「兼ねてより」の意味は?
「兼ねてより」の意味を何となく理解していませんか? 特に、「予てより」との違いについて説明できる人は少ないでしょう。ここでは、「兼ねてより」の使い方をマスターする上で理解しておきたい、意味や使う時の注意点を解説します。
意味
「兼ねてより」は、「前もって」や「あらかじめ」などの意味を持ちます。「兼ねてより〇〇していた~」のように、動詞の過去形と一緒に使うことが多いです。
同じ読みの漢字で、「予てより」があります。「兼ねてより」も「予てより」も意味はほとんど同じ。しかし、「兼ねて」は「1つのものが2つ以上のものを併せ持つ」という意味でも使われており、紛らわしいため、「予てより」と表記することが多いです。特に、文書などで使う場合は「予てより」と表記する方が無難ですね。
ビジネス等で使う時の注意点
ビジネスでよく使われている「兼ねてより」ですが、新聞などではほとんど使われません。なぜなら、「兼ねてより」は、「兼ねて」と「より」の両方が「前もって」と言う意味を持つ重複語だからです。
とは言え「兼ねてより」は広く浸透した表現ですので、誤用ではありません。しかし、「兼ねてより予定していた」は、「予定」にも「前もって」という意味合いが含まれることから、間違った表現であると言えます。「兼ねてより計画していた」や「兼ねてよりの都合」と言い換えてくださいね。
使い方を例文でチェック
使い慣れていない方も多いかもしれませんが、「兼ねてより」は様々なシーンで使うことができます! 例文を用いて使い方をご紹介しますので、ぜひ覚えて活用してくださいね。
1:「兼ねてより開発を進めてきた新製品が完成間近です」
「兼ねてより」は堅い印象の言葉で、目上の人に対して使われることが多いです。例えば、進行中のプロジェクトに関する報告をする際などに使えます。
2:「兼ねてより貴社の事業には関心がありました」
丁寧な表現である「兼ねてより」は、履歴書を書く際にも活躍します。志望動機や自己PRで使うことで、応募企業への強い思いをアピールすることができるでしょう!
3:「兼ねてより欲しかったものを、ついに購入した」
ここまで、ビジネス向けのかしこまった表現をご紹介してきました。しかし、「兼ねてより」は堅い印象こそあるものの、日常会話にも使える言葉です。より柔らかい印象にするため、「兼ねてから」と言い換えても良いでしょう。
類語や言い換え表現は?
丁寧な表現だからといって「兼ねてより」ばかり使っていると、語彙が少ないと思われてしまいます。社会人としては、色々な表現を身につけておきたいもの。「兼ねてより」の類語を覚え、相手や場面に合わせて使い分けましょう。
「以前より」
「以前」は「それよりも前」という意味を持ち、「兼ねて」の類語として、とてもよく使われています。「以前より」は「兼ねてより」よりも柔らかい印象で、ビジネスや日常会話を問わず様々な場面で使うことができる表現です。「以前から」も同じようによく使われる表現なので、合わせて覚えておきたいですね!