるから」その女性は良い奥さん(母親)なのか、言った本人は褒め言葉だったとしても、聞いた方は性の「伝統的価値観」を押し付けられた、と不快になるかもしれませんね。

そのさらに良くないバージョンが「××しなかったら良い母親(妻、夫、子)じゃないよね」「そんなんじゃ結婚できないね」の否定、否定のネガティブコメントでしょうか。はっきりいって、これはもはや呪い…!?

相手を褒めようとコメントをすることは、決して悪いことではないと思います。ネガティブなコメントをするよりよっぽどいい。ですが、自分の価値観の押し付けになっていないかな、と考えることも必要ですよね。勝手に基準を作ってはいけないと思います。きっと大事なのは、いろんな考え方があると理解して、思いやること。

そう考えると、相手の考え方や行動、発言に自分が救われて感謝したり、人柄的に魅力的と感じたことを伝えていく方が、きっと対人関係は良い方向につながるのではないでしょうか。

これまでの【元国連勤務カウンセラー・ヌンサリが解説する働く女のライフワークバランス】

まずは自己紹介あれやこれや
第2回 「お酒は誰が注ぐのか?」世界と日本の事情の違い

 

大学講師/研究者/カウンセラー

ヌンサリ

日本生まれ。北アメリカ、東ヨーロッパ、西アフリカなどの国連機関での勤務を経て、現在は大学講師、研究者、カウンセラーとして働く。カルフォルニア大学バークレー校、ニューヨーク大学大学院卒。東京大学大学院医学系研究科卒・博士。家族は夫と保育園児。

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