経緯報告書はトラブル発生時に提出する書類
経緯報告書は、仕事上のトラブルが発生した際に提出する書類です。トラブルが未解決の時点で作成するのが基本です。別名で、経過報告書と呼ばれることもあります。
似ている書類として顛末書と始末書が挙げられますが、作成するタイミングなどが異なるので注意しましょう。ここでは、経緯報告書を作成する目的や、顛末書・始末書との違いなどを解説します。
■経緯報告書を作成する目的
経緯報告書を作成する目的は、仕事上で発生したトラブルについて報告することです。業務を進める中で問題が起こった際は、トラブルの内容や進捗を社内全体で共有する必要があるでしょう。
経緯報告書の役割は、そういったトラブルに関する情報をまとめて報告することです。なお、経緯報告書は社内向けだけではなく、社外の人に向けて作成するケースもあります。
経緯報告書はトラブルの進行中に作成するのが一般的です。ただし、企業によってはトラブルの有無にかかわらず、重要な案件の進捗を確認するための中間報告資料として作成することもあります。
■顛末書と経緯報告書の違い
顛末書(てんまつしょ)と経緯報告書は作成する目的が異なります。顛末書は、クレームや事故対応などのトラブルが発生した際に作成する書類で、トラブルが起こった経緯や原因の報告、再発防止への考えなどを記載します。
顛末書の目的はトラブルの結果を報告することなので、基本的にはトラブルが解決したあとに作成します。これに対して経緯報告書はトラブルの解決や原因追求を目的とした書類であるため、トラブルの進行中に作成するのが基本です。
■始末書と経緯報告書の違い
始末書もトラブルについて報告するための書類です。ただし、経緯報告書が中間報告書といった側面をもつのに対し、始末書は反省文のような役割を担います。
両者の違いをわかりやすくいうと、トラブルを起こした本人の感情が入っている書類が始末書、入っていない書類が経緯報告書です。
経緯報告書に記載する内容は、トラブルに関する客観的な事実のみです。一方、始末書は「二度とトラブルを起こしません」といった反省の意思を含みます。
経緯報告書の〝書き方のポイント〟5つ
経緯報告書を作成する際は、以下の5つのポイントを守ることが大切です。
1:5W1Hを意識する
2:時系列に沿って記載する
3:簡潔にまとめる
4:原因と対策を述べる
5:客観的な視点をもつ
経緯報告書に求められるのは、誰が読んでもわかりやすいことです。そのため、ただ事実を書き連ねるのではなく、内容を把握しやすい構成を考える必要があるでしょう。ここでは、経緯報告書の書き方のポイントを5つご紹介します。
1:5W1Hを意識する
5W1Hを意識すると、内容が伝わりやすい構成がつくれます。5W1Hとは、以下の英単語の頭文字を取ったものです。
・When(いつ)
・Where(どこで)
・Who(誰が)
・What(何を)
・Why(なぜ)
・How(どのようにしたか)
上記の要素に沿って内容を整理すると、必要な情報が漏れることなく、簡潔でわかりやすい経緯報告書を作成できます。
2:時系列に沿って記載する
経緯報告書の内容は、時系列に沿って記載するようにしましょう。具体的には以下の3つを盛り込みます。
1)現在の状況はどうなっているか
2)経緯や原因は何だったのか
3)今後何が起こると予想されるか
出来事を時系列に沿って説明することで、読み手は内容をつかみやすくなります。出来事に関わった人物も記載しておくと、記憶違いといったトラブルを防止できるでしょう。
3:簡潔にまとめる
経緯報告書で求められるのは簡潔さです。長々とした前置きや曖昧な表現、回りくどい言い回しは適しません。
内容をシンプルにまとめるためには、まず結論から書き始めるのが効果的です。伝えるべきことを要約し、経緯報告書の冒頭で述べるようにしましょう。事実のみを簡潔に記載することで、トラブルに関する正確な情報だけを伝えられます。
4:原因と対策を述べる
経緯報告書に記載する項目は、トラブルの内容だけでは不十分です。「何が起こったか」だけではなく、トラブルの原因と対策も盛り込みましょう。
原因が複数存在する場合は、以下のように記載する方法があります。それぞれをわかりやすく整理して記載すれば、原因が複数ある場合でも内容が複雑になりません。
【原因】
1)〇〇が発生したため
2)△△に問題があったため
【対策】
1)〇〇を設置する
2)△△をマニュアルにまとめる