「玉石混交」の意味と語源
玉石混交とは良いものと悪いものが混ざっている状態を表す言葉です。
【玉石混交:ぎょくせきこんこう】
価値のあるものとないものとが、入りまじっていること。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「ぎょくせきこんごう」ではなく、「ぎょくせきこんこう」が正しい読み方であるため、注意してください。玉石混交の「混交」は異なるものが混ざっている状態を表しています。
しかし実はこの「混交」という漢字は厳密には正しい表記ではありません。ここでは玉石混交の意味とともに、玉石混交の正しい表記、さらには語源を解説します。
「玉石混交」の意味は良いことと悪いことが混ざっていること
玉石混交は価値のあるものと価値のないもの、優れているものと劣っているものが混ざっている状態を表す言葉です。この状態を視覚的にとらえると、この言葉の意味を理解しやすくなるでしょう。
玉石の「玉」は宝石のことを指し、「石」は石ころを指します。宝石と石が入り混じっている様子から、良いものと悪いものが混ざっている状態を玉石混交と言うようになりました。
正しい表記は「玉石混淆」
玉石混交の正しい表記は「玉石混淆」です。「淆」が常用外漢字であることから、代替用漢字の「交」を用いても間違いではないことになりました。後述しますが、中国の故事が語源で、もともと混淆という文字が使われていたという経緯があります。
「玉石混合」と書くのは完全なる誤りです。言葉の音が似ていることから間違えやすい表記ですが、正しくは「玉石混交」ですので注意しましょう。
「玉石混交」の語源は中国の故事
玉石混淆という言葉は中国・晋の道教の研究家である葛洪が記した書物「抱朴子」に由来しています。この抱朴子に「真偽顛倒(しぎてんとう)し、玉石混淆す」という言葉が記されていました。
この文章が表しているのは「昔は物事の善し悪しを見極める人がいたが、今はいなくなってしまい、本物と偽物が混ざりあって、見分けがつきにくくなっている」という意味です。ここから玉石混淆という言葉が使われるようになったと言われています。
【例文付き】玉石混交を使う2つのシーン
玉石混淆という言葉が使われるシーンは大きく2つの種類に分けることができます。1つ目は良いものと悪いものが同時にある時です。もともとの言葉の意味としては、この使い方が一般的と言えるでしょう。
2つ目の使い方はカオスの状態を表す時です。つまりさまざまなレベルのものが分類されることなく、入り混じっている状態のことです。それぞれのシーンでの使い方と例文を解説しましょう。
1.良いものと悪いものが同時にある時
良いものと悪いものが同時にある状態を評価する場合に、玉石混交を使います。ただし、この言葉を使う場合には、注意する必要があります。人を物のように扱うという点と優劣をつけるという点において、玉石混交は失礼な表現だと捉えられかねません。玉石混交は決して褒め言葉にはならないので、人を対象としては使わない方が賢明です。
特にビジネスシーンでは、例えば「御社の営業部の人材は玉石混交ですね」といった表現は避けるようにしましょう。
【例文】
・ネットオークションに出品されているアンティークの真空管アンプは、コンディションの差が激しくて【玉石混交】なので、正常に作動するのかを確認することが不可欠です。